山の写真集 > 谷川岳・越後・信越 > 谷川岳
  • -登ってみなければわからない-
  • 天神平-熊沢穴-トマの耳-オキの耳
  • 谷川連峰
  • 群馬県
  • トマの耳(1963m), オキの耳(1977m)
  • 2017年8月6日(日)
  • 8.7km
  • 4時間15分
  • 658m(天神平-オキの耳)
  • -
  • 谷川温泉 湯テルメ谷川
  • マイカー
天気1

 

↓マウスドラッグ可能↓

全体地図へ Googleマップ
谷川岳のトップページへ
2017年8月6日(日)
練馬IC 4:35
  関越自動車道
水上IC 6:15
  国道291号
6:35 土合橋駐車場 6:45
7:00 土合口駅 7:20
  ロープウェイ
7:30   天神平
8:10   熊沢穴避難小屋 8:15
8:40   天狗の留まり場
9:30   谷川岳肩の小屋
9:40 トマの耳 9:55
10:15 オキの耳 10:35
10:55 肩の小屋 11:05
12:05   熊沢穴避難小屋 12:15
12:45 天神平 13:00
  ロープウェイ
13:10   土合口駅 13:15
13:25 土合橋駐車場 13:35
  国道291号
谷川温泉立寄り
水上IC 15:10
  関越自動車道
練馬IC 18:20

 

翌週は北アなので、少し岩場に慣れておきたい。しかし日帰りでは適当な場所が見出せなくて結局谷川岳に登った。
西黒尾根ならある程度練習になるかもしれないが、この暑い時期にここを登るのはもう、体力的にきつい。ロープウェイで天神尾根を往復することにした。


谷川岳の肩に近づくにつれ、ガスが晴れ青空が見えてきた

朝のロープウェイは混雑もなく、ゴンドラ1台貸切だった

ゴンドラ貸切

天神平から熊沢穴までの登山道はガクアジサイがよく咲いていた

ガクアジサイ

木道は昨日の雨で濡れており、スリップに注意

濡れた木道

熊沢穴から先の岩尾根はガスが濃く、息苦しいほどだった

むせ返るガス

天狗の留まり場の岩肌には様々な高山植物が咲いていた

岩場に咲く

クルマユリ(天神尾根)

クルマユリ

トマの耳から、ガスで隠されていた主脈稜線が姿を現し始める

主脈現れる

主脈のオジカ沢ノ頭を背景に、シモツケソウが咲く

シモツケソウ


この日は関東地方曇り、新潟県晴れという対照的な天気。北に行くにつれ頭上の雲は薄くなっていったが、水上ICから谷川岳の姿はなかった。
土合橋駐車場に車を停めて、ロープウェイ発着所まで歩く。往復にロープウェイを使うのは、冬以外だと初めて。往復割引でも料金は2000円を超えてしまうので、節約のためにも駐車場は無料のところを使う。

谷川岳ロープウェイは天気のせいか、それほど混雑もなく天神平まで上がれた。しかしゴンドラの中が大変に暑く、標高1400mの地に上がっても高原の風はないどころか蒸し蒸し感いっぱいだった。

とにかく山頂に向けて天神平を出発する。どんよりした曇り空で谷川岳の二つの耳も見えないが、ゲレンデ周りは多くの高山植物で埋め尽くされていた。登山道沿いに咲くガクアジサイも青色が鮮やかである。
登山道は、昨日までの雨で濡れている。それよりも、あたりを取り巻く大気の湿気には閉口させられる。湿度は間違いなく100%だろう。
熊沢穴避難小屋の中に入ってみたら、意外にも涼しかった。普通こんな季節なら中の方が暑苦しいのに、今日は逆である。

ここからは天神尾根の本格的な登りとなる。急な岩尾根を行くと人だかりがあり、男性が腕に出血していてうずくまっていた。どうやら岩の上で転倒して手首を骨折したらしい。血が出ているということは開放骨折という痛ましい状況だ。
近くにいた登山者が電話して、救助に来てもらうことになった。不快とも言える今日のこの天候が、登山者の行動を誤らせてしまっても不思議ではない。

