~裏銀座からダイヤモンドコースへ、北アルプス展望と花の旅~ |
●黒部五郎岳へ(7月27日) 3日目。笠ケ岳に縦走か、それとももう1日ここに留まって黒部五郎岳を往復しようか、朝まで迷っていた。 朝になる毎にテントを撤収、重いものを背負って歩くのも単調だ。少し行程に変化をつけたい。今日は軽身で黒部五郎を往復することにした。テントを1日そのままに出来ることが、うれしかった。 軽身で往復とはいっても7時間はかかる長丁場だ。サブザックに雨具、食料などパンパンに詰めて出発する。 朝日の中を三俣蓮華岳(2841m)へ登る。双六、笠ケ岳と続く稜線、右には黒部五郎、薬師岳と展望は果てしない。 黒部五郎岳へは緩いハイマツ帯を下って行く。ここから見るとかなり距離がありそうだ。三俣山荘から直接来る巻き道と出会う。帰りに使おうと思っている道だ。 そこからしばしの稜線歩きを経て、黒部五郎のカールの底に一気に下って行く。森林限界から戻り、ダケカンバの茂る樹林帯に入る。久々に樹木を見た感じがする。 黒部五郎小舎への急な下り。帰りは登り返しが大変そうだと思ってしまう。小舎付近の標高は2350m前後。烏帽子から歩き始めて以来、一番標高を下げたことになる。 ハイマツと針葉樹のミックスした小屋付近の景観はしっとりとして素晴らしい。四方が高い峰々に囲まれた、秘境のような場所である。 南は笠ケ岳をバックにコバイケイソウの花畑。反対側は雲ノ平の高地帯を挟んで、薬師岳が望める。そしてもちろん背後には黒部五郎岳。 五郎岳へは、稜線コースとカールお花畑コースとがある。カールコースへ進む。初めは爽やかな樹林帯。時折現れる池塘にはイワイチョウが秘めやかに咲いている。 樹林を再び抜け、広大な緩斜面に入る。チングルマ、コイワカガミ、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイ、ハクサンイチゲなどが咲き乱れ、残雪も目立つ。 いつも遠目で見ていた、あのカールの中に入ったのだなと思う。 山頂中央部から伸びている雪渓の真下に着く。カメラ・三脚を持った人がたくさんいる。雪解け水も豊かで、ゆっくり休憩したくなる場所だ。黒部五郎の大伽藍をバックに、周囲には大岩・小岩が点在していて、何か日本の山ではないような気がする。 |