焼山-姫次-蛭ガ岳-丹沢山-塔ノ岳-大倉 |
●富士山と海を同時に望む頂 塔ノ岳(1491m)の登りは思ったほどのきつさではなかった。20名ほどの登山者が行き交う頂上からは、まさに360度の大展望。蛭ガ岳からの富士山も捨てがたいが、丹沢の展望地No.1はやはり塔ノ岳であろう。
この山へは3度目の登頂だが、これほど遠望が利くのは初めて。富士山の右に南アルプスが勢揃い、蛭ガ岳・不動ノ峰といった丹沢主脈も立派な姿だ。 さらには伊豆半島と相模湾、大島の横に見えるのはどうやら三宅島のようだ。これから下る大倉尾根を正面にすれば、富士山と海が同時に見える。
しかし風はいままでで一番強い。廃屋となっている日の出山荘跡を風除けにして昼食をとる。回りの登山者によると気温は0度だそうである。 蛭ガ岳や主脈の雄姿に別れを告げ、大倉尾根を下り始める。 鍋割山への道を分けると、木の階段の雪も溶けて、ところどころ地面が見え出すようになる。ガラガラした足元の悪い場所が続くが、花立山荘付近までは海を正面に見られる、展望満点の尾根道である。かと思うとおだやかな樹林のヤセ尾根もあり、単調な大倉尾根との評判があるがなかなか変化のある道とも思う。
花立山荘前でジャンパーの内側に着ていたセーターを脱ぐ。そしてアイゼンも外す。ちょうどスノーハイクのラッシュ時間帯なのか、登山者が列をなして登ってくる。この時間では下る人はまばらだ。 どんどん高度を下げ、堀山の家のある小草平付近まで来ると雪も相当少なくなる。ジュースを買い、少し進むと小さな登り返しがある。ここはいくぶん凍結している。 その先のベンチで休んでいると、登ってきた登山者が「お、雪が出てきた出てきた」と話している。もうここから下は雪もないのだろう。雪べったりだった昨日の北斜面の登り道と比べると、何という違いだろうか。 やがてジャンパーも脱ぎ、暖かささえ感じる大倉の住宅地に下り立つ。 大倉バス停からは雪をしたためた表尾根あたりの稜線が望めた。これから徐々にではあるが日足も伸びてくる。ちょっと気は早いが、じっくり春を待つことにしようか。それとももう一度二度、雪たっぷりの山を登ろうか。 どうやら今冬は例年に比べ、後者を楽しむ期間が長そうではある。 |