気を引き締めて歩きを再開する。樹林帯を出たが頭上は灰色。風がそよとも吹かず、蒸し蒸し感がなおも続く。
いつもならこのあたりまで登ってくれば、頬をなでる涼風に心地よさを感じてくるはずなのだが、今日はむしろ登るにつれ不快感は増してくる。
それでも天狗の留まり場まで来ると、周囲の岩肌は様々な高山植物で彩られていた。シモツケソウ、ミヤマシャジン、ヤマハハコ、ハクサンフウロ、ウツボグサ、シラネニンジンなど色とりどりである。黄色の鮮やかな花はキオンだろうか。
さらに高度を上げていくとクルマユリ、タカネコンギク、草原帯では初秋によく見かけるキンコウカの群落やワレモコウも現れた。

トマの耳とオキの耳の間の岩尾根を歩く

岩尾根を越えて

オキの耳へ向かう稜線。群馬側はガスで隠されている

群馬側はガス

肩ノ小屋をバックに、キオンが咲く

キオン

肩ノ小屋前から、主脈稜線を望む

肩の小屋から

トマの耳の背後は雲の背が高い

夏雲が厚い

ロープウェイのある天神平へ下山

天神平へ


木の階段となってさらに登っていく。上を見るともう谷川岳の肩に立つ標識が見えている。視界が広くなったと思ったら、雲を割って青空が見えてきた。同時に太陽も姿を現して草原帯を照らす。
日差しが増して気温は上昇していると思うのだがそこは不思議で、涼しくなってきた。今まで蓋の役目をしていた頭上の雲が切れて、湿った空気が放出されたのだろう。

谷川岳の肩に着く。小屋の前からはオジカ沢の頭方面、主脈の稜線が大きく望める。新潟側はやはり晴れていた。時折ガスが舞い、雲が多いながらも、空の半分近くは青空だ。
群馬側の山々の眺めは相変わらず雲のカーテンに閉ざされている。表日本と裏日本との境界の山、谷川岳ならではの気象そして景観である。

ニッコウキスゲやミヤマキンポウゲ、ハクサンオミナエシの咲く道を登っていきトマの耳へ。主脈稜線のダイナミックな姿を俯瞰できるだけで、今日は満足の山行である。今まで黙々と、辛そうに登っていた登山者たちも、ここ山頂では笑顔なり、苦しい息づかいは歓声にとって代わった。
さっきまでは寄るつもりもなかったオキの耳まで行く。花畑は見事で、特にタカネコンギクがこれだけ群生しているのを見たのは初めてだ。ようやく風も出てきて涼しくなり、今までのモヤモヤが一気に解消された気分である。

肩の小屋でもう一度眺めを楽しみ、下山する。しかし下りに入ればまた、あの息の詰まるような湿気との戦いである。これから登ってくる人に、上は晴れてるから頑張ってと声をかける。
それでも天神尾根の蒸し暑さは午後になっても相当なもので、中には立ち止まって吐いている人までいた。そこまでして人は山に登ろうとする。

下りの岩場は神経を使う。一般道の天神尾根と言っても油断することはできない。振り返り見る谷川岳は、少し輪郭が見えた時間もあったものの、今日1日、群馬側から拝むことはできなそうだ。
下からは全く見えなくても、山はやはり、てっぺんまで登ってみないとわからないものである。

天神平からロープウェイで下り、さらに歩いて土合橋駐車場に戻る。いつものように谷川温泉に立ち寄ってから帰ることにする。ここの日帰り温泉は、小さいながらも泉質の違うお湯が3種類あって、なかなか楽しめる。今日のような蒸し暑かった日には、湯温の低い「蛍の湯」が特に気持ちいい。

建物の外に出ると雷雨となっていた。その後帰路の高速でも、信じられないほどのどしゃ降りの雨となる。不安定な今年の夏を象徴するかのようだ。
雨と渋滞に苦しめられながらの帰京となる。