●ブナの巨樹をくぐり山頂へ(沼尾分岐~小野岳山頂)
やがて左方の眼下に大内ダムが見えて来る。沼尾から来る道を合わせるが、見えるはずの沼尾沼は確認できなかった。
小さいピークを越し、葉を落とし始めているダケカンバが見え出すと、頭上が開け、小広い山頂に着く。
ブナ黄葉
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小野岳にはいくつかの言い伝えがある。長者伝説もそのひとつで、狩猟による毛皮売りで財をなしたある長者の娘が、動物が殺されることに心を痛め、動物の毛皮を着て山に入り、長者に撃たれるという。悲しみにくれた後長者は狩猟を止め、山頂に庵を建てて余生を送ったという話。
また、この山頂には大判小判が埋蔵されているという話を聞いた悪人どもが山頂を掘り起こし、祠が地中に埋まってしまったという逸話も残されている。
山頂には秋の気持ちいい風がそよぐ。思ったほど展望は開けないが、東方に屏風のように立ちはだかっている大戸岳の姿が印象的だ。足元をみると、夏の忘れ物のようにウツボグサが1輪咲き残っている。
毎年の山開きの日の記念プレートが何枚も立てられている。今年の山開きの日には187名も登られたようで、この山が地元の人々によって大切にされている様子が伝わってくる。
黄葉
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小野岳山頂
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紅葉
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●下山後二岐温泉へ(小野登山口~二岐温泉)
湯野上温泉方面に下山する。北面ほどではないがこちらもやわらかな紅葉の道だ。しかし山腹を巻く部分が多く、滑りやすい。登降4時間もかからない山だが、道はタフな方である。
やがて、翌日登る二岐山方面の展望が得られた後は、植林の急坂を下る。登山口を通り過ぎ、小野観音堂を示す導標に出くわすが、道は二股に分かれている。地図を見てもどちらかわからない。しかしこのへんは勘である。左折し、薄暗い植林地に下って行く。
すぐに観音堂の横を通り過ぎ車道に下り立つ。湯野上橋で行きに乗ったタクシー(同じ運転手さん)に出会えたので、そのまま二岐温泉に向かった。タクシーからは再び、二岐山のきれいな双耳峰が視界にとらえられて来た。
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