山の写真集 > 谷川岳・越後・信越 > 大力山から笠倉山
  • -残雪の稜線の先に大展望-
  • 宝泉寺-大力山-黒禿ノ頭-笠倉山
  • 越後
  • 新潟県
  • 大力山(504m), 黒禿ノ頭(770m), 笠倉山(907m)
  • 2015年5月2日(土)
  • 11.6km
  • 6時間45分
  • 771m(宝泉寺-笠倉山)
  • (前夜車中泊)
  • 見晴らしの湯こまみ
  • マイカー
天気1

 

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2015年5月2日(土) 前夜発
練馬IC 20:20
  関越自動車道
土樽PA泊
小出IC 5:50
  国道291号
6:10 宝泉寺 6:25
6:30   秋葉堂
6:35   鉄塔下
6:50   七合目
7:15 大力山 7:30
7:42 尾根分岐
7:55 505m三角点
9:10 黒禿ノ頭 9:25
9:30 林道
11:15 笠倉山 11:55
12:30 黒禿ノ頭
13:22   505m三角点
13:40   尾根分岐
13:52   大力山 14:10
14:45 宝泉寺 15:15
  国道291,17号
見晴らしの湯こまみ立寄り
小出IC 17:25
  関越自動車道
北陸自動車道
日本海東北道
中条IC 19:00
  国道7号他
19:25 中条グランドホテル(泊)

 


GW新潟の山巡りは、昨年に引き続き中越・魚沼と下越の山を渡り歩いた。
一番遠い新保岳は、位置的にはほとんど山形県境であり、車で東京から400㎞、6時間かかる。今までで一番遠いマイカー山行となった。

翌日の光兎山へ 翌々日の新保岳へ


大力山~黒禿ノ頭間の稜線から、権現堂山・唐松山とその背後に守門岳を望む

小出インターから10分程度、宝泉寺に登山口がある

宝泉寺前

オオカメノキ(大力山)

オオカメノキ

ユキグニミツバツツジ(大力山)

ユキグニミツバツツジ

大力山の頂上直下からは、眼下に魚沼平野を広く見渡せる

魚沼平野を見下ろす

大力山頂上

大力山頂上

大力山からは、マンサクの花を前景に八海山が大きい

八海山が大きい

505m三角点から黒禿ノ頭への登路になると、ブナ林が現れる

ブナ林あり

黒禿ノ頭への登りにて、振り返り見る大力山は頂稜部ののみに残雪の筋が見られる

白い筋一本

黒禿ノ頭への登りは終始眺めがよい。背後に笠倉山の山稜が壁のように見える

さらに高みを

随所にタムシバの白い花が目立つ

タムシバ多い

シャクナゲも開花した

シャクナゲ咲く

残雪をしたがえ、幾重にも刻まれた尾根筋が印象的

幾重にも

黒禿ノ頭への登り

あと一息

黒禿ノ頭頂上

黒禿ノ頭


初日は魚沼、小出地区の山に登る。大力山は5年前に登っていて、その時は板木城跡回りのコースを歩いた。今回はさらに奥の黒禿ノ頭、笠倉山まで縦走する。
黒禿ノ頭は小出の最高峰、笠倉山は360度の大展望で地元の人の間ではよく知られている。どれも標高1000m以下の山だが、豪雪地帯なのでそれなりに残雪はある。特に笠倉山は900mを越えており、登山道がどういう状況なのか登るまで想像がつかなかった。
今日歩くコースは未知数なところもあるので、早めに歩き出したい。小出ICを6時に出て、15分ほどで登山口の宝泉寺に着く。車のドアを開けると、1年ぶりの田舎の臭い。要するに寺は、肥料がたくさん撒かれた畑に囲まれているということ。
駐車スペースにはまだ雪が残っているが、その量は5年前とあまり違いはない。支度をして、前と同じくショウジョウバカマとカタクリの咲く登山口を出発する。

杉林をひと登りで秋葉堂という社務所のある台地へ。大力山がよく見える。魚沼の山は登り始めから樹林の背が低く、すでに四囲の見通しはよい。
鉄塔基部を過ぎ、潅木の間をゆるく登っていく。明るい紫色のユキグニミツバツツジや、オオカメノキ、タムシバの白色が目立つ。足元にはイワウチワ、イワカガミ、スミレサイシン。斜面に残雪はそこそこあり、七合目で合わさる登山道はまだ白いままだった。
やがて広い尾根に出てからは本コースも雪上の道になる。背後に小出の田園風景、隣りには昨年登った鳴倉山、そしてまだ残雪多そうな権現堂山を見ながら青空に向かって登るとやがて大力山山頂に着いた。

展望は言うまでもなく広大で、魚沼平野を一望、そして南面は越後駒、中ノ岳、八海山が大きい。八海山を真正面にした稜線はマンサクが満開だった。
尾根上の分岐に着く。前回はこれで満足して板木城跡へ転進したが、今回はさらなる大展望を目指して上を目指す。
505m三角点を越え、目指すより高い峰を見据えるようになると雰囲気が多少変わり、ブナ林を交えた亜高山帯のようになる。大力山だけだとブナを見ることはあまりないが、ここまで奥に入ると見ることができる。
大力山を見下ろすようになると、権現堂山の背後に守門岳が、一層白い姿を見せてきた。ブナ林と眺めいいヤセ尾根を交互に繰り返しながら次第に高度を上げていく。花もタムシバ、イワウチワ、イワカガミ、カタクリに加えてシャクナゲも出てくる。

歩けば歩くほど眺めはどんどん広がり、権現堂山の尾根続きに唐松山、その後ろには浅草岳も。越後三山もぐっと近づいてきた。これは魚沼の山の中でも屈指の展望の稜線である。
空に雲はひとかけらもなく、太陽が容赦なく照りつけ夏のように暑い。そしてこうなれば出てくるのが小虫である。青空を写真に撮ると必ず写り込んでいるし、虫除けスプレーを持ってきてなかったので休憩時もうっとおしい。

黒禿ノ頭からいったん林道に下る。一部路面が見えるも、まだほとんど雪の下

林道はまだ雪の下

林道から笠倉山への取り付きを探す。雪のないときはここが駐車場らしい

どこが取り付き?

