ブナ探索山行 第15回
守門岳の入塩川ルートを歩いた。
今まで二口(二分)ルート、保久礼ルート、大白川ルートと歩いてきたが今回のものが最長で、8㎞ある。下部は10回以上の渡渉が必要となるが、雨晴(あばらせ)尾根に上がれば傾斜の緩い、足に優しい登山道が大岳山頂まで続いている。
そしてこの入塩川ルートはブナ林の規模で言えば守門岳のルートで最大だった。守門岳の北側と言えば、三条市から吉ヶ平地区を経て浅草岳の入叶津口に抜ける八十里越え街道がある。ブナの多いと言われるこの古道はいずれ歩いてみたいが、この入塩川ルートもそうした深い自然郷の一角を占めていると言えそうだ。
入塩川ルートの全般は
一般のページに記している。
ダイナミックな幹 [拡大]
|
同年代のブナが争って
守門岳のブナは、豪雪地帯のため地衣類が樹皮につきにくく、白いブナが多いのが特徴だった。特に大白川ルートでその傾向が強い。
一方入塩川ルートのブナに白いものはそれほど目立たず、ブナ特有のまだら色の樹皮をつけていた。樹姿は典型的な日本海型で、スラっとした背の高い、積雪の届かない上のほうに枝をつけているブナである。
ブナ林は沢の上部でも見られたが、一番多いのはやはり雨晴尾根上で、〆掛小屋付近の造林地を過ぎた雨晴清水前後から、吉ヶ平分岐にかけての緩斜面だった。
傾斜が緩いためブナの生育は良さそうで、林冠のほとんどがブナで占められている純林である。直径30㎝前後、樹齢100年くらいの、同年代と思われる木が集中している。このサイズのブナは新潟県のブナ林には多い。おそらく100年前くらいに、気候や生育環境がブナに適合した、成長のピークがあったのだろう。
巨樹は見られず、大きいので直径70㎝くらいだった。
中低木層にはオオカメノキが多く、エゾユズリハ、ユキツバキ、ヒメモチ?といった日本海側特有の多雪型照葉樹で占められている。ネマガリダケもあったがそれほど生育していない。
中高木層のホオノキはまっすぐ伸びているのが少なく、多くが匍匐状態(枝葉を斜め上の低い位置に伸ばしている)になっていた。林冠をブナに占められているため、上に伸びることができていないように見える。
入塩川登山道、雨晴尾根の濃厚なブナ林 [拡大]
|
全体的な印象では、当間山のブナ林に近い気がする。傾斜の緩い斜面だとこのように若い樹齢、同じサイズのブナが先を争うように上に成育した結果、林冠を独占して他の樹種の割り込みを許さない傾向がありそうだ。
雨晴から上は灌木帯の尾根になる。ミヤマナラが目立ち、マンサク、オオカメノキ、ドウダン系のツツジに交じって低木化したブナも見られた。
守門岳のブナ林では、やはり大白川ルートがバラエティに富み、巨樹も立ち見ごたえがある。のんびり歩く、森林浴に適したブナ林としては入塩川ルートが一番いいだろう。
|
2019年7月7日(日) 探索
ルート:入塩川登山口-三角点-雨晴-中津又岳-守門大岳
|
|