~霧に煙る紅葉の長沢背稜~ 2003年10月26日(日)~27日(月)
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●黄葉眩しい沢沿いの道を登る 2年半ぶりに長沢背稜を歩く。東日原から日原鍾乳洞まで車道歩き、その後も2時間ほど小川谷林道を緩やかに登るコースだ。 てくてくと歩いていると車が停まった。青梅在住の方で少し乗せてくれるという。キノコを採りに来たそうだ。
林道終点の広場に着く。真っ青な空。周囲は植林地が多いが、その先に見上げる稜線は紅葉が鮮やかだ。今年は天候不順で紅葉の色付きもいまいちかと思っていたが、そんなこともないようだ。 小川谷から三又を経て骨谷、酉谷と沢沿いの道を上がって行く。最初の高巻きの道は高度感があり少し緊張する。 落葉樹林の豊かな登路。三又あたりも紅葉にはまだ早いが、上部の樹林帯に目を凝らすとやはり色付いている。 これ以降は喜右衛門坂(きえもんざか)と呼ばれる沢沿いの道が続く。沢をまたいだり、高巻いたりして高度をどんどん稼ぐ。それに比例して樹林の色付きも賑やかになってくる。このへんはミズナラやシオジ?の黄葉が多い。真っ黄色に染め上げられている場所もあり、思わず写真に収める。
旧酉谷小屋跡を過ぎると沢水も涸れ、両側に笹の茂る急登が始まる。傾斜がきつくペースがガクンと落ちる。 刈り払い道が3本に分岐している場所があって、どの方向に進むべきかわからない。踏み跡の一番はっきりしている左側を登る。正解だった。 植林が再び現れ、傾斜が少し緩む。やがて酉谷山避難小屋の屋根が見えて来る。 日曜の午後、小屋には誰もいない。前回泊まったときは埃っぽく、やかんなどが置いてあって雑然としていたが、その時に比べてずいぶんきれいになっている。おまけに銀マットや毛布が何枚もある。 これで無料で泊まれるのだから、維持管理されている東京都の方に大いに感謝しなければならない。利用する登山者のマナーも向上してきたのだろう。 重い荷物は置いて、酉谷山を目指す。久々の長沢背稜、標高1700mの稜線はすでに葉を落とし始めている。しかしこの付近を歩いて思うのは、奥多摩はやはり晩秋から初冬の雰囲気が一番似合うということだ。静かで、時が止まったよう。 酉谷峠から尾根の背に上がり、酉谷山頂までの緩い登りの道。距離は短いが、ここが一番いい。他の山域ではなかなか味わえない雰囲気を持っている。 酉谷山山頂(1718m)から石尾根、タワ尾根などを展望する。富士山の方向は雲に隠れて見えない。頭の上にもどうやら雲が大きくかかり始めてきた。天気は下り坂。 酉谷西の肩を経由して小屋に戻る。大きな窓から望まれる石尾根の稜線も、次第に雲に覆われていく。 宿泊者は結局自分一人だった。6時に寝て翌朝5時起き、10時間以上眠ったのは何ヶ月ぶりか。 |