~裏銀座からダイヤモンドコースへ、北アルプス展望と花の旅~
タイトル
えぼしだけからくろべごろうだけ 2002.7.25.~28.
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●急登のブナ立尾根を登る(7月25日)
高瀬ダム(1271m)からは登山者の行列となって、トンネル・河原を歩きブナ立尾根登山口に向かう。沢で水を2.5リットル汲み、さあブナ立尾根の急登に挑む。
ブナ立尾根
ブナ立尾根
ブナ立尾根はかつては、「北アルプスの3大急登」のひとつに数えられていたほどで、標高差1250mを水平距離わずか2.8kmで登り切る。しかも今日はテントを担いでの登りである。

やはり取り付きから急登だ。ブナなどの自然林の中を黙々と登って行く。回りの人も腹をすえているのであろう、みな、神妙な面持ちに見える。
タマガワホトトギス
タマガワホトトギス
センジュカンビ
センジュカンビ

しかし道は思った以上に歩きよい。所々現れる木の階段も、年数は経ってはいるがしっかり設置されていて危ないところはほとんどない。ある程度登ると、ちょうどいい具合に休憩しやすい広場がある。
道脇にはタマガワホトトギス、センジュカンビなどの花が咲く。そのうち針葉樹林帯に入り、いくぶん涼しげな道となる。

登山道には時々、数字の書かれたプレートが現れる。ブナ立登山口は12、終点の烏帽子小屋でゼロになる。
それを目印にしながらマイペースで登って行く。

頭上を見ると、木の間越しに不動岳方面であろうか、白っぽい岩がちの稜線が望める。しかしまだ標高差はかなりある。

やがて傾斜が少し弱まり、ダケカンバなどもちらほら見られるようになる。ここまでは無難に登って来れた。ほっとするところだが、2209m三角点を見たあたりから後がけっこう長い。
再び急登となり、登っては休み、が何回か続く。No.1プレートを過ぎた前後で「ガンバッテ」の文字。最後の力を振り絞ってようやく稜線に出る。
烏帽子小屋
烏帽子小屋

緩やかな坂となり、視界がみるみる開ける。少し下って烏帽子小屋(2536m)の前に飛び出す。目の前には谷を隔てて赤牛岳と薬師岳がどちらもでかい。1年ぶりに見る北アルプスの姿だ。新鮮であるとともに懐かしさも感じる。

今日から4日間、この峰々の中に身を委ねることとなる。

●ニセ烏帽子からの烏帽子岳
小屋で少し休憩後、キャンプ場に下りてテントを設営する。1週前に八ヶ岳でやっているので作業がスムーズだ。
軽身になって烏帽子岳に向かう。雲が出てきたがまだ青空だ。砂礫の道を緩く登る。ところどころにチシマギキョウ、イワギキョウ、タカネツメクサ、そしてコマクサも見られる。
ニセ烏帽子から烏帽子岳
ニセ烏帽子から烏帽子岳
四十八池
四十八池付近

30分弱でニセ烏帽子(前烏帽子)のピーク(2605m)に着く。ここから見る烏帽子岳(2628m)、これが今回の北アルプス山行のまず最初のビューポイントである。
白い砂地の稜線の先にすっくと立つ岩のオブジェ。標高こそ2600mそこそこで回りの山からも見えにくいくらいなのだが、いざ目の当たりにして見るととてもインパクトのあるユニークな姿である。北アルプスの異端児とも言えよう。
ニセ烏帽子からは回りの展望も素晴らしく、特に立山から薬師岳への稜線の眺めが目を惹く。

今日は烏帽子小屋(テント地)泊まりなのでまだ時間がある。烏帽子岳に登って、さらに四十八池まで足を伸ばそう。

烏帽子岳に向かう頃、ガスが稜線を覆い始める。山頂直下は鎖のある岩場が断続する。風が舞い、慎重に岩峰のてっぺんにたどり着く。雲間から剣岳、立山が視界に飛び込む。もっと広い展望を望んでいたのだが、ガスが周囲を支配し始めて来た。

ピークを下り、その先の四十八池に向かう。ほぼ平坦で穏やかな稜線は、高山植物の宝庫である。チングルマ、コイワカガミ、そしてアオノツガザクラがびっしり。シャクナゲ、サンカヨウ、ミヤマキンバイ、ベニバナイチゴなどが咲き競う。あちこちに点在する池とあいまって、雲上の楽園といった雰囲気である。

コマクサ
コマクサ
いい気になって歩いているうちに、次のピークである南沢岳のすぐ手前まで来てしまった。気がつけば青空もすっかり蔭をひそめ、あたり一面のガスになってしまった。

来た道を戻る。ニセ烏帽子付近にけっこう人がいる。振り返ると烏帽子岳どころか、直下の稜線さえも見えない。皆残念がって小屋に戻って行った。自分は早いうちに見れてよかった。

烏帽子小屋でビール、水を買い(1リットル200円)、キャンプ地に下りる。なお、ガイドにはニセ烏帽子付近の雪田で水を得られると書いてあるのもあるが、実際は立入り禁止区域なのであてに出来ない。(利用には許可が必要とのこと)

さっきまではひょうたん池や三つ岳の稜線が見えていたが、今はガスの中。明日は晴れてくれるだろうか。天気を気にかけつつ、食事を済ませ床に付いた。


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