~雲海広がる会津の山々~ みついわだけ(2065m) 2006年9月22日(金)~23日(土) 小豆温泉-避難小屋-三岩岳 -窓明山-家向山 |
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会津の山に登って一番印象に残るもののひとつに、雲海の眺めがある。山々に囲まれたこの地域は、標高の低いところは朝方から白いベールをすっぽりとかぶる。 山の上からはだだっ広い白色の海に、黒々とした山塊が島のように浮かぶ素晴らしい眺望が得られる。会津の高い山に登るなら、早朝に山頂に立つようにプランを立てることである。 三岩岳は南会津にそびえる2000mを超えた山で、会津駒ヶ岳から北東に伸びる稜線上にある。ただし会津駒からの縦走路は夏道としてはなく、残雪時のみ歩けるルートのようである。三岩岳の登山は小豆温泉から登頂するコースが一般的だ。 会津の山の中でも地味な存在だが、会津朝日岳より300m以上も高い。それでいて登山口から4時間ほどで山頂に立てるので、山中の避難小屋を利用するとすれば、東京朝発でもいい山行プランが組める。
●ブナ・シラビソ林を抜け草紅葉の湿原へ 野岩鉄道の会津高原尾瀬口駅(会津高原駅から改名された)を8時台に出るバスに乗るべく、いつにもまして超早起きする。電車の乗り換え時間は事前に調査して問題ないはずである。 しかし北千住駅で乗るべきホームを間違え、予定の電車に乗れなかった。 残念ながら8時台のバスは無理となった。次のバスまで2時間もある。途中駅で意味もなく電車を下りるなどして時間をつぶしながら、のんびりした気分で会津高原尾瀬口駅に着く。青空が眩しい。 バスは尾瀬の沼山峠行き。1時間10分ほどで小豆温泉に着く。駐車場には車が数台。おそらく登山者であろう。なおバス停はスノーシェッドの中、登山口はそのスノーシェッドの天井に上がったところにあるという、ちょっと変わった歩き出しである。 しばらくは平坦な沢沿いの道。コンクリートの段で黒桧沢を渡ると、ブナの豊かなジグザグ気味の急登となる。 前回のシュラフ山行(巻機山)では重い荷物に早くからへたばってしまったので、今回はペースを守って着実に高度を上げる。ここのところ毎週コンスタントに歩けているせいか、足運びはスムーズである。 小尾根に一度上がる。正面に三岩岳と思えるカヤトの原が見上げられる。草紅葉の程度はここからは逆光でよくわからない。 再びトラバース気味に進む。「水場」と標識のある小さい沢をまたぐ。それ以降も何度か水の流れと出会う。どこが最後の水場であろうか。小沢の数は5本とも7本とも聞く。季節によっても違うのだろう。木道が出てきたすぐ後の小沢が最後の水場であった。 ほどなくしてはっきりした尾根に上がる。旧道との合流点である。切り開きから覗くと、ブナに覆われた隣の尾根がよく見て取れる。
道はここから遊びのほとんどない、ヤセ尾根の直登である。夏は背中があぶられそうだ。 紅葉の始まったブナ林に癒されるが、何しろジグザグも巻き道もない愚直なまでの直線状の登り。とにかく一歩、一歩。 何人かの人が下山してくる。皆日帰りの装備だ。 だんだんと周囲の樹林の背が低くなってきた。振り返ると会津の山々の眺めが広がっている。 傾斜が少し緩くなると、涼しげなシラビソの林に移行する。ダケカンバも混じる。小さな湿原が現れ、イワイチョウなどの葉が黄色からオレンジ色に変わってきている。 石がゴロゴロし出す頃、人の話し声が聞こえてきた。三岩岳避難小屋はそのすぐ先であった。 大きくはないが頑丈な造りの小屋で、すぐ前に水場がある。今まで泊まった小屋の中で、水場との距離が近いベスト1であろう。泊まるのにこれほどの好条件はない。 ただ小屋に置かれていた宿泊者帳によると、この水場は夏に枯れることもあるようで、その時は窓明山方面に10分から15分歩いたところの沢で水が取れるようである。 この日の泊まり客は他に一組の夫婦だけだったが、もしかして今日は貸切かもしれないと思っていたので、ちょっと意外だった。 |