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2008年8月10日(日)~13日(水)
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●稜線上の小屋で
8/11(月) 大鳥池~オツボ峰~以東岳~狐穴小屋~寒江山~竜門小屋  晴れ


竜門小屋

三方境で相模山方面の道を分け、寒江山(1695m)に至る。進む方角には雲が出始め、少しずつこちらへ流れてくるようになった。ここまで快調に来れているので時間的には大朝日小屋まで行ける計算だが、樹林のない稜線はやはり雷が恐いので無理な歩きは出来ない。
寒江山一帯はヒナウスユキソウの群落で知られる。しかし花期のピークは過ぎていて白くきれいな花があまり見られない。

花はさらにダイモンジソウ、タカネナデシコなど夏の後半によく見られる種も目にするようになる。足元にはアカモノ。花ではなく、宝石のような真っ赤な実をつけている。
また東側の草付きの斜面に登山道が近づくと、緑の中にニッコウキスゲの鮮やかな黄色が浮かんでいる。黄色のほかにピンク色のものがないかと、ヒメサユリの咲き残りを求めて探すが、さすがにもう残っていないようだ。

ハクサンフウロ
アカモノのさく果
寒江山頂上
タカネマツムシソウ

目の前の竜門山が壁のように迫ってくる。その手前に竜門山避難小屋が見える。さっきの狐穴小屋と場所的に同じような位置にあり、稜線からの小屋の見え方もよく似ているので不思議な感じがする。
同じく最後は少し登って、竜門小屋に着く。

管理人さんと思われる方に「今日はどこまで?」と声をかけられた。ここまでですと答え、宿泊の申し込みをする。
2人の子供連れの人は管理人さんの知り合いのようだ。他に夫婦が数組、大鳥小屋からの人も含め20名くらいの宿泊となる。窮屈ではないが、平日にしてはけっこうな入りとなった。
なお、竜門・狐穴両小屋とも収容人員数は公称50名程度となっているが、これは目一杯詰めた場合にそれだけ入るという数字のようだ。快適に泊れる限度は30名くらいまでだろう。

朝日連峰の小屋は全て自炊で寝具持参となるが、狐穴や竜門にはビールだけはおいてあった。また、大鳥小屋は雨でなければコンロは屋外で使用する決まりだったが、竜門小屋は室内での使用が可能だ。そのへん小屋によって少しずつルールが違っている。
ここにももちろんホースで引かれた水場が小屋の前にある。しかし今朝、水が出なくなったらしく、管理人さんが補修したとのこと。水を常に出し続けるための苦労は小さくないものがありそうだ。

また、縦走路の草刈りも管理人さんの手により行われているとのことで、竜門の管理人さんは7月下旬から何日もかけて大朝日から相模山にかけての草刈をしたそうである。
単なる小屋の番をしているだけではなく、登山者のためにいつも尽力されていて頭が下がる。

竜門小屋の立地場所は理想的だ。今まで歩いてきた稜線の先にどっしりとした山容の以東岳。相模山への稜線もきれいだ。鳥海山は見えなくなってしまったが月山はまだ大きい。
また西方には幾重にも連なる山並みの眺めが見事だ。個性的な姿の越後の鷲ノ巣山、さらに南西方向かなたには飯豊連峰。石転び沢の雪渓もよく見える。
北西には天気がよければ日本海、そして佐渡まで見えるというが今日は霞んで、かろうじて海の線が見える程度だった。
朝日連峰の大きさが体感できる、最高の場所に建つ小屋である。

縦走せずに、これらの小屋に何泊か泊まって花を楽しむ人も多いようだ。聞いてみたところ、日暮沢の駐車場に車を置き一泊目は狐穴小屋、翌日に以東岳や相模山を往復して竜門小屋泊、そして3日目に大朝日岳に登り小朝日岳を経由して日暮沢に戻るというコースを取る登山者がけっこういた。
縦走する人もいたがどちらかと言うと少数派である。こういう彷徨型の山歩きも朝日連峰にはいいと思った。

夜は満天の星空。けっこう気温が下がっていておそらく10度台前半くらいだろう。1日の寒暖の差が大きい山地である。


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