2006年8月5日(土)~8月8日(火) |
ガスが濃くなり周囲の眺めはなくなる。さらに下って樹林帯に入る。赤男山の鞍部は標高2000mほど。雪倉岳から実に600mを下ったことになる。 少し登り返して小桜ガ原。ここはハクサンコザクラの名前の由来となった場所だという。緩い登りの木道からはそのハクサンコザクラ他、チングルマ、そして水のある所にはミズバショウも見られる。 雲が流れ、正面に再び朝日岳の姿が。アカモノ、マイヅルソウを足元に見ながらさらに進む。それにしても長い。白馬水平道の分岐点はまだ先のようだ。 樹林帯や草いきれの暑い道が続く。このへんの雰囲気は北アルプスというよりも、越後の山の長い尾根といった印象である。
単調な木道に飽きが来た頃、ようやく白馬水平道分岐に着く。思い描いていた印象と違い、単なる登山道の通過点だ。右の急斜面に朝日岳への登路が伸びている。 「水平道は通行できます!」という看板が立てられている。数日前まで、残雪のために通行禁止だった。どちらにしても水平道は難路と聞いていたので、朝日岳を越えて行こうと思っていた。しかし通行可という看板を見て迷った。 一度朝日岳の登りに足を踏み入れたが、のっけから急斜面なのですぐ戻った。「水平」という言葉に誘われて水平道を進むことに方針変更する。 キヌガサソウやサンカヨウ、ショウジョウバカマなどの咲く道を進む。なおも木道が現れるが、残雪そして急登、急下降と変化の多い道だ。 残雪はスノーブリッジになっている。雪の上にベンガラが引かれた後に、雪がどんどん解け厚さが薄くなっているので、ベンガラの上を歩くのが必ずしも安全とは言えない。長い登りではビニールテープに沿って雪の外側にある踏み跡を登る。 遭難対策協の腕章をした人がやって来た。残雪上の通行可能箇所のチェックに来たのだろう。こういう場所では通れる箇所は日々変わっていくだろうから、それを調べる人の苦労も大変だと思う。 山腹のトラバース道がこれでもかと続く。ザレて道が細くなっている場所を冷や冷やしながら通過。やがてポツ、ポツと来てしまった。ガスの間からようやく朝日小屋の三角屋根が見えるようになる。雨足はそれほど強くならない。雨具を着なくとも小屋まで持ちそうだ。 水場で小憩後、最後の緩い登りをこなし、チングルマとニッコウキスゲの咲く朝日平に着く。長い道のりだった。テントの申し込みをしてすぐ設営する。 しばらくして、朝日小屋には続々と人が到着するようになる。皆雨具を着込んでいる。自分は少し早めに着いてラッキーだった。 到着するなり拍手、バンザイしている登山者も見受けられる。あまりのつらい行程に、途中で引き返そうかと考えた人もいるようだ。朝日平は山頂でもないのに、到着して思わずバンザイするほどの場所である。 日の射す時間もあったが、やがて激しい夕立となる。雷は遠くで鳴っていて、近づいてこなさそうなので一安心。 何しろ雷は一昨年の笠ケ岳で懲りている。 朝日平にテントは10張ほど、小屋もそれなりの宿泊者がいたようだ。朝の弁当だけ小屋にお願いしておく。 |