平日に休みを取り、奥多摩のイワウチワが開花したかを見にいく。場所は例によって金比羅神社である。
いつもなら4月の一週目にはすでに咲いていて、付近のツツジ類も開花も秒読みとなるのだが、今年は3月下旬に寒い日があり、こういう時は開花が遅れる。さてどうだろうか。
古里駅周辺のソメイヨシノは蕾固い。一昨年の同日は満開だった
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古里駅から歩き出す。役場前に一本のソメイヨシノがあるが、蕾さえもない。都心のソメイヨシノはそろそろ満開なので、ずいぶんと季節の進みに差がある。
寸庭の住宅地を通り赤い橋を渡る。右手の踏み跡に入るとヒナスミレが咲いているのを見る。ただ、それだけだった。鉄五郎新道に入ってもスミレは見られない。
枯れ沢でハナネコノメを見たが、4月にここでこの花が見れるということは、季節の進みははかなり遅いようだ。
金比羅神社に着く。まずは少し先のイワウチワ自生地を確認しにいく。数輪だが開花していた。ただし何となく元気のない咲き具合で、いやいやながら花開いた感じ。
ここの自生地は足元の悪い急斜面にあり、しかも少ししか咲いていないため、花を正面からきれいに撮影するのはほとんど不可能である。
戻って、神社周りの岩場でヒカゲツツジを探すが、全く見つけられない。蕾であってもシャクナゲに似た葉で判別できそうなものだが。
じっくり目を凝らして見てみたところ、小さな葉の上にちょこんと乗った蕾をいくつか発見した。葉が小さく頼りないので気がつかなかった。ヒカゲツツジは開花前は葉も小さく、花開くと比例して葉も大きくなるようである。ミツバツツジは蕾さえも確認できなかった。
金比羅神社を後に、登りの道に入る。少し眺めのきく岩尾根に出ると、隣の鋸尾根だろうか、かなり白くなっていた。数日前に降った雨は標高1000mあたりから上は雪になったようだ。
この尾根の上部にあるイワウチワは開花には早かったが蕾がいくつかあった。
急登を経て広沢山山頂、さらに進むとこの尾根にも残雪が現れるようになった。大塚山手前の電波塔周りは薄い雪だが当たり一面が白い。
登り着いた大塚山山頂に雪はなかった。木の間から白い石尾根が見てとれる。4月の雪なのですぐに溶けると思うが、ここ数週間はまだ天候が安定しそうにないのでまだ雪が降るかもしれない。
先に進む。登山道は雪が溶けたばかりのようで足触りが柔らかい。タチツボスミレが一輪。
富士峰園地のピークに上がってみるが、葉はたくさん出ているものの花芽は一つも確認できなかった。周囲はロウバイがまだ咲いていた。ここにはもう10回くらい来ていると思うが、ロウバイを見たのは初めてだ。
日差しはあるものの取り巻く大気はどことなくひんやりとしていて、うすら寒い。
昼食をとってさらに進む。御岳ビジターセンターから宿坊街を抜け、御岳裏参道に入る。
ここもまだ冬が終わったばかりの雰囲気だが注意して見ているといくつか発見もある。ハシリドコロの小さな葉、シロバナのユリワサビ、そして日当たりのいいところにはアオイスミレ、エイザンスミレを見れた。
何度か谷筋をなぞるうちにハナネコノメの大きな群生を発見。マクロレンズを持って来た甲斐があった。久しぶりに腰を据えてハナネコノメを撮影する。今日の山に期待していた季節感覚とその実態がようやく合ってきた。
大楢峠から、今日は林道を歩いて海沢園地に寄っていく。上坂経由での下山に比べて30分ほど余計にかかるが、アズマイチゲを見ることができた。ついでなので久しぶりに三ツ釜の滝を見ていく。
ここからは長い舗装林道歩きとなる。アメリカキャンプ場を過ぎると新しい立派な車道に合流する。
青梅街道に抜けるトンネルができてこの辺りもずいぶん様子が変わったが、山の斜面側にはまだ緑も多く、キクザキイチゲやカタクリをあちこちで見る。
海沢のカタクリ山にも寄っていく。以前来た時よりやや花数は減っている気もするが、そこかしこに群落を作っていた。
カタクリ山からは白丸駅か奥多摩駅に戻ることになるが、平日でもあるのでもえぎの湯に寄ってから奥多摩駅まで歩くことにする。
温泉は混雑もなく、ゆっくりお湯に浸かることができた。久しぶりに食堂で生ビールも注文した。