山の写真集 > 東北 > 会津駒ヶ岳
  • -夏から秋へ移りゆく高層湿原-
  • 滝沢登山口-駒ノ小屋-駒ヶ岳-中門岳-大津岐峠
  • 会津
  • 福島県
  • 会津駒ヶ岳(2133m),中門岳(2060m)
  • 2012年8月25日(土)~26日(日)
  • 1日目:3.3km、2日目:11.3km
  • 1日目:3時間20分、2日目:4時間55分
  • 1023m(滝沢駐車場-会津駒ヶ岳)
  • 駒ノ小屋
  • 駒の湯
  • マイカー
天気1
天気2

 

地図
2012年8月25日(土)
富ヶ谷ランプ 5:10
  首都高速,東北自動車道
西那須野塩原IC 7:50
  国道400,352号
10:10 滝沢登山口駐車場(キリンテ往復) 10:45
10:50   登り口
12:20   水場分岐 13:07
14:30   ベンチ
14:45 駒ノ小屋(泊)
2012年8月26日(日)
  駒ノ小屋 6:10
6:30 会津駒ヶ岳 6:40
7:20 中門岳 7:50
8:30 駒ノ小屋 9:00
10:15 大津岐峠 10:53
12:40 キリンテ沢 12:45
12:55 キリンテ登山口 13:30
  国道352,400号
駒ノ湯立寄り
17:05 西那須野塩原IC
  東北自動車道,首都高速
19:45 富ヶ谷ランプ

 

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南会津や西会津の山は素朴で華やかさはないものの、懐の深い豊かな自然郷として登山者の間で根強い人気がある。
また、どの山も展望がよく高山植物の宝庫である。山麓に温泉も多い。土地の人の訛り交じりの言葉を耳にすると、はるばる遠くへやって来た感を抱く。
この10数年間、この地の山に少しずつだがずいぶん登ってきた。小野岳二岐山志津倉山大戸岳博士山七ヶ岳田代山・帝釈山三岩岳会津朝日岳など、よく登られるものはひと通り登ったが、通称「会津」と名がつく山でひとつ大物が残っていた。会津駒ヶ岳である。
言うまでもなく南会津の盟主で、かつては秘境と呼ばれた檜枝岐村に高くそびえる山である。 よく一緒に行く5名の仲間で、車2台で会津に向かった。


駒ノ小屋へは湿原につけられた木道を登っていく

西那須野塩原インターから国道400号、352号。1か月前の田代山と同じだが今回はさらに遠い。
湯の花温泉、木賊温泉への道を分けて国道をさらに西進する。前後を行く何台もの車の行き先は会津駒か、尾瀬だろうか。道路につけられた温度計の電光掲示板は28度を示していた。

駐車場から50mくらいで木の階段を登ると登山道となる

登り口の階段

登り始めは広葉樹豊かな森の中の急登が続く

登り始めは広葉樹の森

標高1600m付近でブナ林となる

ブナ林

駒ノ小屋前から会津駒ヶ岳を望む

小屋の前から
伸びやかな湿原

緩やかなスロープを引く会津駒

緩やかなスロープ

キンコウカ(駒ノ小屋下の湿原)

キンコウカ

滝沢登山口に着く。今回はキリンテに下山するため車1台をそちらに運んだ。キリンテには特に駐車場はなく、路駐も止むを得なかったのだが、食堂のおばさんに頼んで裏の空地に置かせてもらった。
滝沢登山口に戻ったのは10時半過ぎだった。すでに満車近かったが何とかスペースを確保。この時間、日は高くなり暑い中の出発となる。すぐに急階段のある登り口の前に来る。

登山道に入ると明るい広葉樹の森となった。1500m~1600mくらいになるとブナが増す。酷暑の急坂は堪える。5名の先頭を行く自分としても気持ちペースを落として登っていたつもりだが、次第に列がばらけてきた。
12時くらいになって、こんな時間からかなりの下山者がいる。日帰りの人もいるだろうか。樹林の切れた場所からは、会津や日光方面の山並みが望めた。しかしもうずいぶんと入道雲が発達している。天気予報どおり、雷雨となりそうな雰囲気だ。
水場分岐に到着。水場へは3分ほど下る。山中に残雪がなくなったせいか水量は少ない。

