タイトル
夏の北アルプス縦走 2004年7月24日(土)~29日(木)
1 2 3 4 5 6 Home


●高天原温泉、夢の平へ
7/27(火)4日目 雲の平~岩苔乗越~高天原~雲の平  晴れ昼過ぎ一時雨

やっとぐっすり眠れた朝、しかもいい天気。今日はお待ちかねの温泉に入る日だ。

雲の平から高天原(たかまがはら)温泉までは標高差500mほどを下ることになる。しかも雲の平に帰ってくるのだから同じだけの登り返しとなる。温泉で汗を流すのに元の木阿弥では、との思いもあるが、この山奥の秘湯に入ることに意義があるので、テント山行でこのコースプランは考えられないでもないだろう。欲を言えば高天原にテントサイトが欲しい。

雲の平テント場と薬師岳
雲の平テント場と薬師岳
祖父岳から槍・穂高
祖父岳から槍・穂高
お花畑と薬師岳
お花畑と薬師岳

祖父岳頂上
祖父岳頂上

祖父岳(2825m)では4年前と同じ、北アルプスの大展望。今日はどの方向を見てもクリアな眺めが得られる。

祖父岳から岩苔乗越間は実に花が多い。ヨツバシオガマやウサギギク、シラネセンキュウ?、チングルマなど入れ替わり群落が続く。特にヨツバシオガマのピンク色が鮮やかで、他の山域で見るよりもずっと色付きがよく感じる。

岩苔乗越(いわこけのっこし)からは長い直線状の下り。はるか下に見える谷底めがけて、大きく落ち込んでいく。急坂はないが、登路に取ると相当な忍耐が必要な道だ。

そしてここも百花繚乱。高度を下げるにつれ咲く花も変わっていく。下部はハクサンフウロ、ミヤマカラマツソウ、ミヤマキンポウゲ、クルマユリなどが咲き競う。東京や周辺の低山は、今年は花の少なさが気になっていたが、ここ北アルプスの高山は変わらず花いっぱいの地だ。

高度をさらに下げ、森林限界に戻る。ダケカンバなどの広葉樹から針葉樹林の鬱蒼とした森へと移行する。花も樹林も、植生の垂直分布がよくわかる道だ。
水晶池は特に何にもない静かな地。そこから沢沿いの道はかなり歩きにくい。しかし高天原へはもう30分ほどだ。
薬師沢への分岐を右に折れる。高天原山荘は昔ながらのこじんまりした小屋。稜線の山小屋に比べて何と静かな雰囲気だろうか。

コバイケイソウ
コバイケイソウ
高天原への長い下り
高天原への長い下り
夢の平の竜晶池
夢の平の竜晶池

温泉に入る前に、夢の平へ足を伸ばす。竜晶池は水晶池より小さい。草原のニッコウキスゲはもう終期。今の時期はミヤマリンドウが多く咲く。
夢の平、ここから先には一般的な登山道はない(踏み跡はある)。雲の平への初訪時以上に、北アルプスの果てまで来たという感がある。針葉樹林の上に薬師岳の姿がまるで絵画のよう。静かで時が止まっているような不思議な空間である。

高天原温泉
高天原温泉

高天原温泉(女性用、混浴露天、女性用露天とある)はやや白濁の香りのいい温泉。期待以上だった。当然石鹸類は使えないが、お湯で髪を洗う。

温泉から高天原山荘までは緩い登り返しとなる。さらに高天原峠までも石ゴロゴロの登りが続くので、雲の平に戻らないうちから、さっぱり流した汗と同じ分をもうかいてしまう。

高天原峠からの登りはそれほどきつさはない。急な梯子を超えしばらくすると森林限界、雲の平の雰囲気となる。しばらくの間は緩やかな傾斜の花の園で、チングルマなど多い。このへんの穴場かもしれない。

さらに高度を上げると奥スイス庭園の指導標に行き着く。4年前の8月は、薬師岳をバックに豊富な残雪があったのに、今年はすでに残雪が全くない。このへんも温暖化の影響なのだろうか。
高天原温泉
高天原温泉
スイス庭園から水晶岳
スイス庭園から水晶岳

コロナ観測所を過ぎると雨となり、相前後して会った登山者とともに、早足で雲の平山荘に逃げ込む。
山荘はけっこうな混雑。しかし布団は1人1枚が確保できそうとのことだ。
雲の平山荘は外観のモダンな印象とはうらはらに、中は昔ながらの山小屋の雰囲気がして好感が持てる。

自分はテント場に戻らねばならない。山荘の軒下でしばらく雨宿りする。
遠くで雷も鳴っているのだが、今までの悪天と違い夕立のような降りなので、ほどなくして雨は止むだろうと思いじっと待つ。軒下から眺めるガスと雨の日本庭園もいいものだ。
小降りになったところを見計らいテント場に戻る。

ちゃんと数えていたつもりなのに食糧が不足気味。午後の天候悪化を避けるため、行動は昼過ぎでやめテントに入ってしまう日々が続いた。そのせいで午後は手持ち無沙汰になりがちでついつい食事をしてしまう。しかもフリーズドライばかりで6日間続けるのはやはり難しい。栄養面よりも精神的につらいのだ。

明日は食堂のある太郎平小屋を通る。久しぶりに人の作ったものも食べたい。

夕方からは素晴らしい好天となる。付近の散策に出かける。スイス庭園での水晶岳、夕日に赤らむ雲の平を見る。


前のページ Home 次のページ