山の写真集 > 谷川岳・越後・信越 > 平標山
  • -天は二物を与えた-
  • 元橋-松手山-平標山-仙ノ倉山-平標山の家
  • 谷川連峰
  • 新潟県
  • 松手山(1614m),平標山(1984m)
  • 2022年6月18日(土)
  • 12.1km
  • 6時間30分
  • 1004m(元橋登山口-仙ノ倉山)
  • -
  • 雪ささの湯
  • マイカー
天気1

 

2022年6月18日(土)
練馬IC 3:11
  関越自動車道
湯沢IC 5:24
  国道17号
5:55 元橋駐車場 6:07
6:10   登山口
7:12   鉄塔 7:17
8:00 松手山
8:25 七合目 8:30
9:05   九合目
9:30 平標山
10:00 鞍部
10:30 平標山 10:50
11:20 平標山の家 11:30
12:25   平元新道登山口
13:15
元橋駐車場 13:20
  国道17号
雪ざさの湯立寄り
15:34 月夜野IC
  関越自動車道
18:43 練馬IC

 

6月に入っての最初の山となった。
関東地方は来月頭にでも梅雨明けしそうで、暑さの厳しい夏がやってきそう。その前に、北の涼しい空気に触れておきたい。平標山に登ることにした。9月に登ったばかりだが、空模様のよくない南関東を避けると、他に思いつかない。
ハクサンイチゲやハクサンコザクラははどれだけ見られるだろうか、楽しみだ。


ハクサンコザクラ咲く [拡大 ]

松手山コースの登山口

登山口

1合目から先は眺めが開ける場所が多くなる

すぐに眺めが

樹林の切り開きから、苗場山を望む

苗場山

タニウツギ

タニウツギ

緑濃い登山道に、ダケカンバの白い幹が目立つ

ダケカンバ

シナノキの樹皮は昔、衣料として使われていた。葉は心形

シナノキ

アカモノ

アカモノ

登山道がずっと見え続ける、平標山ならではの景観

登山道が見える

ツマトリソウ

ツマトリソウ

ウラジロヨウラク

ウラジロヨウラク

ハクサンイチゲ

ハクサンイチゲ

平標山山頂直下から望む、松手山コースの開けた稜線

開けた稜線

平標山山頂

平標山山頂


暗いうちに出発し、早朝、関越トンネルを抜け国道17号へ。
元橋の登山口駐車場に近づくと車列ができていた。6時前にして、200台近く停められる駐車場はすでに満車だった。
誘導されるまま、少し先の臨時駐車場に入ることになる。こちらも100台は停められる広い場所。しかしここもすでに半分以上埋まっていた。花の季節の平標山の人気過熱ぶりには驚かされる。
ネットの情報は多くの人に同じ行動を誘発し、人の集中を生む。平標山の花がきれいなことは、自分は20年前くらいに雑誌で情報を得た。今となってはもう、化石のような行動パターンである。

臨時駐車場は今日のルート、松手山コースの登山口に近いので都合がいい。登山口からすぐに樹林の中の急登が始まる。前にも、後ろにも人の列。しばらくはしようがない。
前回9月の時は出だしがオーバーペース気味だったのか、山頂近くになってバテてしまった。その反省を生かし、今回は努めて最初はゆっくり目に行く。これで疲れたら山をやめた方がいいくらいののろさである。それこそ2~3分ごとに、後続者に道を譲って先に行ってもらう。

天気はあまりよくないのだが、日差しが少ない分涼しい。1合目で樹林を脱し、少し眺めが得られる。道脇に早くもタニウツギのピンク色の花、足元にはかわいいアカモノが咲いていた。人の列は途切れない。
樹林を出たり入ったり。少しずつ高度を上げる。ダケカンバの白い幹がやけに目立つ。
ペースを抑えているせいか、息が全く上がらない。山はやはり、疲れないですむ登り方が間違いなくある。そのうち、前に抜かれた人に追いついたりすることも出てきた。

鉄塔基部に着くと、眺めは大きく広がる。背後には雪を少しだけ残した苗場山の平頂が、くっきりと見える。
ブナが出てきた。大きい木は結実した実をつけている。灌木帯の背の低いブナは樹齢が若いせいか、結実は見られない。根元から何本もの太い幹を出しているのはシナノキの大木だ。

周囲の植生は高山性を帯びてきて、低灌木さえも少なくなってくる。松手山コースは展望がよく、花も多いので歩いていて楽しい道だ。ここを歩くといつも、天は二物を与えたと思う。
一番いいのはこのあたり、松手山を正面に見て、その右手に伸びる稜線に人が歩いているのがよく見える。登山を始めたころは奥多摩など南関東の山ばかり歩いていた。山頂近くまで木に覆われている山ばかりだったので、上の方に登山道が見えるようなところを歩いた記憶がほとんどない。平標山を最初に歩いた時は驚きの連続だった。

