ブナ探索山行 第15回
守門岳や浅草岳といった会越(福島県と新潟県)国境近い山はブナの名山が目白押しである。どの町からも遠く古くから開発の手が届きにくい場所であったことが、今なおブナの原生林が多く残っている背景にあるのだろう。
今回、浅草岳の入叶津ルートを歩こうとしたが藪深く途中で断念。かわりに守門の大白川のブナ林を鑑賞してきた。
なお、守門岳のルート詳細は
一般のページに記している。
大白川のブナは樹皮の白さそのものが見られる [拡大]
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雪の圧力が地衣類をはがす
大原スキー場から車で登山口に上がる。山菜畑を抜けるとすぐにブナ林の登りとなる。このエデシ尾根は稜線に上がるまで急登が続くが、ブナ林は一見の価値がある。
守門岳は気候や標高的にもブナの生育する条件がよく揃っている。大白川の他に保久礼や二分登山口からのルートもブナが豊かで、樹相は典型的な日本海型ブナ林である。
大白川ルートの登山道上から見られるまとまったブナ林は、エデシの岩峰に上がるまでの登り1時間弱の部分で、エリア的には比較的狭い。エデシから上にもブナはあるが、林ではなく単独木または低潅木が主となる。林の部分はそれでもブナの密度は濃かった。巨樹あり、根曲りしたブナあり、幼樹も多く見られる。二分ルートが二次林の部分が多かったのに対し、大白川ルートは原始の森という感じがする。
このあたりのブナは樹皮が白く、他の場所で見かけるような地衣類をまとった木はほとんど見かけない。保久礼、二分いずれのルートも白いブナが多かったが、ここ大白川ルートのブナはそれが際立っている。白はもちろんブナ本来の幹の色である。
苔や地衣類は湿ったところにできやすい。この一帯は雪が多く、積雪が遅くまで残るので年間を通して湿度の高い期間が多い。普通に考えると地衣類だらけになりそうな気がする。
直径1mを越す巨樹 [拡大]
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しかしそれも、積雪の量によって状況が変わるようである。すなわち、冬に雪の下となる部分は、雪圧がかかる部分の地衣類が下にずり落ちてしまう。その結果樹皮がそのまま露出しているという。
ただ、守門のブナはかなり上まで、目の届く範囲は軒並み白かった。少なくとも5メートルくらいだろうか。ここは標高の低い急斜面にもかかわらず積雪量は相当なものということになる。
白さの原因のもうひとつに、吸収する水がきれいで不純物がないからという説もあり、それもうなずける。ブナに限らず、酸性雨が木の色や成長度合いに与える影響も大きいのではないか。
大白川ルートには布引の滝に至る登山道が分岐している。ピストンの場合、帰りはこれを利用するとブナ林を周回して登山口に戻ることができる。
この周回道から見るブナ林はさらにするばらしく、ブナの白さををじっくりと体感できる。
エデシ尾根から布引の滝への分岐道は急降下のヤセ尾根で濡れていると危険なため、天候の悪い時は登山口からの往復でもいいかもしれない。
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2018年8月12日(日) 探索
ルート:大白川(大原)登山口-エデシ-三ノ芝-守門岳-エデシ-布引の滝-大白川登山口
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