~東北きってのスケールで迫る大山塊~ 小白布沢-切合-飯豊本山-御西岳-北股岳-門内岳-梶川尾根 |
●岩峰を越え草原と高山植物の道へ (8/1、小白布沢登山口~横峰~三国岳~種蒔山~切合小屋)
翌朝、宿の車で小白布(こしらぶ)沢登山口まで行く。一般的には御沢登山口から入るのだが、小白布沢口は標高700mくらいから歩き始められるので最近人気が出ているようだ。 この登山口のことを、宿の人は「近道」と呼んでいた。しかし登山口への車での送迎にお金を取られる(500円)とは思わなかった。 歩き出しはまだ5時前、これは今日のうちに、かなり先まで行けそうだ。 沢を何度かまたいだあと、ブナ林の急登に転じる。ザックが重く、ギュウギュウの急登に最初からあえぎっぱなしだ。 その上、背後から朝日を浴び後頭部が焼けるよう。また登山道は大方ぬかるみ、田んぼ状態である。のっけからの三重苦に、それこそ10分登って5分休む、その繰り返しとなる。
横峰付近で傾斜が緩やかになり、御沢からの登山道と合流する。ぬかるみ状態もやや緩和し眺めも開けてくる。隣の稜線にかかっていた雲が取れてきた。登山にうってつけの天気になりそうだ。 地蔵山巻き道の水場を経てなおも進む。このへんは傾斜の少ない、気持ちいい山道だ。 やがて岩がちの道となりぐんぐん高度を上げるようになる。剣ガ峰のピークに登り立つと、背後に青空の下の大きな展望が得られる。 三国岳までは、爽快な岩場の登下降となる。左右が切れ落ちているが、注意していればそれほど緊張する場所ではない。数箇所かる鎖には手をかけずに登った。 小屋のある三国岳(1644m)からは残雪豊かな主稜線、雲間に大日岳、そしていくつかのピークの先に飯豊本山の頭の部分だけが見えている。青空のきれいなうちにあの頂に着けるであろうか。 三国岳以降、七森・種蒔(たねまき)山(1791m)とピークをいくつか越えていく。右側が切れ落ちている部分が多いが、思ったほどきついアップダウンはない。
空はやや白いものが多くなる。遠くガスの間に切合(きりあわせ)小屋の姿が見えるようになる。 気持ちのよい草原地を右に左に方向を変えながら進んで行き、雪田の横を通る。近くにシラネアオイ、白馬岳以来のハクサンコザクラ。そして何とショウジョウバカマが咲いているのに驚いた。春に関東以北の低山でよく見る花である。 やがて、一角にマツムシソウの鮮やかな群落と出会った。ここ一帯で見られるのは、濃紫で背の高いタカネマツムシソウという部類とのことだ。今までよく見ていた種より堂々としていて高貴な印象がある。 タカネマツムシソウはこの後、至る所で見られるようになり、今回の山行ではニッコウキスゲやハクサンシャジンと並んで、稜線に最も多く咲く花のひとつであった。 |