山の写真集 > 奥多摩 > 棒ノ折山から岩茸石山、御嶽駅
-冬が過ぎれば必ず春が-
タイトル
奥茶屋-棒ノ折山-岩茸石山-惣岳山-御嶽駅
山域奥多摩
地域東京都
標高棒ノ折山(969m), 黒山(892m), 逆川ノ丸(841m), 岩茸石山(793m), 惣岳山(756m)
山行日2011年3月19日(土)天気1
沿面距離11.1km
歩行時間4時間55分
標高差636m(上日向~棒ノ折山)
宿泊-
温泉-
交通中央線、青梅線、西東京バス
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2011年3月19日(土)

代々木駅5:33
 中央線
5:36立川駅6:16
 青梅線
青梅駅乗換
7:34川井駅7:41
 西東京バス
7:52上日向
8:18奥茶屋
8:30ワサビ田9:00
10:00棒ノ折山10:30
10:40ゴンジリ峠
10:53黒山10:58
11:15逆川ノ丸
12:05名坂峠
12:10岩茸石山12:40
13:10惣岳山13:20
14:30御嶽駅15:06
 青梅線
15:55立川駅16:02
 中央線青梅特快
16:28新宿駅


関連リンク
[記録] 小沢峠から棒ノ折山
[記録] 棒ノ折山から岩茸石山、升ヶ滝
[記録] 川苔山から棒ノ折山
西東京バス


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土曜日、中央線や青梅線は平常通りの運行に戻っていた。普段はハイキング客で座席が埋まる青梅線が、今日は車両ごとに数人。ザックを背負った人は数えるほどだ。
節電で車内の暖房が切れており、人が少ないせいもありかなり寒い。今日日中は暖かくなるとの予報にしたがい、防寒着は薄いものに取り替えてきたので、思いがけず震える朝となった。


ハナネコノメが咲き始めた

川井駅からのバスも、乗客は自分ひとり。上日向から日の差さない寒い林道を行く。梅はそこかしこで咲くがスミレ類はまだ見られない。

奥茶屋の登山口に入っていく。山肌は寒々しい灰色だが、少し登るとワサビ田の緑色が見えてくる。奥多摩の春を告げる一番最初の色かもしれない。ワサビ田の脇の道に入り、水の流れるあたりを覗き込む。お目当てがなかなか見つからず、さらに先を行く。
右にワサビ田を見るようになって、小さな橋で渡り返すところで、橋の下の岩にハナネコノメが咲いているのを見つけた。まだ時期が早いのか、他の場所には見られないが、ここはひとところにビッシリと咲いている。90mmマクロレンズに換え、橋の袂に下りる。写真を撮っていると思わず無心になる。

山の神を過ぎて、棒ノ折山への植林下の急登が始まる。いったん左手の山の斜面と青空との境が近づいてくるが、ゴールはまだまだ先。進行方向は右に向かい、さらなる急登が続く。
1時間の苦行の後、植林を抜け出し不意にあたりが開ける。日陰に少し雪が残っている。そのすぐ先が棒ノ折山頂上である。

川井駅前
ワサビ田
ハナネコノメ
ハナネコノメ
広い山頂

青空には全く雲も無く、おまけに今日は見通しがいい。大持山、武甲山、武川岳など奥武蔵の山の向こうにいくつもの白い峰が見えている。谷川岳、武尊山、日光白根山など形まではっきりとわかる。
山頂にはもうひとりの登山者がいた。有間ダムの駐車場に車を停めてきたが、自分の車のほかには一台もなかったという。県道は空いているかと思いきや、ガソリンスタンドの手前には長い車列が出来ていて、上り下り1車線ずつの道が、半ば一方通行のようになっていたそうだ。
その人もやがて下山していった。だだっ広い山頂でひとり、しばらく遠くの山々を眺めていた。

御嶽駅を目指し、縦走に入る。ゴンジリ峠までの下りは、残雪があり少し凍っていた。緩い下り登りを経て黒山の山頂に立つ。狭くて取るに足らない山頂ではあるが、三角点がここにはある。ここで出会った人も、ガソリンスタンドの車列のことを口にした。

日差したっぷりの尾根道を歩く。暖かいようでも吹きさらしの稜線上は意外と寒く、まだ手袋は必要だ。アシビの多い道になる。下のほうにマンサクの黄色い花を見るが、稜線では見つけられなかった。
登り返して逆川ノ丸。このあたりは西側の眺めがよく、御前山や大岳山、そしてその間には富士山も頭を覗かせていた。時たま登山者とすれ違う。ここは逆コースのほうが歩かれているようではある。

高度を落とすと植林の下を歩く割合が多くなる。升ヶ滝方面との分岐を過ぎると、岩茸石山の軍艦のような平頂が眼前となる。その右手前には岩茸の名前の由来と言われている尖がったピークがある。岩茸石山まではこれらのピークをいくつか巻いたりしていくので意外と時間がかかり、アップダウンも多い。また、根っこから激しく倒れた樹木も見られるが、地震の影響もあったのか。
名坂峠で八桑への下山路を分け、登り返す。再び樹林を抜け、開けた斜面を登る。ここにもかすかに雪が残る。上のほうから人の声がして、何故か安心する。展望満点の岩茸石山に立った。

富士山も
巨木が倒れている
遠く雲取山も
惣岳山

今歩いてきた棒ノ折山からの稜線がよく見える。雲取山も雪が混ざった姿が覗く。奥多摩の山々は何ごともなかったかのように、いつものようにそこにあった。
山頂の奥で、賑やかに宴会をしているグループがあった。いつもなら疎ましく思ったりもするが、今日の山は人の声が響くとほっとする。日当たりのよい斜面で、いびきをかいて昼寝している人もいた。

惣岳山への尾根道を行く。この山には13年前に高水三山の縦走で来たきりだった。山頂手前は岩場の登りとなっている。初心者向けコースとはいっても、道中には手ごわい場所もあるといういい例である。

上りきった惣岳山山頂は樹林の中で、青渭神社が立ち、静かな雰囲気である。アカゲラであろうか、木の高いところでコツコツ・・・とドラミング音が聞こえてくる。冬枯れで何もかも死んだようになった山も、何となくザワザワと、ものが動き始める気配を感じる。季節が変わり行く瞬間である。
山麓では早春の花が咲き始め、小鳥の囀りも日を追って多くなる。日差しが強みを帯び気温も上がる。花粉で近くの山でさえも霞んで見えにくくなるが、それも季節の移ろう点景のひとつだ。冬の後は必ず春が来る。

惣岳山を後にし、あとは御嶽駅まで一気に下るのみ。しかしこれが意外と長く、沢井駅と丹縄への分岐を過ぎた先で登り返したりもする。今日は5時間程度の歩きだったが、最後の急降下はけっこう足にきた。
国道を右折し御嶽駅に到着。観光客はほとんどいない。駅前のラーメン屋に立ち寄り、時間通りにきた青梅線で帰る。帰りの電車は人もそこそこいて暖かかった。