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朝3時ごろ目がさめる。今日もよく眠れなかった。 そしてまたしてもテントをたたく雨の音。しかし中で食事をしている間に止む。出発する頃ようやく青空が広がる。小屋前から鷲羽岳や祖父岳も見え、ホッとする。 双六岳への登り。双六岳は近くまで来て2度も巻いているので今回は久しぶりに頂上を踏みたい。 槍、穂高をバックに平坦な台地に出る。今回初めての稜線漫歩。しかしまだ疲れがたまっていて若干足取りが重い。 双六岳頂上(2860m)に立つと反対側に黒部五郎岳、薬師岳も顔を出す。リクライニングチェアの形をした大石に腰掛けて展望を楽しむ。 丸山(2854m)、三俣蓮華岳(2841m)とアップダウンをこなす。青空の割合が少なくなり、三俣蓮華岳頂上ではガスに包まれる。天候は一進一退。 しかし、そこにあって当たり前の鷲羽岳や水晶岳、黒部五郎岳をこの目で確認出来るとやはりうれしくなる。
三俣山荘に下る。フリーズドライばかりの食糧では精神的につらいので、三俣山荘を通り過ぎるときはここの食堂で何か食べたいと思っていたが、まだ時間が早い。 なお小屋前の掲示板によると、野口五郎岳のテントサイトは閉鎖されたとのことだ。 黒部源流へ下る道を行く。ミヤマシシウド、コバイケイソウ、ハクサンフウロ、クルマユリなど花が多くなる。黒部源流の渡渉は大したことない。1日~2日の単発の大雨なら、直後の数時間を避ければ大丈夫そう。 岩苔乗越への分岐点。直進し、乗越に上ってそのまま高天原に下ることも考えたが高天原にはテント場がない。出来るだけテント泊で通したい。やはり雲の平への道に進む。
祖父岳(じいだけ)下への登り返しがけっこうきつい。振り返るたびに、源流付近の流れがどんどん眼下に落ち込んでいく。 さっきまでは見上げるほどのところにあった対面の三俣山荘も目線の下に来るようになり、やがて祖父岳下の稜線に上りつく。チングルマの群落。太陽と青空はもはやなくなり、再び霧雨模様となる中雲の平テント場へ。 テント場はトイレ建設の工事中。ヘリで建築資材やプレハブ小屋などを何度も運びおろしている。そのたびに工事現場の近くではヘリの強風でテントがあおられている。外観のほぼ完成しつつあるトイレはすごくきれいで頑丈な造りだ。 このテント場も水が豊富で滞在しやすい。 テント設営の申し込みに雲の平山荘へ行く。テント場から15分くらい離れている。 以降、目に見えて天気は安定してくる。同じ青空でも夏山の爽やかな空の色は、見て明らかに違う。この日この時が今年の北アルプスの梅雨明けだったのだろう、ようやく夏山シーズンに入ったと実感する。 この日は何もせず食事をして回りの景色を見ながら過ごす。 |