アスナロ
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●御鍋神社から二岐温泉に戻る(ブナ平~南登山口~御鍋神社~二岐温泉)
車で送ってもらったので時間に余裕がある。1時間ほど山頂でのんびりし、南側に下りる。
急だが北側ほどではない。初めて見るアスナロの木が緑鮮やかに映る。この高度で常緑樹の雑木林を見るのは、東京周辺ではあまりないことだ。
ブナ平でいったん平坦地となる。ブナ平と言っても、ここはかつてブナが伐採された場所だ。反対運動によって伐採は中止されたが、その後放置されてしまったのか、この場所は荒れ地になっている。ぬかるんだ地面には何故か油が浮いている。振り返れば、ここでは丸っこい姿の二岐山山頂部が見守っている。
ブナ平から二岐山山頂部
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中腹付近の紅葉
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ブナ平から下は、再びブナやミズナラなどの黄葉の中の下りとなる。1人の登山者とすれ違う。と突然、「汚いね」。何を言っているのかと思ったら、紅葉のことのようだ。毎年来ている人のようで、今年は特に色付きが悪いという。
山に登るようになって、この季節になると毎年のように「今年は紅葉の色付きが悪い」という言葉を耳にする。今年はあの栗駒山でも聞いた。そんなにどんどん悪くなっているのか。温暖化、または酸性雨の影響?
以前はそれはきれいだったのだろうが、自分にとっては小野岳も二岐山も、今の紅葉が素晴らしいと思う。
栗駒山で山岳ガイドの人から聞いた話にこういうのがあった。「一度素晴らしい紅葉を見てしまうと、二度目にそこに来た時幻滅してしまい、周りが皆素晴らしいと感激しているのに自分だけ蚊帳の外になってしまう」
自分はまだ、彼らの言う「素晴らしい紅葉」に出会っていないのかもしれない。果たして日本の紅葉美は以前の鮮やかさを取り戻してくれるのだろうか。いささか心配である。
二岐山南登山口
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12時少し前に南登山口に下りる。しばらく行くと御鍋神社への分岐があるので行ってみる。ご神体が鍋という変わった神社だ。釣り鐘のように見える物体も、やはり鍋のようだ。そばにはきれいな沢が流れている。
渓谷を見ながら林道を1時間ほど歩き、大和館に戻る。湯野上温泉まで送ってくれることになっているので、時間まで温泉に入る。大風呂は熱くて入れない。相変わらず露天風呂は爽快。
地元のおじいさんと少し話す。相変わらず何を言っているのかわかりにくいのだが、栗駒のときと比べて聞き取りやすい訛りだ。
最近はこのへんも雪が少なくなってきたようで、須賀川の今の積雪量は30年前の東京と同じくらいだ、と変な例えをする。そういえば10年ほど前、人に聞いた話であるが、50年後には日本ではスキーが出来なくなるという。雪が降らなくなるためだ。
自然が、大きなスケールでゆっくりと確実に、壊れていっているようで恐ろしい。
御鍋神社
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湯野上温泉まで、宿のご隠居さんに車で送ってもらった。車中ではテロの話題になってしまった。二岐山の話をしたかったのだが、そういう話を持ち出してくるのでしょうがない。(昨晩、警察の人が来たらしい。こんな所にまで警戒の網は張りめぐらされているのである)
再び会津鉄道に乗って帰路に着く。昨日と打って変わって列車は座る余地が無い。会津田島での乗り継ぎでやっと座れる。
浅草駅まで延々5時間近く。会津の山は遠かった。
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