~霧に煙る紅葉の長沢背稜~ 2003年10月26日(日)~27日(月)
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●蕎麦粒山を経て紅葉の尾根道へ 最後のひと踏ん張りで蕎麦粒山(1473m)山頂に着く。ガスが切れ、陽射しにも恵まれるようになった。 山頂からは川苔山方面が開け、きれいに紅葉した山並みが望める。さらに北側には樹間からの秩父の町並みが見下ろせる。 展望をあてにする山ではないが、雰囲気的には奥多摩の華やかさと秩父の静けさが同居した、味のある頂である。やはり葉を落とした季節が一番似合っている山だと思う。 1組の夫婦が登って来ていた。今日初めて会う人だ。 広い防火帯を下って行く。青空も覗くようになり、落ち葉のじゅうたんに明るい光が反射してキラキラする。 平坦な広い道が続き、日向沢ノ峰(北峰)で有間山への道を分ける。さらに棒ノ折山への県界尾根を分けると、眺めのいい日向沢ノ峰南峰(1356m)だ。 岩に腰を下ろして休もうと思ったら、どの岩にもムカデが何匹もゴニョゴニョと動いている。気持ち悪くなってすぐにその場を後にした。 踊平の分岐に差し掛かる。時計を見て、さらに自分の体力とも相談して、ここはなおも縦走路を行くことに決めた。 稜線が緩やかにカーブし、行く先に川苔山が高い。長い登りに転じるが、今日の最終目的地が決まったということでじっくりと歩を進められる。このへん、標高1300mあたりが紅葉のピークのようである。
大丹波や鳩ノ巣駅への分岐、さらに東の肩を経て川苔山山頂(1364m)へ。2,3組のグループがいる。紅葉の最盛期とあって、休日ならば座る余地もないほどと聞いている。 富士山は見えないが鷹ノ巣山から七ツ石山への石尾根の稜線が広く望める。長沢背稜は長いがとても歩きやすい道と再認識した。最近はいろいろな方面を歩き回るようになったので、なお一層奥多摩の山道の歩きよさを強く感じる。ガスコンロを取り出し、ゆっくり自炊する。 やがて雲が出てきて広い眺めを隠し始めた。下山は赤杭(あかぐな)尾根を下るとする。これも長い行程だが、今日はまだまだ歩き続けたかったし、直接古里(こり)駅に下りれるので至便だ。 防火帯は次第に片側が植林の道となる。センブリの花を見つける。どんどん足が進む。エビ小屋山(1147m)を大きく東側から巻く。後ろに見える真名井北稜から大きな落石の音が聞こえた。 これ以降も尾根に戻ったり、東側や西側の巻き道に入ったりを繰り返す。 西側が大きく開けるとすぐに赤杭山(923m)への分岐になる。このへんで最近、熊を目撃したという情報があった。薄暗い植林帯では、わざとせきばらいや足音を大きくするなどして不安を紛らわす。 砕石場の音が次第に大きくなってくる。高度を落とし、周辺の樹林も緑色が戻ってくる。やはり長い下りである。 川井駅への道を分け、植林地から涸れ沢沿いの道に入ると、間もなく古里の住宅地に出る。古里駅まで15分ほどの距離である。 奥多摩にどっぷりと浸かった2日間だった。 |