2012年5月26日(土) | |||
◇ | 初台IC | 5:50 | |
首都高速、中央自動車道 | |||
◇ | 勝沼IC | 7:00 | |
国道411,140号 | |||
7:50 | 道の駅みとみ | 8:00 | |
8:35 | 徳ちゃん新道入口 | ◇ | |
11:00 | 新道合流点 | 11:45 | |
12:00 | 主脈縦走路 | 13:55 | |
14:03 | 木賊山 | 14:13 | |
14:25 | 甲武信小屋(泊) (甲武信岳往復) |
◇ | |
2012年5月27日(日) | |||
◇ | 甲武信小屋 | 5:50 | |
6:06 | 甲武信岳 | 6:20 | |
6:33 | 甲武信小屋 | 6:37 | |
7:00 | 主脈縦走路 | ◇ | |
7:40 | 笹平上 | ◇ | |
8:30 | 主脈縦走路 | ◇ | |
10:07 | 新道合流点 | 10:50 | |
12:00 | ヌク沢 | 12:10 | |
12:55 | 近丸新道登山口 | ◇ | |
13:25 | 道の駅みとみ | 13:40 | |
国道140,411号 笛吹の湯立寄り |
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15:25 | 勝沼IC | ◇ | |
中央自動車道 | |||
17:38 | 高井戸IC | ◇ |
甲武信(こぶし)岳に登ったことのない2人と、西沢渓谷の登山口から登ることになった。
シャクナゲツアーと称して、奥秩父の魅力を知ってもらおうと考えたが、今年は開花が遅く、果たして見られるのか直前まで気を揉んでいた。3日前にに開花の情報を得たものの満開には程遠いので、かえって小屋はすいているかもしれない。
木賊山下から甲武信岳を望む |
青空の稜線 |
徳ちゃん新道へ |
カラマツ新緑 |
開花したばかり |
眺めが広がる |
アズマシャクナゲ |
残雪の道 |
道の駅みとみに着く。青空が眩しい。周囲の山々は明るい緑色をしている。鶏冠(とさか)山や木賊(とくさ)山もはっきり見え、今日は1日いい天気で登れるかと期待する。
西沢渓谷に向かう歩道に入ると、渓谷巡りに行くと思われる軽装の人が多く、甲武信岳に登りそうな人は見当たらない。近丸新道の登山口に着くが、今日はもう少し先まで行って、徳ちゃん新道を登る。西沢山荘の前で、目立たない徳ちゃん新道登山口に入っていく。
このコースは早くから尾根に取り付く。カラマツ林が新緑で鮮やかだ。緩急を取り混ぜ、着実に高度を上げていく。かなり急な登りもある。落葉樹の林ではミツバツツジがよく咲く。
やがてシャクナゲの木が何本か現れる。しっかりと花をつけていた。蕾が多く、今にも花開きそうなものも多い。今の時期、シャクナゲはまだ標高の低いところしか咲いていないのだが、近丸新道の下部は、沢を高巻く広葉樹林でシャクナゲはない。
長野県側からのコースを含めた甲武信岳への登路で、最初にシャクナゲを見れるのは徳ちゃん新道となる。
にわかに岩っぽくなって、ヤセ尾根状の登りに入ると、シャクナゲはますます増え、トンネルになった。満開と言うわけではないが、かなり咲き出している。
やがてシャクナゲの木も背が低くなってきたのか、鶏冠山のギザギザの稜線が見えるようになった。そして後ろを振り向くと、三富の方角に富士山が顔を出していた。
左右がシャクナゲの道をもうひと登りで、近丸新道との合流点に着いた。眺めがいいわけではないがちょっとした平坦地になっていて、休憩にいい場所である。ちょっと早いが昼食とする。
シャクナゲのトンネルは続く。しかし花は時たま見られる程度になり、登れば登るほど花の数は減った。花がなくなってあらためて気がついたが、ここは本当にシャクナゲの木ばかりで壮観だ。これが全部咲くとそれこそ、ピンク色のトンネルになるところだが、木の全部が全部、毎年花をつけるわけではなく、よく見ると花芽を全くつけていない木もある。シャクナゲの森は、年によって花が咲く木が決まっているようだ。
シャクナゲ帯が終わると奥秩父らしい、深い原生林の登りとなる。苔むした木の根元にバイカオウレンが小さなかわいい花をつけている。上から人が下ってきた。この先は雪が多いという。
岩の積み重なった展望地に立つ。ガスが出てきて眺めは得られなくなっていた。展望地の先からは、そろそろ雪が見え始める。まずは雪解け直後と思われるぬかるみが増え、2300mを越えたあたりからは完全に雪の道となった。深さは場所によっては50cm近く残っているところもあって、踏み抜きの跡がいっぱいついている。雪は腐っていて、気温も高くなっていたのでアイゼンはあまり役に立たないだろう。
スリップしないように注意しながら、頑張って上っていくと主脈縦走路に合流した。ここから木賊山の山頂まで、一直線の登りである。木賊山に着くと、鶏冠山を登ってきた3名が後から来た。鶏冠山には一般ルートというものはなくヤブ深くて、メンバーによってはロープワークも必要になりそうな厳しいコースと聞く。
山頂からいったん下ったザレ地から、端正な三角錐の甲武信岳を真正面からとらえる。その先は北斜面にあたるせいか雪が増え、滑り落ちないように慎重を期す道が甲武信小屋まで続いた。
朝日を浴びて |
奥秩父の盟主 |
バイカオウレン |
シャクナゲ街道 |
近丸新道でも開花 |
