山の写真集 > 谷川岳・越後・信越 > 西黒尾根から谷川岳
  • -雲海を抜け蟻もとまどう山へ-
  • 土合橋-ガレ沢のコル-オキノ耳-田尻尾根
  • 谷川連峰
  • 群馬県
  • オキノ耳(1977m),トマノ耳(1963m)
  • 2013年9月29日(日)
  • 12.5km
  • 7時間45分
  • 1233m(土合橋-オキノ耳)
  • -
  • -
  • マイカー
天気1

 

地図
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2013年9月29日(日)
練馬IC 4:05
  関越自動車道
水上IC 5:40
  国道291号
6:00 土合橋駐車場 6:05
6:30   西黒尾根登山口
6:50   鉄塔
8:25 ガレ沢のコル 8:35
9:40 トマノ耳
10:00 オキノ耳 10:45
11:30 一ノ倉岳鞍部の手前
12:05   肩ノ小屋
13:00   熊沢穴避難小屋
13:30 田尻尾根
14:05 林道
14:45   ロープウェイ駅
15:00 土合橋駐車場
  国道291号
15:40 水上IC
  関越自動車道
18:55 練馬IC

 

谷川岳の山頂付近が少し色づき始めたようで、日帰りで登ることにした。
気候的にもずいぶんしのぎやすくなったので、久しぶりに西黒尾根を頑張ってみよう。


西黒尾根上部でついに雲海から抜け出す

谷川岳登山指導センター。水の補給可能

登山指導センター

西黒尾根は樹林帯の急な登りで始まる

いきなりの急登

樹林が切れると岩場を鎖で何回も越えていく

鎖場

オキノ耳と青空を正面に見据え、雲海を間もなく抜け出す

雲海を今抜ける

オキノ耳の岩峰群が雲海に浮かぶ

青空と雲の境目

ザンゲ岩とトマノ耳が大きくなるがここからもまだ標高差がある

ここからまだ長い

天神尾根に登山者の列。奥に主稜線が見える

草紅葉進む

トマノ耳から望むオキノ耳。背後に巻機山(中央)、越後駒ヶ岳と中ノ岳(中央右)、笠・朝日岳(手前右)を見渡す

展望の頂

トマノ耳より、オキノ耳に続く稜線を見下ろす。奥は茂倉岳

稜線を行く

オキノ耳は大賑わいだった

大混雑

オキノ耳から望むトマの耳。遠くに富士山も。急峻な岩稜の群馬側に比べ、新潟側はおおらかな笹の斜面が横たわる

優美な斜面

夜明け間近に土合橋駐車場に到着する。すでにかなりの車の数だ。ロープウェイ駅まで車道を緩く登ると途中にモニュメントの立つ駐車場もあった。周回コースならここに車を停めてもよいのだが、土樽に下って電車で土合に戻るプランもあり(どうするかまだ決めていない)、それなら土合付近に駐車するのがいい。
ロープウェイは早朝から動き始めそうだ。あまり早くから動いてしまうと、ロープウェイ利用者で山頂が早い時間から混みそうなので少し困る。

登山指導センターで水を汲み、西黒尾根登山口から登る。出だしからいきなりの急登だ。ただ程なく、普通より少し急な程度の傾斜に落ち着く。
鉄塔を過ぎてなおも登高。朝早いうちは青空だったのに、いつのまにか木の間から見る空は白くなっていた。
登山口から2時間で樹林を脱し、岩場についた鎖を越えていく。ラクダの背に上がると上空は濃密な雲。ガスも舞って何も見えない。そんなはずはない。今日の新潟、群馬の天気予報はいずれも文句のない晴れ。いくら性悪な天候で有名な谷川岳も今日は快晴のはず、とかなりの確信があった。
雲海を抜けて山頂は晴れている、というパターンも何度か見ているが、きょうの雲は相当厚そうでオキ・トマの耳は果たして雲の上から頭を出しているのか、不安になる。振り返ると朝日岳方面の稜線も雲を被っていた。

ガレ沢のコルに下って、巌剛新道を合わせる。肌寒く上着を羽織って休憩する。左側の斜面に、日がスポットライトのように差し込んでいる。変化の兆しか。
腰を上げてなおも、雲の中に向かって登高していく。少し気温が上がったように感じるのは、日が差し込む場面が増えてきた証拠だ。雲海から抜け出る前には、標高を上げているのに稜線は暖かくなってくることが多い。
急登のさなか上部を見ると、霧の向こうに側にトマの耳と思われる岩峰、そして空の青がボヤッとにじみ現れてきた。
以後は早い。岩場を登っていくにつれ雲は薄くなり、稜線がくっきりと姿を現す。振り返ると背後には雲海から頭を出しているのは笠ヶ岳、そして朝日岳だ。空の色が尋常でない。青ではなく藍色といっていいほどだ。

