~上越国境・岩稜と花、草原の山旅~ たにがわだけ(1963m)からしみずとうげ 2005年6月25日~26日
|
今まで上越の山は日帰りばかりで、駆け足気味に登り降りしていた感がある。念願の一泊山行が実現した。 連日仕事で夜が遅い。上越の山というと標高差のある苦しい長い登りという印象がある上に、今日は梅雨の中休みで酷暑が予想されている。今回は2日目にじっくり歩けるということもあり、初日は軽めにロープウェイを使った。
●灼熱の天神尾根、ありがたい残雪 天神平(1319m)からさらに高度を稼ぐリフトは、今日は運休。天神峠を経由せずに直接稜線を目指す。行く先に谷川岳の雄姿が青空に映えている。 ツマトリソウやサンカヨウの咲く平坦な木道を進む。この標高でも、谷深い場所にはすでに残雪が覗いている。今年の雪の多さを印象付ける。 登山者は多く、前後に何人も従えての歩きとなる。
樹林下の行動が続くうちは快適に歩を進められていた。熊沢穴避難小屋を過ぎると、次第に樹高も低くなり日をさえぎるものがなくなって来る。汗が噴出し、水を飲む回数も急に増えてくる。 鎖のかかった岩を斜上する。小ピークに立つと正面に谷川岳、そしてオオカメノキ越しに主脈縦走路も見え出す。形のよい突起は万太郎山だろう。 後頭部に直射日光をまともに受けるようになり、頭がクラクラするようにも感じる。これはちょっとセーブしないと参ってしまうぞ。意識して歩くペースを落とす。一度追い抜いた登山者に再び抜かれる。 後で知ったが、この日の前橋市の最高気温は35度だった。 この天神尾根に重いザックを持った人は自分以外はほとんど見かけない。縦走者はやはり日が高くなってからの行動を避け、早い時間に登り出しているのかもしれない。 自分ももう少し早く歩き出したいのだが、東京を早朝出発の電車利用では、この時間が一番早いのである。どうせシュラフ持参なのだから、夜行で来て駅で仮眠するパターンも体力保存にいいかもしれない。 展望がどんどん広がり、さっきから見えていた残雪の手前までやって来る。ここから肩の小屋前まで、100mほどの雪上歩き(緩い登り)となる。 一歩踏み出す前に、雪解け水を口に含んでみる。冷たさが体に染み渡って落ちていくのがわかる。これほど美味しい水を飲んだのも久しぶりだ。 ついでに雪を手に取り、首の下あたりにつける。頭の中がはっきりしてくる。心底から生き返るようだ。肩の広場の残雪はまさに天然のクーラーそのものだ。
雪上歩きは補助ロープもかけられていて通過は容易だ。ただ下りは少し注意が要るだろう。 肩の小屋に着く。素晴らしい展望と多くの人出。半年振りに見る主脈縦走路も堂々とその姿を示している。ここも早く歩いてみたいものだ。 傍らにミヤマキンポウゲの群落がきれいだ。黄色いテカテカの花が初夏の山によく似合う。トマの耳(1963m)に登るがすごい人の数で、早々にオキの耳(1977m)方面の稜線に逃げる。 |