山の写真集 > 各地の山 > 白山
  • -高山植物咲き乱れる山-
  • 別当出合-南竜-白山-別山-市ノ瀬
  • 北陸
  • 石川県/岐阜県
  • 白山(2702m),油坂ノ頭(2276m),別山(2399m),御舎利山(2382m)
  • 2018年7月14日(土)~15日(日)
  • 11km / 11.4km
  • 7時間50分 / 7時間10分
  • 1492m(別当出合-白山)
  • 南竜ヶ馬場(テント泊)
  • 白山温泉 永井旅館
  • 高速バス,路線バス
天気1 天気1

 

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2018年7月14日(土) 前夜発
渋谷マークシティ 22:45
  夜行高速バス
5:45 金沢駅前 6:20
  バス
8:50 別当出合 9:05
10:03   中飯場
10:45   別当覗
    10分休
11:40   甚之助避難小屋 11:50
12:15 南竜・室堂分岐
12:45 南竜ヶ馬場 13:40
13:54 エコーライン入口
14:48 五葉坂
15:05 白山室堂 15:10
16:10 白山御前峰 16:20
16:50 白山室堂 17:00
17:15 平瀬分岐
17:50 アルプス展望台 17:55
18:35 南竜ヶ馬場
(テント泊)
2018年7月15日(日)
6:07   南竜ヶ馬場
6:30   赤谷
7:07 油坂ノ頭 7:12
8:03 大屏風
8:40   御舎利山下 8:45
9:00 別山 9:15
9:30 御舎利山 9:40
10:47 チブリ尾根避難小屋 11:00
12:50   水飲場 13:05
13:55   チブリ尾根登山口 14:00
14:20 市ノ瀬
白山温泉立寄り
15:45
  路線バス
17:45 金沢駅前 21:15
  夜行高速バス
7:15 池袋サンシャインBT

 

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開けた尾根を南進する。道が尾根の西側になるとオオシラビソやナナカマドの樹林帯に入り、日差しがさえぎられ涼しい。


御舎利山の東面はニッコウキスゲで埋め尽くされていた

オオシラビソのてっぺんに居座るホシガラス

ホシガラス

大屏風の手前で天池を見る

池塘を見ながら

稜線から望む北アルプス南部の稜線。槍ヶ岳、大キレット、北穂高岳を望む

槍・穂高

別山をバックにした池塘の周りにハクサンコザクラが咲く

ハクサンコザクラ

コバイケイソウはこの稜線で多く咲いていた(大屏風付近)

コバイケイソウ

非対称山稜の大屏風の隣りに白山が大きい

白山が覗く

御舎利山東面にはニッコウキスゲの大群落があった

大群落

別山と御舎利山ピークとの稜線に上がる。周囲はハイマツの海

別山へ

別山山頂

別山

別山山頂から白山を望む

別山から白山

別山山頂から、チブリ尾根避難小屋をはるか下に見る

避難小屋ははるか下

別山山頂から岐阜県川の眺め、白水湖が細く見える

白水湖

御舎利山ピークも好展望の山。別山がよく見える

御舎利山


オオシラビソの木のてっぺんにホシガラスが乗っかり、ガーガーと鳴いていた。足元になっている実を自分のものと主張しているのだろうか。ホシガラスはハイマツだけでなくオオシラビソの実も食べるようだ。貯食をする鳥で、得た実を土の下などに隠す。そのうち一部は回収されずに発芽することになるので、森を再生する鳥と言われている。

東側の北アルプスの稜線は、昨日見えなかった槍・穂高、大キレットも手に取るようだ。西側に長く連なる稜線はどこの山だろうか。過去に登った荒島岳、能郷白山が見えているはずだがよくわからない。
池塘のある鞍部を過ぎ、緩やかに登り返して大屏風のピークを超える。左側が激しく切れ落ちたヤセ尾根にはカライトソウタテヤマウツボグサ、シモツケソウがよく咲く。ハクサンシャクナゲも花期である。
やがて右斜面にシナノキンバイ、そしてハクサンイチゲがついに登場。白山に来たら必ず見ておきたかった花である。

別山がいよいよ近くなってきた。御舎利山への登りではコバイケイソウニッコウキスゲが圧巻。ちょっと他では見られないボリュームだ。
御舎利山下のチブリ尾根分岐に着く。ここに荷物を置き別山を往復する。スタミナ切れが心配だったが何とかここまで、問題なく歩けた。はるか下にチブリ尾根避難小屋が見えている。行き交う登山者が急に多くなってきたが、チブリ尾根を登ってきたのだろうか。別山登山でチブリ尾根を往復すると9時間くらいかかりそうで、この付近にはかなりの健脚さんがいるようだ。

なだらかな道を10分ほど、小さな社のある別山山頂からは白山ほか360度の展望がまた素晴らしい。風が吹いてきて、今回初めて山上の涼しさを感じた。山頂からさらに、三ノ峰への縦走路が伸びているが今回はここで引き返し。チングルマやコイワカガミの咲く道を戻り、分岐から御舎利山への短い登りをこなす。いよいよチブリ尾根である。

