~昭和の街から静かな都県境の尾根へ~ こさわとうげからくろやま(842m)、 ぼうのおれやま(969m) 2006年2月25日(土)晴れ後時々曇り |
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7:04青梅駅-[バス]-7:357:40上成木-8:00小沢峠-8:50長久保山-9:50黒山10:05-10:25ゴンジリ峠-10:35棒の折山11:15-11:45黒山-12:00逆川ノ丸-12:55名坂峠13:00-13:05岩茸石山13:30-13:35名坂峠-14:10八桑14:20-14:55川井駅 歩行時間:5時間45分 |
青梅駅で下車。青梅は昭和の時代にタイムトリップできる町だ。 知名度の割には小さく地味な駅舎、昔そのままの看板で営業している映画館や食堂、理髪店など。街中には他を圧倒するような背の高いビルがなく、青梅市と深い関わりのある漫画家・赤塚不二夫氏の博物館が建っている。青梅駅では電車発車ベルの代わりに、「ひみつのアッコちゃん」のメロディが流れる。 昨年から「昭和」がブームになっているが、青梅市はずっと前から昭和が街の文化なのだ。街のカラーをおしつけがましくなく、さりげなくアピールしているところに好感が持てる。青梅線は、奥多摩駅や鳩ノ巣駅のような山間の駅舎というイメージのものが多いが、青梅駅界隈の雰囲気も捨てがたい。 バスに乗り、終点の上成木に着く。集落は雨上がりだが、少し高い場所は白くなっている。スパッツをつけて小沢(こさわ)トンネル手前の登山口に入る。 もうずいぶん暖かくなってきた。そろそろマンサクの時期だが、稜線では見れるだろうか。
小沢峠はトンネルのすぐ上のようだ。ここは十字路になっていて、正面に名栗側に下りる道が続いている。 左折し黒山の方向へ急坂を上がる。この尾根は東京都と埼玉県の県境。名栗村の指導標と、青梅市のハイキングコースの標識が交互に出てくる。 急登と緩い短い下りを繰り返しながら高度を上げていく。何箇所かで展望が効き、白い稜線が正対して見える。北側には名栗村の家並みが見下ろせる。低い雲海が出ている。 足元にも雪が目立ち始め、草付の斜面は真っ白である。しかし気温が高いので今日のうちに全部溶けそうだ。 オール植林から、植林と雑木林の道になる。植林帯は雪を木の葉が受け止めているため、地面に雪はほとんどないが、葉を落とした雑木林の下は決まって白くなっている。大体3センチほどの積雪が続く。 長久保山との山名板のあるピークを過ぎたあたりで、この尾根のおよそ3分の1を歩いたこととなる。少し先のベンチがある場所で休憩する。雑木林が着雪していて白いオブジェのように見える。 再び歩き出す。やがて小さい平坦地に出て、上成木から来る林道が合流する。この付近は馬乗馬場というそうだ。 進む先に黒山のピークが見えてくると、周囲は雑木林一色となる。岩のめだつヤセ尾根はアシビが多い。気持ちの良い登りをこなすと、3等3角点のある黒山の頂上となる。小広く休憩に適した場所だ。 南面に奥多摩の山々の展望が開けるが、大岳山・御前山や石尾根など少し高い山は雲がかかっている。冬枯れの雲ひとつない天気はもう今年はもうなさそうだ。 高水山やこれから行く予定の棒ノ折山くらいの標高の山は、まだ全貌を見せている。
黒山から棒ノ折山へ、気持ちの良い尾根を進む。植林帯の下は枝葉の雪が溶け落ちてくるので、まるで雨が降っているようである。 ゴンジリ峠はうっすら雪がついている。このあたりから多くの登山者と出会う。踏み跡でグチャグチャになった木段の急坂を詰め、久しぶりの棒ノ折山頂上に着く。ここまで3時間弱、低山ながらも歩きでのあるコースだった。 周囲の眺めは雲は多いが、武川岳や伊豆ガ岳など奥武蔵の山々が望める。大持山は雲の中だ。棒ノ折山の広い頂上は、地面の雪が溶けて水蒸気になって、ガスがかかっているよう。 ベンチの雪を払って座る。西に長沢背稜への道が伸びている。いずれ歩きたいと思っているがなかなか実現しない。 登山者はどんどん登ってくる。そろそろ山にも登山者が戻ってくる時期だ。 黒山まで来た道を戻り、今度は南下する。ここは5年前の2月に逆コースで歩いている。危険な場所はほとんどなく、下りならば格好の散歩コースだ。高度を下げるにつれ、雪も少なくなる。 ただしアップダウンはそこそこあり、北斜面の登りになると決まって雪が出てくる。
足元ばかりだった目線も、この時期になると木の枝のほうにも行く。マンサクを探すが、やはりまだ時期が早いようだ。 逆川ノ丸(840m)を少し過ぎたところで南側の展望が開け、大岳山や御前山が望める。さらに下るとすぐ横に川苔山の形の良い山容が望めるテラスに出る。安全のため木の柵が設けられている。 コブをいくつか越えて、正面に岩茸石山を見据える。おわんをかぶせたような山体の隣りには尖った岩塔が並んでいて、これを岩茸石としているのだろう。偶然なのか棒ノ折山のすぐ下にも同じ名前の岩茸石がある。命名者はもしかしたら同じなのかもしれない。 岩茸石山をよく見ようと左側に寄って行ったら、「輿越山 725m」という山名標識が掛けられており、踏み跡もそこから東に伸びている。これを辿ると上成木に下れるのだろうか。 このあたりにはまだまだ知らない山、地図にはない道がいくつもある。 名坂峠まで下る。ここも十字路で西は大丹波の八桑(やくわ)、東には新しい指導標とともに上成木に下る道がつけられている。雪のまだらに残る斜面を登り返して岩茸石山(793m)の頂上へ。2つのグループが食事の最中。 少し霞んだ空気の向こうに有間山稜や長沢背稜東部の山。近くには高水山、棒ノ折山から今歩いてきた尾根がよく見える。北東には鉄塔の立ち並ぶ武蔵野台地が広い。 惣岳山から御岳駅まで縦走も考えたが、水がなくなってしまった。次からは水を少し多めに持たなければならなそうだ。 名坂峠に戻って八桑へ下る。指導標には「キケン」と手書きされているが、下り出しに2箇所ほど崩れかけた山腹のトラバースがある程度だ。ただし雨天時は慎重を要するだろう。 その後は急坂もそれほどなく、下部は不安のない道だった。 八桑の集落に下る。道端にオオイヌノフグリを見つける。しかしまだ少しだけだ。例年ならこの時期だともっと群生する場所があってもいいはずだが、やはり今年は遅いようだ。 唯一バスのない時間帯である14時台に下りて来てしまった。川井駅まで40分ほど、やわらかい日差しの中をのんびりと歩く。 |