山の写真集 > 奥多摩 > 石尾根、雲取山から長沢背稜
  • -展望と紅葉の奥多摩周遊-
  • 峰谷-日陰名栗峰-七ツ石山-雲取山-酉谷山
  • 奥多摩
  • 東京都
  • 日陰名栗峰(1725m),七ツ石山(1757m),雲取山(2017m),芋木ノドッケ(1946m),長沢山(1738m),水松山(1699m),酉谷山(1718m)他
  • 2012年11月2日(金)~3日(土)
  • 1日目:13.1km、2日目:21.0km
  • 1日目:6時間、2日目:8時間25分
  • 1422m(峰谷-雲取山)
  • 雲取山避難小屋
  • -
  • 中央線,青梅線,バス
天気1
天気2

 

地図
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2012年11月2日(金)前夜発
新宿駅
  中央線
立川駅
(駅周辺泊)
4:47
  青梅線
青梅駅乗換
5:59 奥多摩駅 6:15
  西東京バス
6:53   峰谷
7:50   奥 登山口
8:05   浅間神社
8:37   浅間尾根
9:57 鷹ノ巣避難小屋 10:02
10:27 日陰名栗峰 10:40
11:25 千本ツツジ 11:45
12:05 七ツ石山 12:15
12:30 ブナ坂
12:57 奥多摩小屋 13:23
13:47   小雲取山の肩
14:17 雲取山
(避難小屋泊)
2012年11月3日(土)
6:15 雲取山
6:35 雲取山荘 6:45
7:12   大ダワ
7:25 三峰分岐
7:55 芋木ノドッケ 8:05
8:50 桂谷ノ頭
9:35 長沢山 9:55
10:25 水松山 10:35
11:03 ヘリポート 11:08
11:20 タワ尾根分岐
12:30 酉谷山 12:45
12:55 酉谷峠
13:35 七跳尾根分岐
14:05 ハナド岩 14:10
14:43   一杯水避難小屋
16:05 東日原 16:17
  西東京バス
16:47 奥多摩駅 17:25
  快速おくたま紅葉号
19:13 新宿駅

 

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日の出は6時過ぎと、ずいぶん遅くなった。表に出てみると、空には分厚い雲が。当然富士山も見えない。天気予報では今日も晴れのはずだったが、あとで聞くと曇りのち晴れに変更されたようだ。昨晩あまり冷えなかったのは、雲が放射冷却を防いだためだろう。それでも外の寒暖計は氷点下2度だった。
雲取山頂には、山荘や奥多摩小屋の宿泊客が大勢登ってきており、土曜日の朝らしからぬ賑わいだ。でも富士山は雲間から顔を出してはくれない。
山頂を後にし、雲取山荘に向かう。原生林を下る間にも何人もの人とすれ違う。山頂は眺めがあるか、と何人かから聞かれた。


落ち葉踏み行く長沢背稜。タワ尾根分岐付近

雲取山から、石尾根の南斜面が朝日で赤く染まる

朝焼け

雲取山山頂は朝から賑わう

富士山は残念ながら

雲取山荘前の水場「元気水」にはつららが下がっていた

元気水につららが

三峰コースから分岐して長沢背稜に入る

ここから長沢背稜

木の根はびこる山深い道を行く。芋木ノドッケへの登り

木の根目立つ道

芋木ノドッケは樹林の中の静かな山頂

樹林の中の山頂

芋木ノドッケから下るとダケカンバの明るい森となる

ダケカンバの森

桂谷ノ頭付近はシャクナゲの群落が続く

シャクナゲ続く

天祖山分岐付近で縦走路を外れ、尾根伝いに水松山山頂へ

「アララギ」山

滝谷ノ峰ヘリポートは北側の展望がよい

秩父側の展望台

長沢背稜の黄葉

黄葉

雲取山荘で水を補給する。昼食は自炊しないので、1リットルもいらないだろう。なお11月も下旬になると、ここの水場は凍結して使えなくなるので注意が必要だ。今朝もすでにつららが下がっていた。
北の方角に少し青空が覗いている。太陽が出ていないので、一枚着込んで行動再開する。女坂を下って大ダワへ。途中で木の間から芋木ノドッケを見る。東京都の山としては、雲取山に次ぐ高峰であり、大ダワから見上げるとかなり高く感じる。薄暗い針葉樹林の中に時たま混ざるカエデやツツジが、どれも真っ赤に紅葉していて視線がいく。

三峰コースと分かれて長沢背稜に入ると道は再び登りとなる。木の根のはびこった緩やかな道から急登に転じる。高度を上げるにつれ気温が下がっていくのが肌でわかるが、体は暑くなるので一枚脱ぐ。この時期は服装の調節が難しい。
深い樹林帯の中、芋木ノドッケに到着。南側から二間小屋尾根が上がってきている。シラビソに囲まれたモノトーンの地は、音という音をみな吸い取ってしまうようだ。
芋ノ木と呼ぶのが正解の気もするが、国土地理院の地図には「芋木ノ」と書かれている。また、「ドッケ」とは尖った峰を言い表す秩父地方の方言で、漢字で表せば「突剣」。トッケとかドッケンと読まれることもある。近くには三ツドッケや、黒ドッケ(酉谷山のこと)がある。

