~草紅葉と展望、いで湯の山旅~ はっこうださん(1585m) 2004年9月24日(金)~26日(日)
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●高田大岳から縦走 夜半雨が降る。予報では雨のち晴れだが、青空への回復は昼過ぎから夕方にかけてか。 南八甲田をめぐれなかった分、今日・明日と北八甲田の山塊を出来るだけくまなく回りたい。
まずは谷地温泉が登山口となる高田大岳に登る。ここは泥道で有名。スパッツは役に立たないだろう。レインウェアを履いて山道に入る。 短いブナ林を経て、やがてぬかるみの道。ところどころ水溜りとなり道の端を歩く。しかし随所で水の中を歩かなければ通過できない所にも出くわす。 道のヘリばかり歩いていては疲れてしまう。浅いところなら水の上を歩いたほうがかえって楽だと気づく。
泥の後はV字状に深くえぐられた幅の狭い急坂。UではないVなのである。足の置く場所を探しながら、もう登るのに無我夢中。今まさに山と対峙しているという実感がわく。 森林限界を超え背後に大きく展望が開ける。南八甲田の広大な森の海の中に猿倉温泉、谷地温泉の切り開きが箱庭のようだ。 上部は青空をバックにした高田大岳の頂稜部。そこを目標にひたすら高度を上げるが、目標の頂上がなかなか見えてこない。登るとさらにその上が見えてくる。端正な三角錐の山を登るときはそういうことがよくある。 高度を上げるにつれアオモリトドマツからダケカンバ、ハイマツと植生もどんどん変わっていく。展望満点の登りとなったがまだ歩きにくい。道幅が狭く、ハイマツの枝やネマガリダケが行く手を阻むためだ。そのため背筋を伸ばした体勢を続けることが出来ず、意外と疲れる。 ところどころにある展望地でザックを下ろし、眺めを楽しみながらゆっくりと登る。 東側からガスが沸き立つ。祠のある高田大岳頂上(1552m)に着いたとたんに周りは真っ白に。しかししばらくして、八甲田大岳方面のガスが切れ眺めがよくなる。 ピークは東西に2つあり、西側にあるほうで休憩する。祠の場所よりこちらのほうが標高が高いように見える。 福島の郡山から来た人がいた。スパッツもつけず登って来ているため足元が真っ黒になっている。 郡山といえば今年の春に登った安積山(額取山)、この話題になる。あまり知られていないがいい山だということで意見が一致する。 また今年は平日ばかり天気がよくて、土日の山は天気にめぐまれないと言う。自分も最近そう感じていたので、今年は日本どこでも同じ傾向なのだなと妙な共感を覚える。 高田大岳からは急な斜面を下る。歩きにくさは先ほどの登りほどではないが、やはりぬかるみなどに手こずる。
木道となり、草紅葉のきれいな鞍部に下りる。田代平(たしろたい)への分岐がある。このへんは高田大岳の頂上からもよく見えていたが、振り返れば高田大岳はガスに隠れ気味。しかしどこから見ても三角錐のきれいな山だ。 進む先に今度は小岳のまろやかな山体が見えてくる。天気も再び持ち直してくる。 小岳(1478m)の頂上からは両側に高田大岳と八甲田大岳、眼下に広がるアオモリトドマツ樹林帯とそれに続く仙人岱の湿原や硫黄岳、この縦走路でも秀逸の展望が得られる。 仙人岱の分岐に着く。ここから先は昨日歩いた道だ。少し先の仙人岱避難小屋にグループが入っていくのを見た。 今日は土曜日だし、今日泊まる予定の大岳避難小屋も混雑するのだろうか。
水場で今夜の水を調達する。大岳避難小屋には水場がないので水を担いで八甲田大岳を越えることとなる。 もう午後3時を過ぎた。自分以外に八甲田大岳に登る人もいないようだ。静かな登高ののち、再び森林限界に達する。途中の池にオオサンショウウオの子供がいっぱいいる。 昨日に続いての八甲田大岳登頂。日もすでに雲に隠され風が冷たい。山の上はもう秋を通り越して初冬の入口にまでさしかかったようである。 ガスの中を下って大岳避難小屋に到着。人はいなかった。きれいで頑丈な造りの小屋を一人で存分に使わせてもらう。明日の好天を祈って床につく。 |