2013年5月6日(祝) 前日泊 | |||
◇ | 桐生駅 | 6:30 | |
おりひめバス | |||
6:47 | 梅田南小前 | 6:50 | |
7:42 | 大滝登山口 | 7:48 | |
7:57 | 大滝 | ◇ | |
9:30 | 肩の広場 | ◇ | |
9:35 | 鳴神山 | 9:55 | |
10:10 | 椚田峠 | 10:30 | |
10:50 | 仁田岳 | ◇ | |
11:00 | 肩の広場 | ◇ | |
11:50 | 花台沢ノ頭 | 12:05 | |
12:27 | 三峰山 | 12:35 | |
12:55 | 金沢峠 | ◇ | |
13:10 | 林道 | ◇ | |
13:30 | 観音橋 | 13:39 | |
おりひめバス | |||
13:55 | 桐生駅 | ◇ | |
国道50号他 | |||
15:25 | 太田桐生IC | ◇ | |
北関東自動車道 東北自動車道 首都高 |
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17:50 | 富ヶ谷ランプ | ◇ |
昨日の思いもあって、今日の鳴神山は車を宿泊施設に置いて、バスでアプローチする。梅田南小学校前バス停から歩き出す。麓の景色を眺めながら木品登山口へ向かう。
新緑眩しく藤の花がそこかしこにきれいに咲く。上部に見える鳴神山稜は美しいもえぎ色になっている。
芽吹きの森は、萌黄色の若葉が雪のように降ってきそうだ |
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大滝山荘の建つ木品登山口まで小1時間、車道歩きはなかなか長かった。この山は前2回とも西側の駒形登山口から登ったが、今日の大滝ルートは鳴神山の表参道だ。入口には鳥居が立っている。ここからさらに奥にも登山口があり、その方面へ向かう車やタクシーも見かけた。
杉林の中を歩きはじめると、すぐに大滝。細い流れだが水量はある。そのまま登っていくと沢筋の石のゴロゴロした道になって少々歩きにくい。と突然簡易舗装の道が現れたりする。
程なく落ち着いた登山道に変わり、右手が爽やかな新緑になる。花の鳴神山にしては見かける花は少なく、スミレの咲き残りがある程度だ。そんな中、白花の鮮やかなスミレを見つけた。葉が大きく3つに裂けており、ヒトツバエゾスミレの仲間だ。その白花ならば、これこそがあのナルカミスミレに違いない。初めて見た。鳴神山ほか、ごく限られた山でしか見られない貴重種である。周囲に他のスミレはなく、この一輪だけ孤高を持して咲いていた。
急坂を登っていくと上のほうから人の声が聞こえてきた。そろそろ肩の広場が近そうだ。カッコソウ保護の看板と柵に囲まれた保護地が斜面広に広がっている。一回りしてみたが、ピンク色の蕾を数輪見ただけで、花はまだまだのように思えた。今日はナルカミスミレを見れただけで大いに満足である。あまり欲張りはいけない。
肩の広場から、狛犬を見て山頂への急坂を登る。仁田岳、椚田(くぬぎた)峠への分岐を見て鳴神山山頂に飛び出た。360度の展望は爽快である。安蘇山塊や遠く赤城山、奥日光の山を見渡す。吾妻山方向に続く稜線は鮮やかな新緑色、そして反対の側の椚田峠、座間峠方面の山稜も芽吹き盛んでヤマザクラが点々としていた。周囲どこを見ても春の絵である。
山頂の周囲はアカヤシオがわずかに咲き残っており、ミツバツツジも少し見られた。
椚田峠への分岐点まで降りる。今日は吾妻山方面の尾根縦走をする予定だが、3日連続の山でもあるため、吾妻山まで行くつもりはなく途中で下山することにしている。その前に、椚田峠方面にあるもうひとつのカッコソウ保護地が気になる。行ってみて咲いていればラッキーだが、下山予定ルートとは逆方向の尾根をかなり下ることになるため、何もないと悲しい。
近くにいた人が「カッコソウ見に行くんですか?すごくいっぱい咲いてますよ」と教えてくれた。これは見に行かねば。心は決まり北方向の尾根を下っていく。
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椚田峠から右に下る。このルートはさきほどの大滝コースの奥にあるもうひとつのルートとなっており、ここを下山すれば周回コースが取れる。薄暗い杉林を下っていくと人だかりがしていた。そして、初めて見る青紫の花が、柵の中にいっぱい咲いていた。感激である。
周りにいた人は、カッコソウの保護に当たっている地元の人だった。「きれいに咲いたから、ぜひいっぱい写真に撮って下さい」と言われる。聞くと、カッコソウの種から発芽までを麓で育て、苗をこの地に植えているそうだ。
鳴神山は昔はカッコソウが自生していたが、今はこのように人の手によって保護、育成されているのが現状である。それでも、カッコソウは日本の中で、ここ鳴神山でしか見られない、正真正銘の特産種だ。大変に貴重な花であることは間違いない。いささかドキドキしながら写真に収める。
保護されている方の中には桐生の大学生もいて、京都大学と連携してカッコソウの遺伝子分析をする予定だそうである。「種がこの場所で発芽したらうれしいね」「そう、それは本当に夢のようなことだね」そう話していた。外野からは、花が咲いた・咲かないくらいの話でしかないが、実際保護にあたっている人の苦労は相当なものであろう。
なお、カッコソウは平成24年5月より「種の保存法」に基づき国内希少野生動植物種に指定され、採取が厳しく禁じられるようになった。取ったり傷つけたりしても懲役1年以下または100万円以下の罰金となる。
保護地を後にし椚田峠へ、そしてさらに山頂直下まで登り返す。ついでだから鳴神のもうひとつのピーク、仁田岳にも登っていく。
稜線は淡い新緑が気持ちよく、樹林の切れ間から赤城も望めたりして、いい道である。北に向かい座間峠~わたらせ渓谷鉄道の神戸駅まで行くルートもあるが、今回は地図も何もないためやはり南に下ろう。
肩の広場からゆるやかな下り傾斜の尾根歩きとなる。ところどころで小ピークを越えていくが、ほどよい歩きでのある道である。ただししばらくは左手に植林を見ながら歩く場所が多い。そうした状態もやがて解消し、ミズナラなどの自然林一色となる。
スミレは花期を過ぎているようでフモトスミレ、アケボノスミレなどを時たま見るのみである。登路でナルカミスミレを見れたのが奇跡に近い。
この尾根道を歩く人は意外と少なく、今日のところはやはりカッコソウを見に来た人が多かったのだろう。
祠のある三峰山を過ぎ、高度を落として金沢峠へ。ここで尾根を外れて下山する。杉林の中となるが、ニリンソウがあちこちに咲いている。そしてきれいなヤマブキソウを見つけた。ヤマブキではなくヤマブキソウである。これも初めてのご対面だ。今日は3種類もの初めての花に出会うことが出来た。
登山道はすぐに簡易舗装の林道となり、単調な下りとなる。明るくなると車道に出て、民家を見ながら緩く下っていく。暑い初夏の日差しをいっぱいに受け、観音橋バス停に到着する。10分でバスはやってきた。桐生市街地に戻って車を回収し、3日間の山旅を締めくくった。
帰路の高速は激しい渋滞となった。昨日、福島からここ群馬にやってくるときも渋滞に巻き込まれたので、2日連続でUターンラッシュにはまってしまったことになる。
高速道を取り巻く丘陵地帯は、新緑から濃厚な初夏の色に変わりつつあった。