●チングルマの草紅葉道と田沢湖の眺め (八合目~秋田駒~火口原~国見温泉)
男岳への登りにて。阿弥陀池と秋色の横岳
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高度を上げ、再びガスの中に入るが、女目岳(おなめだけ・1637m)を西から巻くようにして阿弥陀池のほとりに出るあたりで視界がよくなる。
女目岳は見事な草紅葉で彩られている。5年前に登っていなかった男岳(おだけ)のほうに、今日は登る。
横岳とを結ぶ稜線に上がると、国見温泉側の斜面が見えるようになる。秋田駒は8合目コースや乳頭山への縦走路、すなわち北側にある登山道がよく歩かれているが、反対の南側のコースも魅力的だ。
今日はそのうち、小岳の火口原を巡るコースを下り、翌日は横長根を登って乳頭山への縦走につなげる予定である。
男岳頂上
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小岳の火口丘
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真っ赤な草紅葉
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男性的な男岳
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岩の稜線を伝って、鳥居の建つ男岳頂上(1623m)に着く。ガスが出て田沢湖の展望が得られないのが残念だが、それでも時々女目岳や遠くは岩手山の眺め、そして八幡平や森吉山など、北西側の山々も望める。
再び稜線を下る。南側のガスが一気に晴れ、女岳(めだけ)や小岳の火山特有の姿があらわになる。火口原のコースには木道が光って見えているので、迷うことはなさそうだ。
そしてその木道は左右を赤土のようなもので囲まれている。あれがひょっとして草紅葉だとしたらすごいことだ。このときはまだ赤土だと思っていた。
阿弥陀池の分岐で南側の急斜面を下る。見上げる男岳はこちら側から見ると、その名の通り男性的ないでたちで急峻に立ち上がっており、ちょっと谷川岳のようなイメージを抱かせる。
秋田駒というと東北の山らしい、優しい印象があるのでこれは意外な姿である。
さっき見えていた火口原の木道に下り着く。赤土に見えていたのは、チングルマの草紅葉であった。この草紅葉のベルト地帯は、幅広いところで数10mはあり圧巻だ。紅葉の見事さもさることながら、このチングルマ群落が初夏に開花する様を想像するとさらに驚きである。
横長根の大焼砂もコマクサが多く咲くらしい。これで秋田駒をコースを変えて2回歩いたことになるが、それでもこのチングルマとコマクサの両群落はまだ見ていない。どうやらここにはもう一度来る必要がありそうである。
また、草紅葉だけでなくカエデやウルシなどの潅木の紅葉もまばゆいくらいに鮮やかだ。
木道から黒土の斜面へ、そして横長根に合流する。この横長根は秋田駒の外輪尾根で、女岳を囲うように長径3kmほどの楕円形を描いている。
男岳・横岳を経てこの横長根を一周するコースは1日がかりとなり、富士山や岩手山のようなお鉢巡りともまた違った、変化のある山行が楽しめそうだ。
今回は3分の1周して国見温泉に下る。上部は森林限界上であるから、円弧の形状がよく見える。ちょっと他では味わえないような珍しい雰囲気を持った尾根歩きである。
田沢湖や雫石の町並みが一望のもとに見渡せ、展望も素晴らしい。
さしたる急坂もなく、国見温泉へ下る分岐に着く。明日もこのコースを歩くので写真はあまり撮らない。国見温泉までは階段道、木道、そしてブナ林を35分ほどだった。
国見温泉の「石塚旅館」に今夜は泊まる。まるで入浴剤を入れたかのような、香りの強いエメラルドグリーンのお湯である。成分も濃いようで、浴槽の床に手をつけると湯の花が指に絡まるほどだ。「ヨクキク」湯といった印象。
また、大きな自炊棟が長期滞在の湯治客が多いのを物語っている。自分は気に入ったが、このお湯には人によって好みが分かれそうだ。
登山客にも親切で、雫石町の立派な登山地図ガイドをもらった。滝ノ上温泉周辺のコースも解説されていて、2日目・3日目の山行に役に立った。
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