2008年8月2日(土)~8月4日(月) |
雪投沢の分岐を見て、少しずつ高度を落としていく。チシマギキョウ、ウサギギク、そして稜線はハクサンフウロやタカネグンナイフウロの群落の道となる。特にハクサンフウロがここは多い。 間ノ岳を正面に見ながら尾根の右側を巻くようになる。このあたりからマルバダケブキが増え始め、北荒川岳の少し手前の斜面は見事な大群落になっている。奥多摩など東京近郊の山では今や咲き乱れておなじみの花だが、ここ南アルプスのマルバダケブキ群落はどこか整然としていて、清楚なイメージさえ感じられる。 管理小屋のある場所から砂礫の道を上がると北荒川岳(2698m)となる。特に山名標はない。ここからも塩見岳などの展望が素晴らしい。しかしこの時間になると照り返しもありかなり暑い。またこの付近の砂礫の道にはタカネビランジも見られる。 南アルプスの高山植物は北アルプスと比べてしまえば少し地味な印象もあるが、なかなかどうして種類も多く、時々びっくりするような群落に出会ったりもする。
北荒川岳からはさらに高度を落とし、再び樹林に囲まれた道の歩きとなる。暑さを感じ始めた頃なので日が遮られてほっとする。が、いったん下りきったあとは緩い登りが長く続ききつい。 2658mの岩峰ピークで久々に展望を得る。遠くに熊ノ平小屋と思われる建物が見える。まだ遠いが、今日の所の目標地点が見えたので少し安心する。
さらに急坂を下って登り返してもうひとつの岩峰へ。樹林帯に戻り安倍荒倉岳(2693m)まで1分の指導標を見るが山頂には立ち寄らない。 樹林帯の道は何故か登りがほとんどだ。もう一度展望地に上がり、さらに下る。 はっきりした下りになると、ほどなく熊ノ平小屋に着いた。玄関前のテラスからは、正面に農鳥岳が大きく鎮座している。水も豊富に流れていてテントでも小屋泊でも、山で泊まるのには最適の場所のように写る。 まだ12時過ぎで、時間だけ考えれば北岳山荘までは行けるのだが、ここはやっぱり熊ノ平を今日のゴールとしよう。体力的にもちょうどいい頃合だし、なんといってもこの南アルプス奥地は宿泊の場として惹かれるものがある。 テントの申し込みをして、少し下がったテント場まで行く。林の中や展望地、いくつか設営可能場所はあるが農鳥岳がよく見える台地にした。 しかも5m先に湧き水が流れている。口に含むと冷たくてすごくおいしい。ビールも冷やせるので好都合。熊ノ平は南アルプスのテント場として最高にいい場所だった。 同じ場所に、テントがあと2張り張られた。ひとつは何と北岳から光岳まで12泊のテント縦走をしている夫婦だった。 生野菜や卵をたくさん持っていて、荷物を減らしたいのでサラダを作るからいっぱい食べてください、とのこと。山の中で野菜を食べられるのは極上の幸せである。ありがたくごちそうになった。 もう一組のテントの人たちと、夕方まで山の話をして過ごした。 明日はあまりいい天気予報ではない。どうか朝のうちは晴れることを祈って床につく。 |