~アカヤシオの山頂から新緑の尾根縦走~ なるかみやま(980m)、あずまやま(481m) 2002.4.15.(月) 晴れ時々曇り 駒形登山口-鳴神山-花台沢ノ頭-大形山-吾妻山-桐生駅 |
鳴神山はカッコソウ、ナルカミスミレなど稀少な品種の花で有名な山で、先月登った仙人ガ岳の隣りに位置する。また、この季節はここ安蘇山塊の山々はアカヤシオツツジも見頃とのこと。 今回は、前日上州三峰山に登ったあと、その足で桐生市内で1泊し、平日の早朝から登る計画にした。 前日の「上州三峰山」へ ---------------------------------------------------------------------------------------------- 2002年4月15日(月) 晴れ時々曇り 桐生駅6:45-[おりひめバス]-7:10吹上バス停-7:30駒形登山口-8:40沢の終端-9:05肩の広場-9:10鳴神山9:55-10:40花台沢ノ頭10:50-11:10三峰山-11:30金沢峠-11:50大形山12:00-12:40自然観察の森分岐12:50-13:30吾妻山14:10-14:40吾妻公園-15:00桐生駅15:50-[両毛線]-16:44小山駅16:47-[宇都宮線]-18:11上野駅 歩行時間:5時間55分 ---------------------------------------------------------------------------------------------- 桐生駅前から吹上行き6時45分発のおりひめバスに乗る。なお、バスの行き先表示は「川内」となっている。桐生の街はすぐ背後に吾妻山がせまっており、自然が身近に楽しめる街のようである。 今日はこの新緑色豊かな吾妻山まで縦走してくるつもりだ。
吹上バス停から駒形登山口へ車道を登って行く。ひっそりとした、早朝の山里の雰囲気を久々に味わう。 あたりの山肌は芽吹きから新緑の淡い緑色に変わりつつある。赤、オレンジ、黄色、薄緑などのさまざまな色が、時折さし込む陽光にグラデーションとなってゆらめく。山は、紅葉より今時期のほうが色彩が豊かに思える。 ハイキングコースの標識がある駒形登山口には、小さな駐車場のようにもなっている。山田川の流れに沿って登山道は付けられている。 始めのうちは杉林の中を登って行く。回りに雑木林が多いので植林の中を歩くのを残念に思う。しかし沢沿いはニリンソウの花でいっぱいだ。高度を上げるにつれニリンソウは群落となっていく。 そしてヒトツバエゾスミレ。先割れした葉が特徴の、花が白桃系のスミレ(エイザンスミレのように葉が分裂しない「一つ葉」)で、そのうち花が白系のものをナルカミスミレというらしい。 ヒトツバエゾスミレはこの沢沿い、その後の縦走路でもけっこう咲いていた。同じ葉の形でも茎の色が赤っぽいのと青いのとがある。 沢の水量が少なくなる頃、あたりはまぶしいくらいに鮮やかな自然林となる。ニリンソウにかわってカタクリが登山道を彩る。花期はすでにピークを過ぎているが花の数は大変多い。注意して歩かないと葉を踏んでしまいそうになる。 沢沿いの登山道は最後がいつも急登になる。稜線が見え出し、さあもうひと踏ん張り。反対側が杉林になっている肩の広場を左に登れば、鳴神山頂上直下の鞍部だ。 まずは右側の東峰へ。岩がちの斜面を登ると眺望がどんどん広がる。頭上にアカヤシオのピンク色があちこちに見れるようになる。
祠の並ぶ鳴神山山頂からは360度の展望。しかし今日は南からの湿った風のせいかぼんやり霞んでいる。それでも袈裟丸山・皇海山の輪郭が見て分かる。アカヤシオはほぼ満開。 土日は混むそうだが、平日の今日はがら空きの山頂である。まだ9時過ぎ、のんびりと休憩時間をとる。
吾妻山とともに、鳴神山も桐生の人々にとって身近な山。ここへの登山をライフワークにしている人もけっこういるようだ。 山頂の祠に小さな石があり、「吾妻山の石 ○○××さん江」と書かれている。山頂に居合せた地元の人の話では、今まで200回以上、吾妻山から鳴神山への縦走をしてきた75歳くらいのおばあさんがいたとのこと。 昨年不慮の事故で亡くなってしまったらしいが、そのおばあさんをしのんで吾妻山の小石をここに持ってきた人がいたのであろう。 西峰にも行ってみる。樹木に囲まれているが、アカヤシオが多い。少し南西側に下りると、鳴神山稜が一望に見渡せる岩の突端に出られる。尾根の形状を確認し下りる。
肩の広場に戻り、ゆるやかな下りが中心の吾妻山への縦走に入る。始めのうちは片側が植林で興をそがれるが、やや西側に向きを変えると植林も消え、さわやかな尾根歩きになった。道もよく整備されていて歩きやすい。 芽吹いたばかりの明るい雑木の道である。たまにカタクリの咲いているのも目にする。自然林の頂である花沢台ノ頭を過ぎると、少しの登り下りを経て三峰山・金沢峠と、若干杉や桧の林をかすめる。 大形山へはきつい登りであるが、林床のヒトツバエゾスミレを見ながら登りこなす。そこからは再び自然林の道となる。深紅のヤマツツジもたまに見かけ、新緑の道に彩りを沿えている。
やはり、少しずつ標高を下げているのであろう、雑木林の緑が濃くなっていくのがわかる。いったん東面が伐採で開けたところからは仙人ガ岳と眼下に街並みが見えた。 下るにつれ気温も上がる。自然観察の森への分岐を見送ったあとのピークに寒暖計があり、見ると21度をさしていた。日の当たる場所ではおそらく25度くらいになっているだろう。 また、「関東ふれあいの道」の看板があるこの場所は、これから行く吾妻山と標高が同じ(481m)であるにもかかわらず、ここから思いっきり下る。おそらく100mくらい高度を下げるのではないか。 それからの登り返しが思った以上にきつい。雑木の緑もさらに深みを増し、汗が噴き出す。さながら初夏の趣きで、まだ4月の中旬であることが信じ難い。 FM反射板のある雌吾妻(めあずま)を越え、またまた下って登り返し。カタクリの葉がものすごい。ひっきりなしに続いている。しかしほじくり返された跡もたくさんあり、残念である。 たどり着いた吾妻山の頂上からは、桐生の街並みが一望でき、眺めがいい。しかし直射日光を避け、木陰で休む。日差しを避けるなんて、普通この季節にすることじゃない。それほど今日は暑い。 吾妻山山頂からしばらくは、雑木林のすがすがしい中を下る。さすがに人も多くなる、毎日登って来る人もいるらしい。 よく見ると空身の人も多く、30リットルのザックを持っている自分は少し場違いのような気もする。それほどこの吾妻山は地元の人にとっては、身近な山なのだなあ改めてと思う。
登山道はそのまま吾妻公園に通じている。チューリップなど季節の花で鮮やかな園内を過ぎ、桐生の市街にようやく下り立つ。日がギラギラしている。2リットルの水もついに底をついた。 桐生駅前まで少しの歩き。そば屋に入ると、テレビで今日の東京は気温が28度と、4月で観測史上最高を記録したと伝えていた(八王子市では30.2度を記録)。 桐生駅から両毛線で小山駅まで出る。今日は平日、ちょうど下校時間と重なってしまい、車内は通学客ラッシュでぎゅうぎゅう詰め状態。毎日こんな満員電車に乗っているこの付近の学生達のパワー、というか元気さを感じた。 小山駅からは空いている通勤快速に乗る。上野駅に着くころには日も落ちようやく涼しくなって来た。 |