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2010年9月24日(金) 前夜発
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◇ | | 上野駅 | 23:33 |
急行能登
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5:04 | | 泊駅 | 5:07 |
タクシー
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5:50 | 北又小屋 | 6:15 |
6:45 | 一合目 | 6:50 |
7:10 | 二合目 | 7:20 |
7:40 | 三合目 | ◇ |
8:30 | 五合目(ブナ平) | 8:50 |
9:30 | 七合目 | 11:50 |
9:50 | 八合目 | 12:35 |
10:10 | 九合目 | 10:25 |
10:40 | イブリ山 | 11:00 |
12:00 | 夕日ヶ原 | ◇ |
13:05 | | 朝日平 (テント泊) | ◇ |
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草紅葉の中を朝日平へ (9/24 泊駅~北又小屋~イブリ山~朝日平)
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富山県朝日町の泊駅が出発地である。東京からは、夜行列車の「急行能登」で行く。
急行能登は、今年3月より定期運行が廃止され、平日の夜は基本的に走っていない。出発を前日の22日夜にしていたら乗れないところだった。でもそういう時は、上越新幹線・北陸本線でアプローチして魚津駅にあるビジネスホテルに前泊し、翌朝泊駅に戻るという交通手段もある。
栂海新道と同じく歩いてみたかったのが、北又から朝日岳に登る道だ。登山口のある北又小屋までは、小川温泉から舗装林道を3時間歩くことになるので、ほとんどがタクシー利用となる。一般車は通行が禁止されている林道である。
タクシー代は定額制で9300円(2010年現在)と、単独者にはちょっとつらい。朝日小屋でタクシー相乗りの仲介をしてくれるというので電話してみたが、タクシー会社に直接問い合わせてくれとのことだった。
この日のタクシー予約者は、あいにく自分ひとりしかいなかったのだが、当日になって相乗りしてくれる人が現れた。
色づきはじめた夕日ヶ原
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まだ薄暗い中、タクシーは山深く分け入っていく。思ったほど天気は悪くなさそうだ。
越道峠を最高点に、北又小屋までは100mほど高度を落とすので、少々もったいない。歩いたら3時間のこの林道。タクシーの運転手さんによると、年に数回、歩く人を見るそうである。意外と歩く人は少ないようだ。
北又小屋に着くと管理人さんが出てきて、登山計画書の記入を促された。先に出て行ったボッカのお兄さんは、朝日小屋の従業員らしい。
| 急行能登 |
| 北又の吊り橋 |
| 重厚なブナ林 |
| イブリ山から |
| ダケカンバ |
| カライトソウ |
| イワイチョウの草紅葉 |
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重いザックを背負って出発する。今日は久しぶりの二泊装備である。
吊り橋を渡った先から、すぐに急な登りが始まった。30分ほど踏ん張って、一合目の標識の立つ場所まで上がる。
この尾根は途中のイブリ山を十合目として、合目ごとに標柱が立てられている。朝日岳が十合目でないということから考えると、以前はイブリ山までが一般的な登山コースだったのだろう。イブリ山から先に登山道が開かれたのは、意外と新しいことなのかもしれない。
なおも急な登山道を行くと、鬱蒼としたブナ林となる。時折り下界が開け、北又小屋の赤い屋根がはっきりとわかる。小屋から少し離れたところにキャンプ場と滝も見える。
さらに登ると、早くも海が見えてきた。そしてその反対側には白馬岳の清水尾根が、このイブリ尾根と平行して伸びている。瑞々しいブナの森から見渡す日本海と北アルプスの稜線。この登山コースの魅力である。悪天の影響が残り、ガスの1日かと思われたが、予想外の好展望にうれしくなった。
