~東北きってのスケールで迫る大山塊~ 小白布沢-切合-飯豊本山-御西岳-北股岳-門内岳-梶川尾根 |
●どこまでも続く草原の稜線 (8/2、天狗の庭~烏帽子岳~梅花皮小屋~北股岳~門内小屋)
ややガスが薄くなり、谷底も見下ろせるようになる。 登山道は残雪上を歩く箇所が増え、そういうところにはシナノキンバイやショウジョウバカマなど、何かしらの湿性の花々が必ず咲いている。ハクサンコザクラの白花を見たのもこのへんだ。ただし、白いハクサンコザクラならヒナザクラなのかもしれない。 烏帽子岳への長い登りに入る。ハクサンシャジンやタカネツリガネニンジン、タカネタカネマツムシソウなどこのへんも花が多い。ピンク、黄色、白、水色など色あいもバラエティに富んでいる。 さらには、初秋の雰囲気漂うタカネナデシコも咲いていた。同じ稜線でショウジョウバカマとタカネナデシコが見れるとは、まさに夏の短い北の山ならではである。
イブキトラノオが満開の烏帽子岳頂上(2018m)では雲間から青空も覗き、御西岳と今歩いてきた稜線が望めた。 やがて西側の展望も広がってくる。下界は陽光が降り注いでいるようだ。小さなピークの梅花皮(かいらぎ)岳を越え、草原の大地が広がる中を梅花皮小屋に下りて行く。 小屋付近は石転ビ雪渓を登って来た人などで賑わっている。ここからだと雪渓はあいにくガスで見えない。 梅花皮小屋は今日は混み合っているようで、一度入ったのに諦めて次の小屋まで行こうと、出て行く人が何人かいた。 自分は、梅花皮小屋付近では幕営出来ないと思っていた(実際は何張かあった)ので、食事ののち予定通り門内小屋を目指す。もうひと頑張りだ。 なお、梅花皮小屋は50mほどのところに治二清水という水場があり、稜線の小屋の中では水場が一番近い(自炊小屋なので、水場の位置が重要)。小屋も99年に建て直されきれいだ。
小屋を後にすると、すぐに北股岳(2025m)への急登が始まる。長い登りではなく30分ほどで頂上に着く。しかしすでにガスで展望はない。 はた目からみても形のよい堂々とした山容は目を引く。歩きがいも十分にあり、飯豊連峰の中でもこの付近が一番充実感を味わえると思う。 むしろ山登りの対象としては、飯豊の核心部は本山付近よりも御西岳以降、杁差(えぶりさし)岳あたりにあるのかもしれない。 北股岳を下り、西側に二王子岳?の眺めがいい中、ギルダ原の草原を歩いていく。東側は稜線付近まで雲海が上がってきている。 進むはるか先に門内岳頂上に建つ何かが見える。まだだいぶ距離がありそうに見える。 周囲はまたしてもタカネマツムシソウ、ハクサンシャジンの大群落。そしてここで初めて、アザミのようなシロウマアサツキを見る。 やがて門内岳下に小屋が見え出す。門内岳頂上(1887m)は意外なほど狭く地味な場所だ。さっき頂上に見えていたのは小さな祠だった。 頂上から5分ほどの下りで、その門内小屋に着く。テントサイトは2段になっていて、上は眺めの効く場所(ただし今日はガスの中)、門内池のある下段は風もなく快適な設営場所だ。下段に幕営する。 ただし小屋から水場までは10分近くかかる。秋になると雪田がさらに縮小するのでもっと遠くなるそうだ。 小屋脇で飲み物も売っており、ビールは700円だった。 テント場は快適だったが中高年の団体があとから大きいテントでやって来て、歌は歌うわハーモニカは吹くわ、あたりは夕食の時間過ぎまで騒々しい場所と化してしまった。 最近は小屋泊まりの日だけでなく、テント泊のときも安眠のための耳栓は必需品となっている。 ラジオで関東・東北南部の梅雨明けを聞く。昨年の八ヶ岳から2年連続で、テントの中で梅雨明けを迎えることとなる。 横になると、昼間のすり傷がヒリヒリし出した。
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