~赤く彩られた裏岩手縦走路の主峰~
タイトル

みついしやま(1466m)
2007年10月7日(日)晴れ、朝のうち曇り

6:50滝ノ上温泉-6:55登山口-7:40網張林道-8:10水場8:15-8:43大松倉橋コース分岐-9:10三ツ石山荘9:25-9:55三ツ石山10:20-10:45三ツ石山荘11:10-11:55松川大橋コース分岐-12:40松川温泉(峡雲荘前)15:25-[バス]-17:45盛岡駅18:23-[東北新幹線]-21:45東京駅
歩行時間:4時間45分

マップ
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三ツ石山は、岩手山と八幡平を結ぶ裏岩手縦走路の中間点にある、展望に優れた山で人気も高い。
昨日、乳頭山から見たこの山は、頂上部が紅葉で真っ赤になっていた。この日は少し前まで雨の予報だったが、天気は何とか持ちそうだ。赤い峰を実際に近くで見に行くことにした。

ブナ林の登り

足元の彩り

北東北山行3日目の朝。窓から空を見たら一面真っ白。向かい側のブナ林も見えない。そんなはずはないと思い、よく見たら湯煙が空を覆っていたのだ。三ツ石山の登山は湯煙の中からのスタートとなった。
登山口は滝峡荘からキャンプ場方面に数分歩いたところにある。昨日乳頭山から見たこの山稜は、麓から急峻な形で立ち上がり尾根を形成していた。急登の続くきつい登りになることを覚悟していた。
熊のよく出る地域だそうだ。鈴を意識的に大きく鳴らしながら、ジグザグの急登をこなしていく。

地熱発電所の機械音は夜通し鳴り続けていた。今日も朝から聞こえていたが、標高を上げるにつれようやく遠ざかっていった。
あたりはうっそうとしたブナの森。心が洗われるとはこのことだ。紅葉していなくてもいい。熊との遭遇は恐いが、鈴の鳴らすのを止めて耳を澄ましてみる。

歩き始めて1時間弱、網張林道を横断する。自分の持っている地図ではこの林道は建設中で、登山道と交差しているとは知らなかった。
さらに登る。樹間から稜線が見え隠れする。沢沿いの道となり、紅葉した木もだんだんと多く見られるようになる。

三ツ石山頂上から岩手山を望む
三ツ石山頂上から岩手山を望む

水場を過ぎ、若干斜度が弱まる。今度は右から別の登山道が合わさってきた。これも地図には書かれていない道だ。指導標には「大松倉橋」とあり、その方向から登山者がやって来た。どうやら車で途中まで上がってきて、比較的手軽にここまで来れるコースがあるようである。滝ノ上温泉コースを登る人はあまりいなさそうだ。

大松倉橋分岐から少しの登りで眺めが開けてくる。背後に昨日登った乳頭山、その後ろに秋田駒の姿もある。
木道が敷かれたアオモリトドマツの樹林帯を分け入っていくとようやく、左手に三ツ石山の山頂部が望める。

枯れた水場を左に見て、三ツ石山荘の建つ湿原に到着する。一昨年の八幡平で見たような、池塘と針葉樹林の静かな森、絵画的で素晴しい。正面には三ツ石山がたおやかな姿を呈している。行き交う登山者もぐっと増える。

荷物を一部小屋に置き、三ツ石山への登りに入る。にわかに風が出てくる。笹の原を登って、広い台地に出る。大きな岩が散在するここが三ツ石山頂上である。風が強烈に吹き付けている。

頂上付近

山荘付近を見下ろす

たおやかな山容

三ツ石山からの岩手山は、上品で形のいい山容である。昨日ずっと見ていた姿と全く違うのが面白い。そして乳頭山から見た通り、山頂部はカエデの赤々とした紅葉で見事に彩られていた。
大深岳から八幡平へ続く稜線も気持ちよく伸びている。昨年やろうと思って頓挫した縦走の実現に向けて、思いを新たにする。
三ツ石山荘へ下る。何班にも分かれた団体さんが登ってきていて、付近は大混雑だ。日差しが弱く肌寒さも手伝って、山荘の中も満員御礼状態。荷物の整理と下山準備は室外でやることにする。
ここは混んでいなければ泊まってみたくもあるが、水場が枯れる心配があるので(今日も枯れていた)、縦走なら他の小屋泊でもいいかなと思った。けれど景観の素晴しい場所であり、なかなか去り難くもある。

3日に渡った北東北の山旅も、最後の下山となる。この松川温泉へ下る道は、エアリアマップでも「ぬかるみ多い」と書かれている。
スパッツはあまり役に立たないと思い、レインウェアを履いて下ることにした。しかし実際歩いてみると、全然そんな歩きにくさはなかった。雨後だったらまた違うのかもしれないが、これならむしろ、滝ノ上温泉からの登路のほうがぬかるみ度は大きいように思う。


岩手山

地熱発電所

幾度かのアップダウンを経て松川大橋分岐へ。ここまで紅葉した木も多く見られ、針葉樹林とのコントラストがいい。
天気はにわかに回復し、昨日と同じ青空眩しい山行となる。切り開きに出ると、岩手山が大きな高い姿で見送ってくれている。

階段道を下り切ると松川温泉の登山口となる。松川温泉には3軒の宿が、お互い少し距離を置いて存在している。しかし一番に目に付いたのは蒸気を通す鉄管で、松川温泉にも地熱発電所があるのだ。山や温泉宿の静かな雰囲気との取り合わせが妙な感じではある。

すぐ近くにある松川荘に立ち寄り入浴する。白濁のお湯はやわらかく、青空の下の露天風呂が気持ちいい。しかし今日は三連休の真ん中でかなりの混雑である。
おみやげを買って、峡雲荘のあるバス終点まで少し登る。

バスの車窓からは、見通しの利いた場所に出るといつでも岩手山の端正な姿が見られる。岩手山は本当に大きく、高い。
翌週は寒波が到来するとの事、雪が舞うのもすぐだろう。3日間楽しませてくれた北東北の山々に別れを告げて、盛岡駅に向かう。


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