2017年6月18日(日) | |||
◇ | 音松荘 | 5:30 | |
県道385号 | |||
6:05 | ネズモチ平駐車場 | 6:15 | |
6:25 | ネズモチ平登山口 | ◇ | |
7:25 | ガレ場 | ◇ | |
8:30 | 前岳の肩 | 8:35 | |
8:55 | 浅草岳 | 9:50 | |
10:05 | 前岳の肩 | ◇ | |
10:30 | カエヨノボッチ | ◇ | |
11:35 | 桜曽根登山口 | 11:50 | |
12:15 | ネズモチ平登山口 | ◇ | |
12:25 | ネズモチ平駐車場 | ◇ | |
県道385号, 国道252号他 守門温泉立寄り |
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15:15 | 小出IC | ◇ | |
関越自動車道 外環道 首都高 |
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19:00 | 五反田IC | ◇ |
昨日の守門の様子からして、今日の浅草岳も稜線でのヒメサユリの期待はできない。そこで考えたのがもっと下の方、ムジナ沢登山口からヤジマナ沢のルートを歩いて桜曽根登山口に行く案。ここでもヒメサユリが見られると聞いていた。
山荘から直接歩き出せるのが魅力だが、ここを往復するのは体力的にきついので、宿の車でネズモチ平まで送迎してもらい、ムジナ沢コースを下山する手がある。しかしこの日は、六十里越登山口まで送迎する先約が入っていたのでそれは無理だった。六十里越から鬼ヶ面山経由でムジナ沢もあるがあまりにも健脚コースである。
当初の予定通り、ネズモチ平からの周回コースで行くことにした。
桜曽根から眺める、鬼ヶ面の稜線 |
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宿の朝食は5時にしてくれた。浅草岳登山口のある標高880mのネズモチ平駐車場まで、自分たちの車で上がる。
駐車場はまだ3割くらいの入りだった。空は明るいものの青空ではなく、一面が薄い雲で覆われている。
ネズモチ平登山口まで林道を10分、ここから登山道である。ネズモチ平ルートは、始めのうちは沢をまたいだりの緩やかな登りだが、途中から激しい急登に変わりそれが前岳まで続く。
緩やかな部分もぬかるみがひどく決して歩きやすくはない。でもこれは残雪と花の多い越後の山ならではの特徴である。険しいガレ場の尾根を希少な高山植物は好む傾向にあり、ヒメサユリも同様だ。
ブナ林を過ぎると急に斜度が増す。ところどころで大きな石がゴロゴロし、段差も半端でない。残雪はネズモチ平に車で来るときにもすでに林道脇にあったくらいで、入山してからもあちこちで目にする。ただし登山道上には残っていない。
なお林道の雪が解けてネズモチ平駐車場が使用可能になったのはつい10日ほど前のことである。
厳しい急登が続くうち、見通しのいいガレ場に出る。ヒメサユリの蕾が2つあったが開いてはいない。背後には守門岳が壁のように大きく、只見方面の山々には雲海ができている。
その後も樹林に入ったり、眺めのいい場所に出たりを繰り返しながら高度を上げていく。コイワカガミ、マイヅルソウ、ゴゼンタチバナがよく咲き、そしてこのルートはツバメオモトが多く見られた。
やがて登山道は雪解けと思われる水が流れるようになった。残雪のある前岳の肩がもう近い。あたりが開けると、その前岳の肩に着いた。2時間続いた急登道の終点である。豊富な残雪の向こうに浅草岳のピークが覗く。
その残雪を斜上していく。登山者があまり多くないせいか雪上のトレースはまだあまりはっきりしていない。注意を怠ると滑落の危険もないではないが、皆平気な顔をして歩いていく。
山頂直下は池塘の点在する湿原になっており、守門岳を背景にワタスゲが風に揺れていた。ひと登りで浅草岳山頂である。