二合目、三合目・・・。ほぼ20分から30分の間隔で登っていく。合目の数字は大きくなっていくが、十はさすがに遠い。しかもそこはまだ、今日の目的地ではない。
タクシーで相乗りだった方とは抜きつ抜かれつで、時たま合目標柱のところで言葉を交わす。
五合目のブナ平はちょっとした広場になっている。水場を確認しにいく。平坦な道を数分行ったところに小さな沢状の流れがあり、湧き水が豊富に出ていた。
さらに登りは続く。標高1500mの七合目あたりから、樹林が低くなり始める。オオカメノキやナナカマドが真っ赤な身をつけている。
小さな平坦地の八合目に上がるとさらに広い眺めが得られ、今登ってきたブナ林の尾根筋がよく見渡せた。遠くにダム湖が見えるが、おそらく今朝タクシーで通った小川温泉のあたりだろう。そしてその先には海が広い。
途中でミズバショウの群落地をいくつか見る。もちろん花はなく、その大きな葉が、何か大きな車が通過したかのように、根こそぎなぎ倒されている。
九合目は標高1720m。イブリ山との標高差は100mを切った。このあたりでさすがにガスが出てきた。
木道が現れ傾斜が緩くなり、ようやく待望のイブリ山に到着する。「十合目 1791m」の標柱とベンチがある。
開けた山頂だが意外と周囲の眺望は樹林に隠される。しかしこれから進む方向には、前朝日岳を中心として、草紅葉に彩られ始めた稜線がたおやかに伸びていた。本格的な紅葉の時期には若干早いが、それでもいい色になりつつある。
イブリ山から少し下ると一時的に尾根がやせ、ロープのかかった急な岩場を越える。上がった所が夕日ヶ原の入口あたりだろう。さっきイブリ山から見えていた草紅葉はこの付近のものだった。
イワイチョウの葉がまさに、黄緑から黄色に変わり始めている。綿毛のチングルマも多く、さらに驚くのはカライトソウがまだたくさんピンク色の花をつけていることだ。前回4年前の8月初旬にも、雪倉~朝日岳あたりで群落を作っていたが、紅葉の季節まで開花期は続くようである。
夕日ヶ原は眺めも大変よい。ここから見る夕日がきれいなことからつけられた名前だというのもうなずける。
| 朝日平 |
| 残照の白馬岳 |
| 朝日小屋の前から |
| 夕日ヶ原のほうへ |
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小さな沢を横切り、大きな石を越えていく。緩やかな傾斜だが、だらだら坂がけっこう堪える。前朝日岳を左から回り込むと再び視界が開け、朝日小屋の立つ朝日平に着いた。
テントの申し込みに行ったら、小屋番の清水ゆかりさんが出てきた。あいにく電話をしながらの応対だったので話はできなかった。
まだ午後1時を過ぎたばかりで、小屋の中も外も静かである。小屋の前の広いテント場にはまだ誰もいない。ここに自分のテント1つだとかなり心細いな、と思っていたら、後からもうひと張り張られた。小屋の宿泊客は15名ほどということだった。
目の前には朝日岳が大きいが、ここからの眺めのポイントは何といっても、白馬岳から雪倉岳に続く山稜の大きさである。もはや夏山の明るい緑ではない。しかしハイマツの黒みがかった緑色と山肌の白のコントラストが、秋色の山らしい。そして剱岳も高く聳えている。
日が雲に隠れると、かなりの冷え込みになってきた。今年の山のシーズンに入って以降、「寒い」と感じたことはもしかしたらこれが初めてかもしれない。
着るものを1枚、持ってくるのが足りなかったかと心配になる。明日の朝、放射冷却になったら凍えそうだ。
残照の北アルプスの景観はすばらしかった。まず朝日岳が夕日に照らされて赤らみ、続いて雪倉、白馬と夕焼け色がゆっくりと移動していく。日本海側の地平線も真っ赤である。
角度的に、ここからは太陽の落ちるのは見えないのだが、それでも十分にドラマチックな眺めが見られた。夕日ヶ原で夕焼けが見たく足を延ばそうとしたが、途中で暗くなってしまったので途中で引き返した。
今日は骨のある登りをこなし、充実した1日を過ごせた。明日とあさって、いよいよ栂海新道への挑戦となる。しっかり寝て体調万全でいきたい。
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