~梅雨の晴れ間、強風と青空の高山漫歩~
タイトル
甲子温泉から那須連峰縦走
2003年6月20日(金)~21日(土)

甲子温泉-甲子山-坊主沼
-三本槍岳-朝日岳-茶臼岳-山麓駅
マップ
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●主峰・茶臼岳へ、山の魅力が凝縮された連峰
分岐に戻り、茶臼岳への道に入る。岩稜を巻くように、下り気味に伝っていく。このへんは八ヶ岳の横岳付近の岩尾根と雰囲気が似ている。鎖場もあり少し注意を要する所もあるが、やはり歩く人が多いのか、浮き石もなく道は安定している。
ウラジロヨウラク
ウラジロヨウラク
祠のある茶臼岳頂上
祠のある茶臼岳頂上

避難小屋のある峰の茶屋跡に着く。「この付近は想像を絶するような強風が吹くことがあります」と天気図付の解説板があるが、まさにそれを実体験している。しかし西高東低の気圧配置となる冬期は、こんなものではないだろう。
下山路を見下ろしながら、茶臼岳の登りに入る。あたりはもはや岩しかない。硫黄の臭いも立ち込める火山特有の地肌をどんどん登る。

鳥居と祠のある茶臼岳頂上(1898m)には、荷物を持たない軽装の男女カップルが何組もいる。
反対側にロープウェイ駅があり、そこから観光客が登って来るので、もはや登山者だけの領域ではないのだが、やはり那須連峰の主役はこの茶臼岳だ。三本槍、朝日岳いずれも個性のあるピークであるけれども、赤茶けた岩肌をむき出しにしたこの主峰の存在感は、群を抜いている。雲ひとつ無くなった青空の下、ここまで来れた感慨にひたりながら展望を楽しむ。

連峰の縦走なら南月山まで足を伸ばすのが常道であるが、出発の時間が遅かったので、今日は茶臼岳で下山とする。

峠の茶屋への下山路からは、朝日岳の形よい姿がいつまでも眺められる。東側から見上げる朝日岳は、三本槍や茶臼岳から見た荒々しい風貌と違って、緑多い端正な山容である。
那須連峰は、狭い範囲の中に実に多くの山の景観が凝縮されていると感じた。笹深い原始の道、ハイマツ帯のなだらかな高原、険しい岩尾根が続くアルペン的な稜線、そして観光地としての山。そういう意味で、北部と南部で違った顔を持つ八ヶ岳と共通する部分は多い。
下山路から見た朝日岳
下山路から見た朝日岳

歩きよい道をたんたんと下り、峠の茶屋を経てロープウェイ那須山麓駅に着く。
那須と言ったら温泉なのだが、寄り道すると帰れるバスが無くなってしまう。16時10分発の黒磯駅行きバスの乗客は、なんと自分1人。観光客や登山者は多いのにどうしてだろうと思ったら、やはりみんな車利用のようである。

一口に那須連峰と言っても、いろいろな顔を持っていた。三本槍岳を境に南と北では植生や登山道の状態などかなり違う。主峰間を行き来するだけならハイキング気分で行けるが、縦走となると天候なども含めた登山の条件はかなり厳しくなる。
三倉山付近の稜線や中ノ大倉尾根など、登山対象として魅力を感じるコースがまだまだたくさんある。三斗小屋温泉を利用した山行も捨てがたいので、いずれまた足を運んでみたいものだ。


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