東京と埼玉の県境である長沢背稜を、東に向かう。林床に苔の生える尾根は次第にダケカンバが増え、周囲は意外と明るく眺めもある。時折り注ぐ日差しがダケカンバの白い樹皮を照らし、深山の雰囲気を演出する。雲取山ほか周囲の山並みも望むことができて、気持ちいい尾根である。久々に歩く道だが、こんなにいい所だったかと再認識する。
ヤセ尾根になり、岩っぽいところも現れるとシャクナゲの葉が目立つようになる。桂谷ノ頭、小屋背戸ノ頭付近は東京都で唯一のシャクナゲ自生地である。奥秩父のように広大な地ではないが、木が密集しており開花期には見ごたえがあろうが、そういう時期にまだ来たことがない。
鞍部から長沢山への登り返しは、ダマシの頂上があったりしてなかなかつらい。長沢山は東西に長い山頂を持つが、尾根の名前を表す山にしてはこれといって特徴のない、地味な山だ。
長沢山から先、標高1700m以下に高度を下げていくと針葉樹から広葉樹の森になる。しばらくの間秩父側につけられた登山道となる。尾根が広くなって、落ち葉溜まりの道が続く。
カラマツも目立ち始め、天祖山分岐への道を見送って、水松山へ寄り道する。水松とかいてアララギと読む。尾根から少し外れているので、縦走していてもなかなかこの山頂に来ることはないのだが、周囲は広葉樹が豊かでいい場所である。今は大方葉を落としているが、新緑時にも来てみたい山頂だ。

さらに高度を下げていくと、次第に紅葉が復活する。いわゆるタワ尾根の頭である滝谷ノ峰の手前まで来ると、北側の眺めが一気に広がった。数年前に出来たヘリポートである。こんな山深い場所に忽然と現れるのでちょっとびっくりするが、両神山など秩父側の眺めがよく、長沢背稜の中でも貴重な展望地となっている。

稜線下だけでなく、山側も黄葉はかなり残っている

見上げても

ブナ黄葉の道

ブナ黄葉の道

酉谷山山頂は落葉。南面の眺めがいい

酉谷山

ハナド岩から色づく山肌を見下ろす

ハナド岩から

一杯水避難小屋

一杯水避難小屋

ヨコスズ尾根は上部で紅葉の盛り、下部はこれから

ヨコスズ尾根

タワ尾根と合わさった先は最近も何度か歩いており、おなじみの風景となった。紅葉がかなり残っている、というか、今このあたり標高1500mくらいが一番の盛りかもしれない。天気も持ち直し、見上げれば青空をバックに赤や黄色が鮮やかである。ブナの黄葉が思ったほど多くないのが残念ではある。

写真を撮りながらゆっくり歩いていて、かなり時間をつぶしてしまった。酉谷山西の肩から稜線伝いに登る。ここの登りも長くきつい。
酉谷山山頂についたころはすでに12時を大きく回っていた。遅い昼食をとる。といってもパンだけだ。山頂では一人の男性が休んでいた。聞くと、有間峠からここまでやってきたと言う。標高1100mを越える有間峠は、有間林道を利用して車で上がってこれる。長沢背稜に取り付くコースの中では最短かもしれないが、峠からだとここまで、日向沢ノ峰~蕎麦粒山~三ツドッケ~酉谷山とかなりの長丁場である。
これから引き返すこの人もそうだが、自分もこれから下山することを考えると、そうゆっくりしていられない。日もかなり短くなっているのだ。

小川谷林道が使えないため、一杯水経由で東日原に下る。16時台のバスに間に合わせるため、少し頑張って歩く。しかし、途中の紅葉がきれいなため何度も立ち止まってしまう。
長沢背稜は単に、高低差の乏しい尾根が東西に伸びているだけと思われがちだが、細かなアップダウンや桟橋などがあり、また小さな沢筋をまたぐために入り組んだ地形が多く、意外と変化のある道だ。展望を楽しみにのんびり歩ける石尾根と比べると、登山道の難易度としてはワンランク上である。
七跳尾根を乗っ越し、さらに歩くと右手にハナド岩の入口がある。時間も押しているが立ち寄っていくことにした。岩棚の絶景地である。雲取山から鷹ノ巣、六ツ石山まで石尾根が牛の背のように伸びやかに横たわっている。南側はいまだに雲厚く、今日は最後まで富士山を見ることができないようだ。

一杯水避難小屋に到着する。小屋の背後は艶やかな紅葉に包まれていた。昨晩雲取避難小屋で一緒だった初老の方は、前日はこの小屋に泊まったと言っていた。
自分は今まで、奥多摩の山を2泊でじっくり歩いたことはない。今回は距離は長かったが何とか一泊で歩いた。しかし今後、自分が年をとって足が弱くなると、このコースは一泊ではきつくなるだろう。自分はいくつまで元気に歩けるのだろうか、この季節になると特に、そういうことを考えながら歩いていることがある。

ヨコスズ尾根に入る。標高が1400mを割ってくる頃には、まだ緑の葉をつけた木が多くなった。うかつにもまた、カメラのバッテリーが切れてしまった。しかし紅葉はたくさん撮れたし、ここからまだ写真を撮り続けているとバスに間に合わなくなる可能性もあったので、ちょうどよかったかもしれない。最後は早歩き(早下り)で、バスの待つ東日原に到着。避難小屋から1時間20分だった。
増発のバス便で奥多摩駅に戻る。すぐに駅に駆け込まず、駅前の店で夕食を済ませてから、臨時列車「おくたま紅葉号」に乗り込んだ。