開けたガレ場を少し下ると、すぐにジグザグの長い急降が始まった。ハクサンシャクナゲの多く咲くオオシラビソ帯からの白山は見上げるたびにどんどん高くなっていく。

気温が上がっていくのがわかる。登りの登山者がコンスタントにやってくる。下のほうで会う人ほど表情に精気がみなぎっている。この登りでよほど消耗するのだろう。気がつけば今日も昨日同様、標高は関係ない灼熱の山となっていた。しかし昨日のルートは水の調達に困らなかったため、今日もうっかりして水を1リットルしか用意しなかった。今はもう300mlを残すのみだが、チブリ尾根避難小屋には水場がなく、その先もしばらく水が得られそうにないことに今頃気がつく。
御舎利山から避難小屋までは下りコースタイム1時間となっているが、もう少しかかりそうである。

あれほど下に見えていたチブリ尾根避難小屋に到着する。振り返ると白山と別山、今歩いてきた縦走路やチブリ尾根の急坂が手に取るように眺められた。草原と針葉樹林の対比もよく、眺望のいい避難小屋である。休憩は水のあるところで取りたいが、帰りのバスには時間があるので少し休む。

チブリ尾根避難小屋

チブリ尾根避難小屋

チブリ尾根避難小屋から、主稜線と下ってきたチブリ尾根を見上げる

チブリ尾根を一望

オオシラビソは不釣り合いなほどの大きな実(種子)をつける

大き過ぎる実

避難小屋下の稜線はお花畑になっていて、ササユリなどが咲いていた

ササユリ

ダケカンバの白い幹と、下部にブナ林が広がる

ダケカンバとブナ林

標高1650m付近でブナが現れる

ブナが現れる

標高1500m前後は深いブナ原生林

深い森へ

登山道に覆いかぶさるような大カツラ

大カツラ

バス停のある市ノ瀬ビジターセンター

市ノ瀬へ下山


小屋から先しばらくは斜度の緩い、お花畑の尾根が続くオオバギボウシ、ニッコウキスゲ、ハクサンフウロなどに加えて、今回初めてササユリを見ることができた。西日本で見られるこの優雅な花は、ヒメサユリの色を少し薄くしたような明るいピンク色で、軽やかな印象がある。

標高が1900mを下回り、植生がダケカンバ林に移行すると外傾の強い道が増え、草がかぶって足元が見えないところもある。
ダケカンバが疎林になってきた頃、初めてブナを見る。チブリ尾根はブナ原生林が見所のひとつで、白山を登るならここはぜひ歩きたいと思っていた理由はここにある。行きの砂防新道でも感じたが、日本海側の山にしてはブナの見られる標高は高いほうである。

ブナ林に入ったと同時に、登山道には水のしみる部分が増えてきた。地図には書かれていないが細い水の流れているところを見つけ、汲むことができた。水不足はここで解消される。
標高1500m前後で道は平坦となり尾根も広がる。ブナばかりの森となった。チブリ尾根の登山道から見られるブナ林は思ったほど広いものではなかったが、たくさんの高山植物を見れた後にブナ観察もできて、白山は様々な魅力を登山者に提供してくれる山である。百名山に選ばれていることを抜きにしても、人気が出て当然の山域であろう。

沢の音がどんどん大きくなってきて、ようやく待望の「水飲場」へ到着する。登山道を20mほど歩くときれいな沢が流れていた。今日、避難小屋に泊まるという人が休んでいた。昨年金沢へ転勤となり、先月初めて白山に登ったと言う。そしてすぐにチブリ尾根を登ろうと考えたのは、目のつけどころがいいと思う。

ついに標高は1000mを切った。暑さと草いきれに苦しめられつつも、あちこちから水の流れる、潤いの登山道に落ち着く部分もある。そしてブナはもはや優占していないものの、代わりに見応えある森がこの先に展開していた。チブリ尾根登山道のもうひとつの見所である。
ミズナラに始まり、カツラ・サワグルミなど、幹周りが4mを軽く超えそうな巨木が次から次へと登場してくる。もちろん直径1mに近いブナも登山道脇居座っている。

下山してからわかったことだが、市ノ瀬の「子持ちカツラ」は日本カツラ巨樹番付の横綱にランクされている。もう下山地近いところにこんな巨木の森があるとは。白山の自然環境の奥深さを最後に知らされた。

それにしても今回の白山登山ルートはバラエティ度が実に高い。花、展望、残雪、草原、ブナ林、そして最後の巨木の森と、行程中のどこもが見所ばかり。道中は暑さでボーっとする場面もあったが、心理面ではボーっとする暇の全くない2日間となった。

チブリ尾根の登山口に下り立つ。堰堤があり、その先は市ノ瀬まで20分ほどの車道歩きとなる。
市ノ瀬のビジターセンターに着く。暑さに苦しめられた2日間の山行もようやくピリオドが打たれた。向かいの白山温泉で入浴していく。バスは混雑し、金沢駅までの2時間近くを補助席に座らされる羽目となった。
それでも今回の白山は、自分の心に深く刻まれた山行となった。ブナ林を求めて平瀬道はぜひ歩いてみたい。
東京への帰りも夜行バスである。飲食店で時間をつぶし、夜9時を過ぎても気温の下がらない駅前のバスターミナルから、再び車中の人となる。