今日は青空こそないものの、昨日の守門のようなガスも湧くことなく、眺望はすばらしい。鬼ヶ面山の稜線や奥只見の山々、最奥は越後三山か。田子倉湖や只見尾根登山口の駐車場もよく見えた。
山頂にはヒメサユリの蕾が数個あったのみ。開花は早くても2週間先か。
最初は少なかった登山者も時間を追うごとにどんどん増えてきて、山頂は満員になった。只見尾根を登って来る人も多い。
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浅草岳はネズモチルート、桜曽根、鬼ヶ面ルート、只見尾根と4つの主な登山道があるがいずれも個性的で、どれをとっても楽しめる。ヒメサユリ目当てなら鬼ヶ面ルート、山の深さと変化を求めるなら断然只見尾根である。
前岳まで戻る。雪上のルートはもう一本通っていて、桜曽根へは稜線側を行く。
守門岳を正面に見ながら木段の下りに入る。緑萌える山肌と残雪の白とのコントラストがいい。桜曽根ルートは2010年、ガスで何も見えなかったときに1回歩いたきりで、こんなに展望がいいとは知らなかった。
カエヨノボッチへは比較的大きなコブとガレ場を越えていく。ウラジロヨウラク、ベニサラサドウダンやキスミレ、シラネアオイ、そしてここにもヒメサユリの蕾があった。ガスの中歩いた7年前は、霧雨に濡れながら凛として花を咲かせている姿が印象に残った。
伸びやかな尾根はやがてブナ林の下りとなるが、ネズモチルートとは正反対で急なところが全くない。同じ山でもコースによってこれほど違うというのが、越後の山らしくて面白い。
ただ安定した林間の道になってしまえばもう、ヒメサユリを見るチャンスはほとんどないわけで、今回は守門で見た一輪のみ、という結果に終わりそうである。ブナの林床には今年の春を締めくくるかのように、イワウチワやキクザキイチゲが顔を出していた。
鐘を鳴らした後、小広い桜曽根登山口に下り立つ。以前は駐車場だったようだが、今はネズモチ平からここまで一般車は入れない。
草むらを見たらなんと、ヒメサユリが咲いていた。こんなところに自生しているとは考えづらい。ここから下っているヤジマナ沢~ムジナ沢沿いの登山道にはヒメサユリがあるとのことだが、その延長でもなさそう。
おそらくこれは植えられたものだろう。そうであっても、今日1日花を見られなかった登山者にとって、これは最後の最後に用意されていたサプライズとなった。
桜曽根登山口からは、ネズモチ平の駐車場が小さく見えている。かなり距離があるように見えるが、林道を30分ほどで戻ることができる。この林道はまだ多くの雪が残っており、今の季節だけの大きな滝ができている。この林道一帯の季節はまだ早春と言ってもいいだろう。サンカヨウ、ホウチャクソウ、シラネアオイ、キクザキイチゲなど今まで見ていなかったものも含めて春の花がたくさん咲いていた。
前回も見ていた遭難碑の前を通る。音松荘の先代ご主人も遭難救助の際に雪崩にあった殉職者の一人である。宿には、ご主人の大きな写真が今も飾られていた。遭難があったのは2000年6月18日、何と今日が17回忌であった。
ほどなくネズモチ平登山口を見て、10分ほどで駐車場に戻ってきた。
昨日今日と、距離的にはそうでもなかったのだが、標高差700m以上の山を2つ登り下りし、本当によく歩いた。今回は友人の希望とはいえ、守門岳と浅草岳を2日連続で登るのは、体力的・時間的に大変であるとともに、もったいない。見どころの多い山なので、本来は季節を分けるなどして別々に登りたいものだ。
ヒメサユリにはあまり会えなかったが、他に春の花をたくさん見れたのでよしとしよう。
浅草か守門の下山後、いつも立寄っていた守門温泉青雲館は、設備老朽化のため残念ながら閉館となっていた。しかしその隣りの白石荘が高齢者向けの施設ながら一般日帰り入浴ができるようなので寄っていく。青雲館と同じで、ツルツルしたいいお湯だった。
東京まで距離は長いが、運転手は2人なので焦らず、ゆっくり帰ることにしよう。