山の写真集 > 奥多摩 > 雷電山から青梅丘陵
  • -人工林と里山林-
  • 軍畑駅-榎峠-雷電山-三方山-矢倉台-青梅駅
  • 奥多摩(青梅)
  • 東京都
  • 雷電山(494m), 三方山(454m)
  • 2020年3月7日(土)
  • 11.5km
  • 4時間50分
  • 246m(軍畑駅-雷電山)
  • -
  • -
  • 中央線,青梅線
天気1

 

2020年3月7日(土)
新宿駅 6:00
  中央線
6:38 立川駅 6:52
  青梅線
青梅駅乗換
7:51   軍畑駅 7:55
8:07   平溝橋
8:17   榎峠
8:50 雷電山 8:55
9:17 辛垣城跡
9:30   名郷峠
9:55   ノスザワ峠
10:05 三方山
11:00 矢倉台 11:30
12:15   展望広場
12:50   第二休憩所
13:20 青梅駅 13:25
  青梅線(特快)
14:21 新宿駅

 

軍畑駅から、いつもの高水山方面への車道を進む。平溝橋で高水山に向かわずさらに直進。高度を上げ、登りきる少し手前に榎峠の登山口があった。ここから青梅側へ、低い尾根道を歩いていく。
今日は今まで歩いたことのなかった青梅周辺の登山道を行く。奥多摩や青梅の山も、最近はかなり低いところも歩くようになった。標高としてはだいたい300~400mといったところ。
7年前に青梅線の南側の低い山稜、5年前には今日歩く尾根の西側にある夕倉山付近を歩いている。その東側、青梅駅に向かっていく尾根道の様子はどうなのだろうか。


下層が照葉樹の低木で敷き詰められたヒノキ林 [拡大 ]

平溝橋。高水山登山口は左折、榎峠へはここをさらに上っていく

ここを直進

マンリョウ(榎峠)

マンリョウ

雷電山へは、木段の直登がきつい

木段の急登

雷電山山頂

雷電山

雷電山は北西面のみ開けており、セメント工場が見下ろせる

セメント工場

雷電山に書かれていた謎の漢字

何と読む?

名郷峠。薄いながらも南北に踏み跡が下りていた

名郷峠

ミヤマシキミ(名郷峠)

ミヤマシキミ

送電鉄塔付近で見たシラカシの木

シラカシ

イヌツゲ

イヌツゲ

アシビの花は開花していたが、数は少ない

アシビ

三方山を過ぎると落葉樹が多くなり、見晴らしがきく場所も増えてくる

落葉樹の森へ


榎峠から山に入る。杉の植林帯の道は、しばらくすると木段の直登となる。いったん緩くなったが再び急登。展望もなくのっけからきつい歩きとなる。
着いた雷電山は今日の最高点、といっても500m未満だが。登山を始めた23年前から、この雷電山の名前は知っていた。旅行雑誌に載っていた東京の山登り特集で、六ツ石山、川苔山などと一緒に紹介されていた。昔は雷電山はけっこう有名だったのかもしれない。ともかく23年かけての初登頂となる。
山頂には立派な山名柱が立てられている。北西側だけ開けていて、眼下にセメント工場の大きな建物が見えた。さらに成木地区を挟んで埼玉県秩父・奥武蔵方面の山が居並んでいる。
山頂にはもう一つ目につくものがある。杉林に張り紙に文字が書かれていた。「企」の止の部分が正の字に変わっている。何と読むのだろう。いっしょに企の字も書かれている。林業仕事の記号のように思われるが、そういえばこの文字はほかの山でも見たような気がする。

先に進む。一帯は人工林一色で薄暗い。道は歩きやすいが、細かなアップダウンが多く意外と体力を使う。
榎峠付近から雷電山にかけて、小さいが尖ったピークがけっこう林立している。各地には地形の「クセ」みたいなのがあるが、ここはそういう小さなトンガリが多いタイプの地形だ。
やがて低木の照葉樹が目立ち始める。シキミ、アシビ、アラカシに混ざってヒサカキが多い。神棚に祭るこの木はこれほど山中に自生しているのだろうか。
ヒサカキはその後も継続して見られ、小さな蕾をたくさんつけているものもあったが、開花したものはほとんどない。

コースを少し外れ辛垣城跡に寄る。その後名郷峠に着く。ミヤマシキミの大きな株がある。峠らしく南側(二俣尾駅)、北側(成木地区)どちらにも道が下りている。
埼玉県の飯能に名郷の地名があるが、関係があるのだろうか。それにしてはちょっと距離が離れている。宮内敏雄著「奥多摩」(1944年)によると、雷電山東側の一地点を長尾峠と記している。場所がちょっと違うが、長尾が名郷に転じたものと考えるのが自然か。