花が多くなってきた。マイズルソウ、イワカガミ、サラサドウダン、ウラジロヨウラク。縁がピンク色のツマトリソウがかわいい。
登山道はあちこちで歓声が上がり、腰を下ろして写真を撮る人も多い。こうなると後続の人が待ちの状態になってしまうので、本来はマナー違反だ。それでも待っている人は腹を立てるようなこともなく、知らない人同士で花のことで話が盛り上がっている。今の時期の平標山ならではの光景だ。


平標山の東斜面は広いお花畑になっている

斜面はお花畑

ハクサンイチゲ

ハクサンイチゲ

ハクサンコザクラ

ハクサンコザクラ

お花畑の鞍部から平標山へ登り返す

山頂へ登り返し

平標山山頂から北面、平標新道方向を見下ろす

平標新道方面

平標山の家まで、ひたすら階段を下る

ひたすら階段

ブナの葉には虫こぶがついていた

虫こぶつき

平元新道のブナ大木

大木を見ながら

ブナは結実していた

結実

下山時、臨時駐車場もほぼ満車になっていた

駐車場は満車


松手山は人がいっぱい。平標山に続く稜線も近づいてきた。周囲はさらに高山性が強くなり、ハクサンチドリ、ヨツバシオガマ、ミツバオウレン。
木の階段が現れ、8合目付近でジグザグの登りになるところで、ようやくお待ちかねのハクサンイチゲが登場。大きな群落なのだが、ロープで仕切られていて入れない。以前はすぐ近くで鑑賞できた気がする。
登る人が増え気候も変わって、この付近の環境もずいぶん様変わりした。それでも魅力的な山であることは間違いない。

大きく右折して、最後の稜線に乗る。標の立つ平標山の山頂は、ここから見ると意外と遠い。9合目にも多くの人が休憩している。ハクサンイチゲは所々で見られる。花が小さく、中央の花弁部はまだ緑色味が多く、咲いたばかりで若々しい。
山頂が近づき、少しペースが上がってしまった。息を弾ませて平標山山頂。人が多くて休憩する場所もなく、そのまま反対側の階段を下っていく。
少し行くと、ハクサンイチゲ、ハクサンコザクラのお花畑が広がっていた。予想以上に開花が進んでいる。6月に来たのは3度目だが、今回が一番いいかもしれない。ただ雪がほとんど消えており、残雪をバックにお花畑の写真を撮るわけにはいかない。
チングルマや、黄色のミヤマキンバイもあって色彩も豊かだ。
山頂部は風が少し強くて気温が低く、肌寒いくらいだった。女性の多くは1枚着込んでいる。

仙ノ倉山まで行こうか迷ったが、午後天気が崩れる予想もあり、無理はしないことにした。途中の鞍部少し先で引き返し、山頂で休憩する。谷川連峰などのパノラマ展望、もう贅沢極まりない山である。
山頂から北に伸びる平標新道は、土樽駅からアプローチできる。ほかのコースが整備され過ぎていて、平標新道だけが見た目は歩きづらそうに見えるが、越後の山のレベル的にはこれくらいが普通だ。
いつかは歩いて見たいと思ってもう20年以上経ってしまった。いまからだとちょっと体力的にもきついかもしれない。谷川連峰にはこのほか、万太郎山に登る吾策新道も歩き残してしまった。

南側の階段道を一気に下る。真下に見える平標山の家まで一直線。テントがいくつも張られているのが、かなり上の方からも見える。
ここでも何人もの人に道を譲る。登りの時と違うのは意図して譲っているのではなく、スピードがまるで違うのと、体力的にいっぱいで先に行ってもらっているということだ。
歩いている登山者の年齢層を見ても、自分はいつの間にかかなり上、だいたい上から10%くらいの中に入るようになってしまった。まあ今働いている職場でも同じようなものである。

平標山の家に下りつく。ここも人であふれている。気温や湿度が山頂付近とはまるで違い、暑いくらいだ。水が自由に調達できるのはすばらしい。トイレを借りて下山する。
ブナの多い平元新道を下る。かなり足に来ていて、おばさんのグループにさえも先に行ってもらう。スリップするのが恐いので、どうしても慎重になってしまう。
この区間だけコースタイムをかなりオーバーして、登山口のある林道に下り立つ。あとは1時間弱の林道歩きを残すのみ。

平標山に登るといつも、ひと仕事終えた気分になる。1日かけて歩くにはちょうどいい周回ルートだし、ちょっと長いけど、林道歩きでクールダウンして終われるのもいい。絵にかいたような日帰り登山の定番コースになっている。
それゆえ季節を通じて人は多く、この6月は記録的な人出になる。それを差し引いても平標山にはまた登りにきたい。毎回そういう気持ちにさせてくれる。
雪ざさの湯で汗を流して帰途につく。下界には35度を超える猛暑が待っていた。