上に戻ると太陽は雲に隠れ、いつの間にか薄暗くなっていた。それに急に冷えてきた。他の登山者ももう出発してしまい、自分達だけ照り残された感じ。ひとりなら、この空模様を見て休憩もそこそこにしてすぐ出発するところだがグループだとそうもいかない。昼食をとってから歩き出す。
樹林を透かして濃密なガスがこっちに近づいてくるのが見えた。雨雲である。降り出すのは時間の問題。
最初にポツポツときたときにさっさと雨具を着てしまえばよかったものを、毎度のことながらタイミングを逸する。すぐに本降りとなり、たちまち体もザックも濡れてしまう。あっという間の土砂降り状態。頭上で轟く雷鳴が角度的にも真上近くになってきて少々焦る。

雨の降りが半端でなく、登山道は川のように。森林限界に近くなるが、樹林のないところに出るのは自殺行為に等しく、下手に高度を上げられない。
近くで大きな音で落雷が。少し戻って木の下で雨宿りし様子を見ることにした。しかし、背の高い木のそばだと、落雷したら危険ということらしい。樹林があってもなくても危険という状況で、居場所がない。消去法で、この周辺で比較的低い木の下に、しかも枝から少し距離を置いて立つ。

キンコウカ咲く湿原越しに会津の山々を遠望

秋色の湿原

高台に建つ駒ノ小屋(中央)。左はトイレ

駒ノ小屋

イワショウブ(駒ノ小屋下)

イワショウブ

駒ノ小屋にランプが灯る

ランプの小屋

絶望的な大雷雨も、よく見ると南側の山々の上に、おぼろげであるが青空が覗いている。さらに、目指す方向にも駒ヶ岳の緩やかなスロープが浮かんできた。
雷は以後落ちることなく、稲妻は空の間を行き来している。雨も少しだけ弱まってきたようだ。

頃合いを見て再出発する。樹林が尽き、のびやかな湿原状の稜線に出る。展望が一気に開け、右手に会津駒、正面に駒ノ小屋が見上げられるようになる。
雨も気にならなくなった。イワショウブ、キンコウカといった、初秋の湿原を代表する花が咲き競っている。エゾリンドウも見頃を迎えている。
ベンチのある場所で小休止。他の登山者と雷と雨のすごかったことを話す。

やがて再び雨が強まる。上に見える小屋まで15分くらい。一気に登り上がることにしたが、内心は雷にヒヤヒヤしていた。ただ小屋に避雷針らしきものが設置されているのが見えたので、半分安心、半分不安と言ったところである。
大事には至らず、駒ノ小屋に到着。最後はどしゃ降りの雨が復活したので、皆濡れねずみになって小屋に飛び込む。

駒ノ小屋は自炊専用の営業小屋で、予約制である。宿泊者は30名までと定員が決まっているので無理に押し詰められるようなことはない。でもこの日は満員だったようで、それなりに混雑していた。
雨具や帽子を奥の乾燥室に吊るし、自炊部屋でほっと一息ついた。3つのランプがいい雰囲気をかもし出している。

夕方近くになると天候は回復し、会津駒や周囲の山々の眺めがきいてきた。小屋から少し下ると、燧ヶ岳が荘厳なシルエットを呈している。青空の割合もどんどん大きくなり、明日の天候に期待が持てるようになった。
夕食ももちろん、宿泊者全員が自炊。混雑のため、自炊部屋の利用時間帯がグループごとに決められていた。でも天候が回復したため、結局外で食事をした。

ところで自炊の時に使用するガスストーブだが、これは基本的に屋内、車内、テント内での使用は厳禁である。製品にも、使用すると「一酸化炭素中毒死または酸欠により窒息死する」と書かれている。自炊部屋ならいいのかということになってしまうが・・・。まあ密閉された部屋ではないので酸欠にはならないと思うが、換気を心がける必要はあるだろう。
それでも、以前のガソリンバーナーは使用禁止のようで、この自炊部屋にも張り紙がしてあった。メンバーの中にガソリンバーナーを持っている人がいたので、雨だったら傘をさして外で調理するしかないことになる。夕食時に天候が回復してよかった。