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夏の北アルプス縦走 2004年7月24日(土)~29日(木)
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●双六テント場で再び雷雨、突風
7/25(日)2日目 笠ケ岳~双六小屋  曇り一時晴れ、のち雷雨

笠ケ岳頂上からクリヤ谷方面
笠ケ岳頂上からクリヤ谷方面

上空に青空のぞくが周囲は濃いモヤの中。笠ケ岳頂上(2897m)に登る。槍や穂高のシルエットがうすぼんやりと見える。
西側に目を向ければ、クリヤ谷への下降路がダイナミックで歩きたい気にさせてくれる。

立山や後立山連峰の方向にはすでに、背の高い積乱雲が形成されつつあるのが見える。今日も天候は不安定そうだ。
今日は三俣山荘までの縦走、天気がよければ頑張って雲の平まで行ってしまおうと思っているがこの空模様では無理は出来ない。

テントを撤収しようとすると、内側がかなり結露しているのに気づく。ゴアライトXはやはり、朝夕の気温差の激しい高山になると結露の程度が大きい。以後毎朝、起床直後は決まってタオルで水分を拭き取る作業で始まるようになる。

笠新道分岐まで昨日の道を戻る。依然としてガスの中。途中、足を怪我てテーピングしているおばさんとすれ違う。笠まで行けるのか心配になる。最近は怪我をしたまま歩いている人をよく見かけるようになった。

秩父平に下るあたりでやっと日が射す。この付近も見事なお花畑。ハクサンイチゲ、シナノキンバイ、ヨツバシオガマなどが咲き続いている。秩父岩の奇怪な岩壁は瑞牆山を髣髴とさせる。
またしてもガスが充満してくる。ちょっとでも日の射して見通しのよいところがあると、ガス共はそれに狙いを定めてすぐに攻撃してくる。
秩父平
秩父平
秩父岩
秩父岩
双六キャンプ場で一時の晴れ間
双六キャンプ場、一時の晴れ間

大ノマ岳(2662m)、弓折岳とガスの中をこれでもかと登らされる。このへんはペース配分が大切だ。しかし睡眠不足で調子が悪い。重い荷物もまだ腰にズシンと来ている。
大ノマ乗越はコバイケイソウの群落となっている。そして岩陰にきれいなキヌガサソウが咲く。

弓折岳(2588m)直下から雨となった。雨具を上下着る。そして再びの雷鳴にびくびくする。今日は早めの行動切り上げを余儀なくされそうである。
鏡平分岐を過ぎると雨は小降りになる。暑いので雨具を脱ぐ。その後天候は若干回復、稜線から見た双六小屋付近の鞍部は日が射して明るくなっている。
この天候なら三俣蓮華岳を越えられるかもしれない。しかし体調のこともあり自重して、今日は双六にテントを張ることにする。

昨日、今日と日があまり出ていない割には大量の汗をかく。体が塩分を欲しているのか、インスタントの味噌汁がとても美味しい。
今回は徹底した軽量化のため、食品もすべてパッケージから出してラップで包んできている。アルファ米を戻すための入れ物も1つで毎日使い回す。パッケージの省略化だけで200~300グラムは浮いているはずである。
またこれらの工夫は、山行中出るゴミの量を減らすことにもつながる。今までのテント山行では、最後に何袋ものコンビニ袋がゴミでいっぱいになっていた。軽量化のためにもゴミの量を減らすさらなる工夫が求められる。

双六テント場でいっときの晴れ間。ギラギラした陽射しが復活する。しかしそれも2時間ほどのこと。みるみるうちに空が暗くなってくる。
夕方からやはりどしゃ降りの雷雨となる。今日は雷鳴が絶え間なく聞こえる。近くの稜線に落ちた模様。
第一波が過ぎた後、今度は猛烈な突風でテントが壊れそうになる。こんな風は今まで体験したことがない。自分が中にいて踏ん張っていなければテントは飛ばされていたかもしれない。

雨音が弱まって、耳を澄ますとゴー、ゴーという音。換気口から外を覗くと、雨が濁流となり山の斜面を激しく伝い、双六池に流れ込んでいる。こんな光景も初めて見た。

昨日、今日と北アルプスでは大天井岳・爺ケ岳・不帰ノ嶮(唐松岳)と落雷事故が相次いだ。自然がいったん牙をむくと、変な言い方だが、手加減などというものはなく、その場にいるものを容赦なく痛めつけようとする。先日の新潟・福井の豪雨災害がよい例だ。自然の怖さを目の当たりにした2日間となった。


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