~草原から岩稜へ、初夏の花の山旅~
タイトル
たにがわれんぽう ばていけいじゅうそう 2008年7月12日(土)~13日(日)

白毛門~朝日岳~清水峠~谷川岳
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●朝日岳を越えて清水峠へ

端正な山容の笠ヶ岳

タテヤマリンドウ

小屋から先は、しばらくは開放的な湿地帯の道となる。登山者が1人、2人とやってくる。
今の時間に朝日岳方面から来る人はどういうコース取りをしているのだろうか。後から聞いた話だが、この日日帰りで谷川岳方面から馬蹄型を歩いた人がいたようだ。

天候の回復は一進一退。東北地方の三陸沖に低気圧が進んでいると、新潟県の天気は悪くなる傾向にある。今日の悪天も日本海側からどんどん雲が流れてきているのが原因だ。いったいこんな大量の雲はどこで作られているのだろうか、と思うくらいすごい雲の厚さだ。
こんな天気の中でも時々日差しが得られるのは、朝日岳方面に向かう尾根が少しだけ群馬側に寄っているせいかもしれない。

小烏帽子大烏帽子と岩稜の歩きが続く。アップダウンは大きくない。眺めがあるとなかなかスリルある場所だろうが、数10m先が見える程度で遠望は全く利かない。
やがて前方にいくつものピークが直列に並ぶ。ガスの切れ間に見える一番高い頂が朝日岳だろう。

朝日岳への最後の登りはこたえた。しかし、頂上まであと少しのところで、ホソバヒナウスユキソウを見る。しかも大群落だ。
細く短い葉を見て、今まで谷川連峰や他の山で見ていたウスユキソウとは全く違うものであることがわかる。ここ朝日岳特産なのだろうか。
近くにはアズマギクも花をつけていた。時間が気になるがここは腰を落ち着けて写真を撮る。

ホソバヒナウスユキソウ(朝日岳)
ホソバヒナウスユキソウ(朝日岳)

一面のガスの中、朝日岳(1945m)に到着する。群馬県の山では一番遠い存在だった。
強い風が吹き肌寒いため、休憩もそこそこに歩き出す。ハイマツ帯を行きさらに高度を上げると(朝日岳には頂上部よりさらに高い場所が先にある)、湿地帯の朝日ノ原に出る。花はあまり咲いていない。7月上旬はちょうど端境期なのだろうか。

宝川温泉への分岐に少し入り水場を探す。石の下に小さな流れがあるのを見つけひと安心。ちょっと泥が入ってしまうが贅沢は言えない。

巻機山への分岐点がジャンクションピークで、そこからは一気に清水峠まで下る。
が、この部分はガレが多くて下りは難儀する。ちょうど疲れもピークに来る頃で、慎重足を置く場所を選びながら行く。ここで今日初めてストックを使う。


ジャンクションピーク

姿を現した朝日岳

白崩避難小屋

高度を下げていくとガスが切れ始め、振り返れば青空をバックに朝日岳や笠ヶ岳が姿を現していた。幾重もの山裾の線が湯檜曽川に向かってきれいに落ち込んでいる。

いつの間にか、ダブルストックの人が後ろから来ていた。同じく清水峠に泊まるようである。自分の2倍くらいのスピードで下って行った。後で聞いたら、昼頃に土合を出たというから本当に2倍の速さだ。

やがて清水峠の電波塔が見えて来る。そろそろかなと思ったらそれから先がけっこう長い。あたりは開け、JRの巡視小屋と清水峠の広い笹原を見下ろす。
さっき追い越していった人が見える。随分前に到着しているようだ。池ノ窪のある鞍部にいったん下り清水峠までは緩やかな登り返しとなる。池ノ窪では開花したばかりのトキソウが見られた。
清水峠に着く。ここは3回目だ。これで谷川連峰の主稜線は一通り歩いたことになる。ようやく1本の線でつながった。展望は広いがどこか寂寞感の漂う、静かな地である。
日が暮れるまで時間があるので、謙信(十五里)尾根の入り口にある水場に行く。朝日岳で汲んだ水は泥が混ざってしまったので取り替えることにした。
謙信尾根に入ると笹の刈り払いがなされておらず、ほとんど藪漕ぎ状態だ。水場まで5分ほどの歩きでさえも大変だった。
謙信尾根コースは下山後に渡渉があることから、地元では隣りの居坪坂コースの利用を薦めている。そのため謙信尾根は歩かれなくなってしまったのか。

白崩避難小屋の宿泊者は3名のみで、テントを張らずにすんだ。豪雪地帯の小屋らしく密閉性があり、ちょっと空気を入れ替えないといづらい。先に来ていた人が戸を開け放してくれていた。
明日の長い行程を考えると蓬峠まで行ければよいのだが、今日のところは時間的にもここまでだった。
日が落ちる頃にはガスも晴れてきた。ただし谷川岳は最後まで姿を現さなかった。


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