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~会津のいで湯と名刹を訪ねて~ はかせやま(1482m) 2006年11月2日(木)~3日(祝)
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9月の三岩岳に続いて会津の山旅、今回は柳津(やないづ)町の博士山に登る。 只見線に乗るのは一昨年、新潟中越地震のあった日に登った志津倉山以来だ。志津倉山のある三島町と柳津町は隣り合っていて、両峰ともブナの原生林が豊かな会津の名山である。
新緑の時期もいいがやはり錦繍の秋山に惹かれる。今回は紅葉の最盛期からは少し遅れてしまったが、晩秋の心温まる会津の山を知ることが出来た。 また、山麓には西山温泉があり今回はここの中の湯に前泊した。豊かな湯量と数多くの源泉を持ち、山のいで湯としては最高の地である。西山温泉は、山についでに滞在する場所としてはもったいなさすぎる温泉だ。 なお、博士山という珍しい名の由来は、大和朝廷が東北鎮撫の際、腰に太刀を佩(は)いて峰伝いにたどったところから「佩かせ」が転じて名付けられたという説が有力とのこと。 別に名のある博士や学者がいたわけではなさそうだが、会津というとどうしても野口英世を思い出すので、何となく結びつけてしまいたくなる。 また、博士山は信仰の山としても名高く、途中にある「社峰(やしろみね)」というピークは、御神楽岳にあったイザナギ・イザナミの命の二神が移されてきた場所とのことである。その後ご神体は明神ガ岳を経て会津高田町の伊佐須美(いさすみ)神社に遷座されたと伝えられている。
●古刹の町から山間の温泉地へ 郡山駅から磐越西線に乗換え、会津若松駅まで行く。途中の車窓から見た磐梯熱海付近は、紅葉がかなり進んでいた。この感じでは、やはり高い山のほうでは紅葉は終わっているかもしれない。 会津若松駅からは只見線。2年ぶりである。平日なのに行楽客で賑わっている。カメラを持った人が多い。中津川渓谷の紅葉が今見頃だと、前の席に座っていた人が言っていた。 広大な田園地帯から列車は高度を上げ、やがて会津柳津駅に着く。今日は宿に入るだけの行程なので、バスが来るまで柳津温泉付近を散策する。旅館に混じって、粟(あわ)まんじゅうの店がもある。帰りにぜひ買って行きたい、柳津の名産品だ。 店の写真を撮っていると、自転車に乗ったおじさんが「お、撮ってるな。下のほうにも2軒あるぞ」と教えてくれる。 温泉街の手前にある「福満虚空蔵尊圓蔵寺」に立ち寄る。1200年もの歴史を誇る名刹だそうだ。境内の紅葉が今ピークのようで、もみじの赤が目にまぶしい。 柳津虚空蔵下バス停から、大成沢行きのバスで30分ほど。山の中深く入って行き、西山温泉「滝の湯」で降りる。 川を挟んで、身を寄せ合うように数軒の宿がある。どれも昔風の造りの家で、その風情がたまらなくいい。いっぺんでこの地が気に入ってしまった。 旅館「中の湯」には温泉好きの漫画家つげ義春氏も訪れていて、旅館の玄関には、最近地元紙が掲載した氏の特集記事が飾られていた。 白い濁り湯の内湯、別棟にある桧風呂は黒い湯、そして露天風呂とどれも最高の湯質。香りはきつくなく、つるすべ感たっぷりだ。このお湯に入れただけで、今回の山旅の意義があったというものだ。 八甲田の谷地温泉、八幡平蒸の湯と並んで今まで訪れた温泉のベスト3に入れたい。 |