~霧に煙る紅葉の長沢背稜~ 2003年10月26日(日)~27日(月)
|
朝、窓の外はどんよりした雲。気圧の谷の影響か、今日は関東周辺の山地はどこも天気が悪いようだ。 小屋の掃除をして出発。今日の一番の目当ては日向沢ノ峰(ひなたざわのうら)付近の紅葉だ。 しかし出だしから濃いガスに覆われた歩きとなる。気温がそう低くなく、ガスは樹林に触れると雨のようにバラバラと音をたてて落ちてくる。 降水は全くないが雨具を着けて歩くことにした。 道幅の細いところはあるものの、いたってなだらかな、場所によっては遊歩道のような道だ。ただし所々にザレ場や桟橋があり、若干の緊張も味わう。 七跳山下の手前からは長い登りに転じる。指導標を見てさらに東進。相変わらず霧の中だ。
高度を下げハナド岩への分岐に出る。ここにも指導標はあるがハナド岩への方向は指し示していない。がすぐ先に開けた場所が見えているので明瞭だ。 念のためハナド岩まで行ってみる。やはり真っ白で何も見えない。しかし5分ほど粘っていると突然ガスが切れ、足元に紅葉の山肌が浮かび上がってくる。高度感のある眺めで足がすくむ。ここと同じように、頂稜部に雲をかぶった石尾根も見渡せる。 一杯水まで緩やかに高度を落とす。ガスも晴れてきて、きれいな紅葉が見られるようになってきた。 一杯水避難小屋を覗くが誰もいない。ストーブが新しくなっている。ここもきちんと掃除されており、快適に過ごせそう。問題は5分ほどのところにある水場だが、この日は細いながらも出ていた。しかし冬期近くなると、あてには出来ない水場だろう。 展望が期待できないので三ツドッケには登らず、紅葉鮮やかなヨコスズ尾根も見やってさらに東へ行く。右手の谷側は檜の植林となる。 再びガスが濃くなり、まだ午前中なのに薄暗く幽玄な雰囲気の中を進む。 尾根に上がり仙元峠への登りとなる。1998年に初めてここを歩いたときは、刈り払いがなされてなく笹の海をそれこそ泳ぐように登ったのを思い出す。今は両側が笹深いもののヤブこぎの心配はない。 道の状態は変わったが、静かな山の雰囲気は今もそのままだ。 仙元峠(1444m)に着く。昔は富士山が見える場所であり、富士浅間神社として秩父側から参拝に訪れる習慣があったそうだ。「仙元」は浅間が転じたものだろう。今は四方樹林の中で眺めはない。 祠の後ろに大きく根を張ったブナがあり、今が黄葉の盛りである。 峠から急な下りを経て、蕎麦粒山へ向かう。この付近も刈り払いされている。ヤブこぎした時のことが懐かしい。行く手にある蕎麦粒山は高くそびえて見える。 |