送電鉄塔の立つ場所は少し明るくなって、アラカシとシラカシの大木があった。南斜面にはスミレも咲いている。
成木地区は企業など団体による森林環境保全活動がよく行われており、この尾根道にも「共生・協働の森」という説明板があった。ここの森林は高木層はほとんどが杉・ヒノキの針葉樹で、低木にアシビ、シキミ、ヒサカキ、アラカシなどの照葉樹と、見事な2層構造になっている。豊かな下層植生が実現されているようにも見えるが、意図したものなのだろうか。生産の現場としての人工林としては少し雑然とし過ぎている。暖地の低山は、放置しておくと照葉樹がどんどん勢力を増大していくと言われる。ここも徐伐が行われていない放置林なのかもしれない。
ノスザワ(ノスゾウ)峠、さらに次の三方山は巻くこともできたがピークを踏むことにした。展望のない三方山は、ここもヒサカキだらけだが、植えたもののように整った樹姿である。

照葉樹は今が新芽の時期

アラカシ新芽

ヒサカキの花は日当たりの良い場所で開花

ヒサカキの花

あずまやのある矢倉台

矢倉台

矢倉台からは、大岳山はじめ御岳山付近の山稜がよく見える

展望よい

ウグイスカズラ

ウグイスカズラ

第二休憩所手前から青梅の森方面へ入ると落葉樹となり、眺めのいい展望広場があった

展望広場

第一休憩所付近。落葉樹の多い遊歩道となる

遊歩道

青梅の市街地がすぐ下に。青梅線も見える

市街地がすぐ下

青梅駅へ下山

青梅駅


高水山トレイルランのコース案内が見られるようになる。4月に大会があるとのことだが、相次いでイベントが自粛される今年は、果たして開催できるのだろうか。
以前奥日光の山が見えたという元展望地(今は樹林が目隠ししている)を過ぎると様子が変わり、アカマツやコナラ林の明るい尾根になった。落葉樹をまとまって見れたのは今日初めて。ここまでは見事なまでに杉・ヒノキの人工林だった。
予報に反して空模様も好転し、青空が見えるようになる。アシビやウグイスカズラの小さな花、そしてヒサカキの花も開いたものがようやく見られた。やはり明るい場所は開花が早い。ツツジの芽吹きも目立ってきた。

道は次第に幅広になり、登山道というよりも林道、遊歩道に近くなってきた。
明るい台地に出ると、休憩所のある矢倉台となる。青梅市が広く見渡せるいい展望台だ。右は御岳山などの山稜が目立ち、左はどちらかというと住宅地。同じ青梅でも、矢倉台を境に右と左で景観が違うのが面白い。
ここまで歩き詰めだったので、眺めを見ながらゆっくり休憩する。

ところで、青梅きゅうりょうは丘「陵」であり、山稜の「稜」の字ではない。「丘稜」とは書かないのか。今までずっと疑問に思っていた。陵というと偉い人の墓を連想するので、元々この字にはお墓の意味があるのかと思っていた。
今回改めて調べてみると、稜には尖った角という意味があるらしく、尾根道は山「稜」となる。一方「陵」は大きくなだらかな丘という意味とのこと。
天皇の御陵や武蔵野陵などは地形的に大きな丘だからその字を使うのであって、「陵」そのものに墓の意味があるのではなさそうだ。

矢倉台からは様相がすっかり変わり、杉・ヒノキの人工林からコナラ、シデなどの雑木林が主になった。日向和田や宮ノ平駅など青梅線の各駅に下る道が連続して現れるほか、反対側の青梅裏宿町に通ずる登山道もある。明るい里山の風景が展開する。
あずまやのある第四休憩所、第三休憩所は家族連れや小グループでにぎわっている。第二休憩所のある台地に挙げると、その手前に別の登山道が伸びていたので、ちょっと入ってみる。青梅の森というエリアの入口で、落葉樹の多い整備されたコースになっていた。展望広場に上がると本日一番の眺望が得られた。
付近にはキャンプ場もあり、市民の憩いの場になっているのだろう。青梅の森コースは東青梅駅に下山できるようになっていたが、今日のゴールは青梅駅にしたいため、途中で引き返す。

青梅の縁を歩く今日のコースも終わりが近づいてきた。前半が人工林、後半が里山林と、青梅の山ははっきりした2つの顔を持っている、それがよくわかるコースだった。
第一休憩所を過ぎると、木の枝間から覗く市街地はもう目の前になった。青梅駅に停まっているオレンジ色の電車もはっきりわかる。
野球の練習をしている高校のグランドを回り込むように下山する。青梅鉄道公園に寄るのを忘れてしまった。このまま車道につながり青梅線を路架橋で超える。すぐに昭和のたたずまいがそのまま残る青梅駅前の広場に出た。

奥多摩150山と45の峠」という山リストがある。奥多摩の主だった山や峠はすでに登りつくしているので、最近は新たに登頂カウントされるような山行はほとんどなくなった。道のはっきりしないヤブ山や、車道が通るような峠を10数地点、歩き残している。
それが今日は久しぶりにこれにカウントされる山行となった。しかも榎峠、雷電山、三方山、ノスゾウ峠、名郷峠と5つも消化できてしまった。