雲海から抜け出すと、頂上はすぐ目の前にあるように見えてしまうが、実際はまだかなり登らなければならない。西黒尾根は日本三大急登に数えられているが、鎖場や岩場を越えて頂上部が見えてきた後が一番の苦しい登りとなる。今回は雲海から抜け出すあたりでペースを乱してしまったので、最後はあえぎながら、休みながらの登りとなった。

オキノ耳から西方、雲海に浮かぶ川棚ノ頭のはるか遠方に上信の山々が望まれる。浅間山(左)、篭ノ登山(中央)、湯ノ丸山(右)

上信の山々

低潅木の草紅葉が進む

紅葉進む

肩ノ小屋周辺も賑わう。苗場山の平らな頂が印象的

肩ノ小屋

天神尾根を下る

天神尾根

熊沢穴~天神平間の樹林帯の切れ間から、秋色の谷川岳を見上げる

残雪がなくても

田尻尾根に入ると一転、ブナなど緑の回廊となった

田尻尾根

田尻尾根を下り切ると荒れた林道に出る。ススキの穂が揺れる

ススキの穂揺れる

天神尾根に合流し、少しの登りでトマノ耳に到着。しかし人が一杯なので立ち止まらずにオキノ耳を目指す。稜線は清々しいほどの快晴、展望も最高である。笠・朝日、巻機山や主脈稜線、苗場山はもちろん、尾瀬や奥日光、赤城、富士山まで見える。
歩く人も途絶えることなく、オキノ耳直下で行列状態となった。まだ10時前なのにこれだけ混んでいるとは。谷川岳は前回主脈縦走の際に10度目の登頂を果たしたあと、2年ほど登っていなかった。最近、あまりにも人が多いのも足が遠のいた一因である。
谷川岳は昭和の昔から、その時代時代に湧き起こった登山ブームの象徴となってきた。以前は西黒尾根に登る人が長蛇の列を作り上げ、遠くから見る様をして「蟻のとまどい」という言葉を当てはめられたりしたこともあった。ロープウェイが出来て以降、天神尾根が主役に取って代わった。

オキの耳も休憩できる状態ではなかったので、さらに奥へ行く。稜線の脇でシートを広げて休憩している人も多い。オキの耳の2つ先の岩の上が空いていたので、腰を下ろした。隣の人の話が耳に入ってきた。先週行った立山の混みようはこんなものではなかったと言う。
稜線は低潅木の紅葉が見頃を迎えている。ツツジの葉が色づき、ナナカマドは赤々とした実が青空に映えた。来週になるとガレ沢のコルから上部にかけてもさらに色づきそうである。

今日は出来たら一ノ倉岳、茂倉岳を越えて土樽駅に下山しようと思っていたが、土合駅に戻る上越線が15時21分発なので少し厳しい。休憩せずにすぐに出発すれば間に合いそうだがやはり、今日はゆっくり休憩を選択した。前回土樽駅に下りたのは登路が天神尾根だったので、時間に余裕があった。

このまま下山もあっけないので、稜線を少し歩いていくことにする。それにしても稜線は人、人、人であふれかえっている。狭い岩場では、反対方向から来る人の通過待ち時間が多くなる。
マナーを守らずに我先に歩いていく家族連れもいて、何だか富士山の時を思い出す。せっかく谷川岳に登ったのに、富士山登山のことを思い出してしまうのは残念だ。展望満点の稜線を一ノ倉岳との鞍部手前で引き返した。
肩ノ小屋から天神尾根を下る。ここも行列。少し間をおいて歩こうとしても、いつの間にか列の中に入ってしまう。南アルプスのときは回りが健脚揃いで自分は後からゆっくり行くほうだったが、天神尾根はまだ経験の浅い人が数多く下っていた。それに、今から登ってくる人も多い。主脈稜線にはさすがにガスがかかり始めた。

熊沢穴避難小屋を過ぎ、樹林の切れ間から見上げる谷川岳はまだ真っ青な青空の下にあった。
ロープウェイ代を浮かすため、今日も田尻尾根を下る。途端に人影は失せ、前方に一人の登山者を認めるのみ。ここは3度目だが、ギャップも多く、ぬかるみがひどくて前に比べてかなり歩きにくくなったように感じる。やはりあまり歩かれていないということなのか。沢音とロープウェイの音が聞こえ始める下部は落ち着いたいい道という印象があったが。
尾根を下りきって標識のある登山口に着く。あとはロープウェイを上に見ながら林道沿いに下るのみだ。ここも石の浮いたデコボコ道で歩きにくい、途中でコンクリの路面が途絶え、河原を歩く場所もある。水が得られるのは好都合である。
振り返るとススキの穂が揺れ、季節がまた一歩先に進んだのを実感した。
ロープウェイ駅を右に見て車道を下る。土合橋駐車場には15時に到着した。今日は温泉など寄り道はせずに帰る。