山の写真集 > 谷川岳・越後・信越 > 冬の谷川岳
  • -白くうねる展望の稜線-
  • 天神平-熊沢穴-トマノ耳
  • 谷川連峰
  • 群馬県
  • トマノ耳(1963m), オキノ耳(1977m)
  • 2018年3月3日(土)
  • 6km
  • 4時間15分
  • 644m(天神平-トマノ耳)
  • -
  • 仏岩温泉 鈴森の湯
  • 車, ロープウェイ
天気1

 

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2018年3月3日(土)
練馬IC 5:35
  関越自動車道
水上IC 8:30
  国道291号
9:10 土合口駅 9:30
  ロープウェイ
9:45 天神平 9:55
10:50   熊沢穴 11:00
12:40 トマノ耳 13:10
13:15 肩の小屋 13:40
14:25   熊沢穴 14:30
15:20 天神平 15:40
  ロープウェイ
15:55 土合口駅 16:10
  国道291号
仏岩温泉立寄り
水上IC
  関越自動車道
練馬IC

 

3年前に冬の谷川岳に登り、夏や秋と全く違う雪山の異次元な景観に驚き、感動した。
前後して八ヶ岳、浅間山外輪山、武尊山、湯ノ丸山、北アルプスなどの冬山も登ったが、谷川連峰はやはり他と違った。多量な雪による山の白さと眺望の魅力は抜きん出ている。
今回は、昨年西穂独標にいっしょに登った友人と登る。天気は3年前と同じくほぼ晴れで風も弱そう。3年前の再現のような満足度の高い山行となった。


トマノ耳から主脈稜線を望む

天神尾根を登る(動画45秒)

山頂から(動画1分)

谷川岳(動画25秒)

天神平のゲレンデはボーダーやスキー客で賑わう

ボーダーで賑わう

天神平から望む谷川岳は、双耳峰と猫の目のように見える2つの岩が印象的

ネコ耳と目

尾根下部には一部雪庇ができていた

雪庇あり

熊沢穴に着くまでは緩やかな下り登りがある

下りもある

真っ青な空と雪面とのコントラストがいい

青空との対比

スキーやボードを背負って登る人も多い

ボーダーも登る

平頂の苗場山が見えてくる

苗場山

トマの耳から肩の小屋、主脈稜線を望む

白銀の絶景


渋滞の関越を抜け、ロープウェイ土合口駅に着いたのは9時過ぎ。これでも出発は前回より1時間早い。
天神平の積雪量は310センチと前回の450センチに及ばない。寒くて雪の多かった印象のある今年の冬だが、山に降った雪は必ずしも多くなかった。
天神平のゲレンデはボードやスキー客でおおいに賑わっていた。今日はボードのレースが行われるようで、企業ブースのテントも立てられ、音楽が大音量で流れていた。こういうのはあまり好きではなく、早くこの場を離れたいと思い右を向くと、澄み切った青空の下に谷川岳の2つの耳が輝いていた。

天神尾根の冬ルートは、ブナ林の巻き道ではなく最初に尾根に上がる。本日一番の急登を終えると、この先はずっと樹林のない開けた尾根となる。すぐ近くにボードのゲレンデがあり、大勢の人が列を作っていた。
緩やかな下り登りを経て、熊沢穴避難小屋のある場所に着く。小屋は煙突部だけが雪の上に出ていた。ブナの冬芽を間近に見ることができる。3メートルの積雪の上に立っているからこそ見られるものであり、芽吹きはおそらく頭の上になっているだろう。

尾根が登りに転じ、周囲の白い山並みがどんどん大きくなっていく。真っ青な空の下に谷川岳、俎嵓、万太郎山などの主脈稜線が輝き、3年前と同じ眺めが目の前にあった。
尾根上に登山者が数珠繋ぎになっている。昭和30年代の登山ブーム時代、夏の谷川岳に登山者が連なる様を「蟻のとまどい」と表現した人がいるが、現在はそれがこの冬の季節に起こっている。
天狗の留まり場からさらに高度を上げる。夏は鎖場など険しさもある天神尾根だが、今は雪面が尾根を平坦化して、かえって歩きやすい。西方には浅間山が大きく、苗場山の平頂もせり上がってきた。

トマの耳山頂

トマの耳山頂

オキの耳、遠くの稜線は巻機山

オキの耳

天神尾根の下りは少し急なところもある

少し急な下り

日が低くなり、光と影のコントラストがきれい

光と影

積雪3メートルの上にブナが顔を出している

ブナあり

ブナの冬芽

冬芽

笠ヶ岳と朝日岳

朝日岳


山頂の稜線はもう見えているがまだ標高差を200m近く残している。距離感の狂う眺めだ。一度登った自分にはペースがつかみやすくても、初めての友人はバテ気味である。前回と比べ、雪が少し水っぽく重い感じもする。3年前と違って、数日前に南岸低気圧による降雪があったことも影響しているのだろう。通常の、大陸からの寒気による降雪が続いていたのならもっとサラサラしているはずで、3年前はその印象が強かった。

登り終えると肩の小屋が目の前に。そのままトマの耳まで一直線。一ノ倉岳から茂倉岳、馬蹄型稜線や巻機山、至仏山、そして新潟の山々の眺めが一気に広がった。
このぐるり一周のダイナミックな展望はいつ見ても、どの季節であっても新鮮で見飽きることはない。うねる稜線を見渡すと、日本の山はこうやってできていくものだと納得させられる。ここで360度の動画を撮ってみたかった。やっとそれが実現する。

一ノ倉岳から先を歩いている人がいた。おそらく茂倉岳からピストンで戻ってくるのだろう。主脈稜線のほうはさすがに誰も歩いていない。
友人がかなりバテたようなので、オキノ耳へは行かずに肩ノ小屋の前まで下り、昼食にした。気持ち悪いくらいに風がなく、暖かい。これでも気温は0度前後だろうか。東京では寒くて震え上がるのに、人間の感覚とは不思議なものだ。
それでも3年前にはたくさん見られた氷の芸術品(シュカブラ=氷紋)がほとんどなく、踏み抜きが危険な箇所も少なかった。同じ純白の山頂に見えても、気温と雪の量が少し違うだけで差が出てくる。

下山に入り、上空は薄い雲が出始めた、これも前回と同じである。登りの途中からダブルストックからピッケルに持ち代えているが、何となくこちらのほうがしっくりくる。両手がふさがっているのは、冬山だと少し不安な気持ちがする。
みなかみの町目がけて落っこちていくような下り坂も、夏に比べてスイスイと歩がはかどる。
あっというまに熊沢穴に下りてしまった。谷川岳を振り返り見る。午後を過ぎると斜光気味となるので、光と影のコントラストが際立ってとても美しくなり、3年前は感動した。今回はすでに3月に入っており、日が落ちるのも少し遅くなっっている上に、下山が前回より30分ほど早い。斜光となるには少し時間が早すぎたようだ。それでも朝とはまた違った谷川岳の姿を見ることがて、友人も満足したようだ。

天神平のスキー場に戻る。谷川岳はまだ見えている。今日も1日、ピーカンの天気となって感謝である。
ロープウェイで土合口駅まで下りた。谷川温泉は前回同様、芋を洗うような混雑ぶりだったので玄関口で入るのを諦める。代わりに仏岩温泉「鈴森の湯」に行ってみた。こちらも混んでいたが、まあなんとかなった。のんびりお湯に浸かり、不思議と渋滞のない高速で帰京する。