小屋は大混雑。花の季節には早く、混み具合はそれほどでもないという期待があったが見事に裏切られた。ツアーの団体が3組あった。
よく考えてみれば、それなりに名の通った旅行会社なら、花が咲いていないからといってツアーを中止や延期にはしないだろう。例年なら5月最終週は戸渡尾根(徳ちゃん新道)のシャクナゲ最盛期である。それを当て込んだツアー登山が集中したわけだ。
靴置き場の横の団らん用テーブルも靴置き場と化し、テント場は満杯。寝床はもちろん2人で1つの布団。よくこんなに詰め込めると思う。10年前、何も知らずに北アルプスの山小屋に泊まりに行ったときを思い出した。
遅く到着した10名ほどに対しては、食堂が臨時の寝室となった。こちらは余裕のスペースだったようで、この日は到着が遅かった人のほうがゆっくり寝られたのかもしれない。下界の常識なら不公平だと文句を言うところだが、山小屋の運営方針であるから文句を言うわけにはいかない。
早く来た人が優先、などと公平性を求められると、いずれ山小屋でも整理券のようなものが発行されることになるだろう。もしかしたらIDカードをぶら下げるかもしれない。甲武信小屋にカード社会は似合わなそうだ。
夕方、甲武信岳に登ってみたがガスが出て、眺めは芳しくなかった。気温が下がり、登山道の残雪が固くなってアイゼンなしでは下りで苦労した。
翌朝、小屋の前から日の出を拝む。小屋の前の寒暖計は2度。
今日こそは快晴と思って、もう一度山頂へ。今度はアイゼンをつけて登る。歯がよく利いて、昨日に比べ格段に歩きやすい。
甲武信岳に到着。青空の下、昨日見えなかった奥秩父の山々、八ヶ岳、富士山が見えた。しかし湿度が高いのか、もやもやした眺め。南東側のほうはすでにガスが上がってきている。大気はもう、梅雨の走りの印象である。
アイゼンのまま主脈縦走路に向かう。雁坂峠まで縦走して新地平に下る予定。木賊山に登らず巻き道を使うが、雪が多量に残り腐っていて、かなり歩きにくい。残雪の季節は稜線のほうを歩いたほうがよさそうだ。
縦走路に合流する。少し歩くと雪はなくなった。針葉樹林とシャクナゲの木が埋め尽くされた稜線。このあたりのシャクナゲもアズマシャクナゲだが、花期は6月下旬頃なのだろうか、その時期に歩いたことがないので、稜線のシャクナゲが花開いているのを見たことはない。
アズマシャクナゲ |
ミツバツツジも花期 |
新緑の森 |
森林浴の道 |
岩が露出した斜面を急下降。東側はすでにガスの中で、目指す西破風山の姿はない。
メンバーの一人が遅れ出した。足に異常を感じているらしい。雁坂峠回りだとアップダウンもあって、このペースではかなり時間がかかりそう。もうすぐ笹平の鞍部なのだが、エスケープルートがないコースなので無理をするわけにはいかない。ここは縦走を諦めて戸渡尾根を下ったほうが言いと判断し、来た道を戻ることにした。
木賊山手前までの合流点までは登り返しが大変だが、危険な箇所はない。
昨日登ってきた針葉樹の道を辿る。昨日に比べて残雪は減っている。今年に限っては、もう1週後ならばシャクナゲも多く咲き、残雪も気にならないくらいに消えて歩きやすかっただろう。
新道合流点からは、シャクナゲをもう1回見たいので徳ちゃん新道を下ろうと考えたが、登ってきた人からの話によれば近丸新道でも花は見れるとのことなので、やはりピストンはやめてそちらを歩くことにする。
今日は日曜日なのに、昨日に比べて登ってくる人が多い。聞くと、ほぼ全員が日帰りだ。どうやらここ数年の登山ブームの中では、甲武信岳はに日帰りの山、というのが一般化してしまったようだ。
自分が1999年に初めて登った時はテント泊で、次の年も雲取山からの縦走だったので、甲武信岳は重装備で登る、山深い一泊の山という印象しかなかった。毛木平からの往復なら考えられないこともないが、山梨県側からだとは標高差もあり、歩行だけで8時間近くかかる。日帰り往復だと奥秩父の深い原生林をゆっくり味わえず、登って下るだけの山になってしまいそう。
それでも若い人の間では日帰りが当たり前になっているようだ。自分はついに、今の登山者の年齢層の中心から外れてしまった感がある。
近丸新道に入ると、最初こそ急な下りだがやがて尾根状になり、シャクナゲもある程度咲いていた。
しかしそれも長くは続かず、標高を下げるとシャクナゲの木はなくなり、一面新緑の森となった。さらにミツバツツジとトウゴクミツバツツジが混ざって咲いている。
近丸新道は広葉樹が豊かなのが特徴で、このあたりは標高を下げても杉・檜の植林帯がないので新緑や初夏、紅葉時には瑞々しい自然美を目にすることができる。
登山道には珪石と呼ばれる白い鉱物が見られる。ガラスの原料となり、以前は採掘が盛んだったようで今でも資材運搬に使われた軌道の跡が残されている。
どんどん下ってヌク沢に着く。ここからは沢を高巻く平坦道が続く。思えば、ここを下りにとったのも久しぶりだ。谷側はざれている箇所が多く、ちょっとスリルがある。
下界の音が聞こえてきた。さらに下り、左手に白っぽい道のようなものが。昨日通った近丸新道登山口に下りついた。下は暑い。山の中と登山口で季節感が違う。林道を歩いて道の駅みとみに到着した。メンバーの足は大丈夫だった。
シャクナゲは少なかったが、登りも下りも見ることができたので、よしとしよう。帰りの中央道は超渋滞で、今年もマイカー登山の帰りは、こんな日々が続くのかの思うと、いささかうんざりする。
反面、遠方の高い山に登れる季節が、すぐそこまでやってきたということ。今年の夏の計画をそろそろしなければ。