笠倉山から、真正面に越後駒ヶ岳を望む

大展望

笠倉山から、一般登山の対象にはならない毛猛山がよく見える。左奥に浅草岳も

神秘の山も

イワウチワ(笠倉山)

イワウチワ

林道から、登ってきた笠倉山を振り返る

笠倉山を振り返り

タムシバ(黒禿ノ頭付近)

タムシバ

展望の稜線。右奥は大力山

どこにも展望地

イワカガミ

イワカガミ

大力山の七合目は、鉄塔からの登山道が合流する。残雪が溶けたところからカタクリが咲き始めていた

七合目の標識


黒禿ノ頭に到着する。標高は770mで「小出町最高地点」と標柱に書かれていた。あいにく樹林が伸びているが眺めは利く。ここが小出の最高点ということは、これから行く笠倉山は小出の山ではないのだろうか。
黒禿ノ頭から見て、進行方向に壁のようになっている山稜が笠倉山のようだ。とにかく、今日の核心部はここからである。

黒禿ノ頭から急坂を下って、林道に下りる。林道はまだほとんどが雪の中だったがこれは予想の範囲内である。林道の雪の上を少し歩いて、すぐ左の斜面に取り付ける場所を探す。無雪期には入口がわかるそうだが、今は斜面にも雪が積もっているのでなかなか見つからない。
あちこち探し回ったあげく、かすかに残る1つの足跡を雪上に見つけ、それを追ってみた。上に見える稜線目指して登るが、足跡は途中でわからなくなった。やがて笠倉山の山頂部が見えるところまで登れたのだが、その先はヤブになっていて進めないようだった。ここではなかったか。
いったん林道に下りて、もう少し先の尾根状の斜面を登ってみる。ここにも足跡はあった。しかしこの尾根ルートは途中で猛烈なヤブとなってしまい前に進めない。、稜線まであと5メートル、すぐ先に見えているのに、再び退却を強いられた。

林道に下り、地形図をにらみながらみたびトライする。今度は、途中でやはりヤブに突入したがなんとか突破し、3度目の正直で踏み跡のある稜線に立つことができた。笠倉山山頂ももう、目と鼻の先である。
それにしてもこの稜線上の踏み跡はどこから来ているのだろうか、それは下山時に確かめることにしよう。細尾根をひと登りしてようやく、待望の笠倉山山頂である。

あまり広くない山頂部には山名板さえもない。しかしカンカンと照りつける太陽の下、360度の素晴らしい眺めである。
とにかく越後駒と八海山がもう目の前、そして未丈ヶ岳、毛猛山、浅草岳など奥只見の山も勢揃いだ。どの山も複雑な残雪模様を描き、まるで二王子岳から飯豊連峰を眺めているみたいである。5年前、大力山に登ったときもすごい展望でびっくりしたが、笠倉山はその比ではない。今まで登った山の「展望ベスト5」の顔ぶれが入れ替わりそうである。
後から一人、登山者が登ってきた。同じく大力山からの縦走で、やはり笠倉山の登り口がわからなかったと言う。長岡に住んでいる方で、今まで登った山の話に花が咲いた。今日のコースは、目の前に見えている権現堂山~唐松山の尾根と印象が似ているという。たしかにそんな気がする。同じ地域の山だし尾根の走る方向も同じなので、似てくるのだろう。
笠倉山は登山ガイドにも載っていない地元の人限定の山であるが、駅や高速出口から近いこともあり、もっと人気の出ていい山であろう。反面、このままあまり知られずに静かな山であってほしい思いもある。

下山は往路を戻る。先ほどの稜線を上がってきた地点に戻り、さらに稜線伝いに行く。すると、最初にヤブと思って諦めた地点に出た。ヤブだと思ったのは勘違いで、すぐ先に踏み跡は続いていたのだ。ちゃんと確かめればよかった。
とんだヤブこぎをしてしまい苦労した山となってしまったが、今日は何といっても山頂からの展望で救われた。

黒禿ノ頭大力山へ戻っていく行程は、日差しのせいでますます気温が高くなり、つらい歩きになった。数年前の9月、荒沢岳のバテバテ山行を思い出す。しかし今日は花や展望、ブナ林の一時の清涼感に慰められ、どうにか登山口の宝泉寺に下り立つことができた。水もほとんどなくなっていたので、境内の水場で喉を潤す。杉林で日差しも遮られ、900mの山よりここのほうが涼しいくらいだ。

見晴の湯「こまみ」で越後三山の眺めをもう一度じっくり見る。魚沼の日帰り温泉は、GWでもそれほど混雑はしない。やはりこのあたりは観光地や開発とは無縁の、昔ながらの自然郷という印象だ。いつ来ても変わらない姿で迎えてくれるのが魚沼の山である。
近くの薬局で虫除けスプレーを購入し、小出ICから高速に乗り直す。次の日は新潟県下越の山に登るので、運転をもうひと頑張りだ。
関越から北陸道、日本海東北道と乗り継いで中条ICで下りる。宿泊場所に着いたときは日も暮れていた。

翌日の光兎山へ 翌々日の新保岳へ