~展望とお花畑を満喫する上越の名峰~
タイトル
たいらっぴょうやま(1984m)、
せんのくらやま(2026m)
2004年6月5日(土)晴れ

8:20越後湯沢駅-[バス]-8:53平標登山口バス停8:55-9:50鉄塔-10:15松手山10:25-11:50平標山12:10-12:50仙ノ倉山13:20-14:05平標山14:15-14:50平標山の家14:55-15:35平元新道登山口15:40-16:30平標登山口バス停17:10-[バス]-17:43越後湯沢駅 歩行時間:6時間10分
マップ
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週末にかけ、関東甲信越でも梅雨入りの足音が聞こえてきた。直前の土曜日は好天。谷川連峰の西端、越後との国境稜線上に位置する平標山に登った。
平標山への登りから苗場山の眺め
平標山への登りから苗場山の眺め

兼ねてから登ってみたいと思っていた上越の山だが、「山と渓谷」3月号の記事を見て、無雪期あるいは残雪上の登山が意外と早い時期から出来ると知った。
5月から6月にかけ、上越の山は雪解けを待っていたかのように多くの高山植物が一斉に咲き出す。森林限界を超えた花の楽園である。

上越新幹線で越後湯沢駅へ。苗場プリンスホテル行きのバスは、20名ほどの登山客を乗せて出発する。
苗場山に向かう登山者より、平標山行きの人のほうが圧倒的に多い。
バスは登山者への好意として、平標登山口バス停の50mほど前の登山口で停まってくれる。脇の駐車場はすでに満杯近い。相当な人の入山が予想された。

すでに標高1000m近い登山口からコースは二手に分かれるが、展望の松手山コースを採る。
5分ほどの車道歩きですぐに登山道に入る。最初から樹林帯の急登。しかし見通しの効かない登りは30分弱で終わり、早くも背後に苗場山の平たい姿が捉えられる。周囲はすでに低い潅木に変わりつつあり、森林限界がかなり低いことを思わせる。

平標登山口
平標登山口の駐車場付近
松手山から平標山を見上げる
松手山から平標山を見上げる
ハクサンイチゲ群落地
ハクサンイチゲ群落地
その後、時々樹林帯の登りがあるものの、総じて眺めの楽しめる道となる。ヤマツツジやノリウツギなどの樹の花に変わって、アカモノやマイヅルソウ、キジムシロが足元を彩る。
直前になってテント泊は取りやめたが、頭上の青空を眺め、今日1日は目一杯山を堪能出来そうだと確信する。

下の方にスキー場と苗場プリンスホテルが見えてくる。ここからこんなに大きく見えるので、実物も相当でかいのだろう。
苗場には大学時代にスキーに来たことがあるが、こうして見るとスキーで滑っているエリアは全体のほんのわずかな部分。上越の山、山稜はどこまでも大きい。

キスミレ
キスミレ
ハクサンイチゲ
ハクサンイチゲ
ミツバオウレン
ミツバオウレン
巨大鉄塔を過ぎさらに急登を詰めると、やがて前方になだらかで大きく羽を広げたような稜線が展開してくる。登山口から1時間ほど、そろそろ松手山が視界に捉えられてきたのかな、と思っていたら、ちょっと登った小ピークが松手山だった。コースタイムでは登山口から2時間のところを半分で登れてしまった。

松手山(1614m)はちょうど森林限界から抜け出たあたりだ。四方の景観はすでに素晴らしい。
登ってきた方向に、残雪を光らせた苗場山は大きいが、やはりここから目を奪われるのは前方の平標山を中心とした国境稜線だ。上の方は赤茶色の混ざった森林限界の様相。中腹から下はブナの樹林が鮮やか、低いところほど緑は濃くなっている。植生の垂直分布がはっきりわかる山肌である。

さあここから上には樹林はない。笹とハイマツ、シャクナゲに敷き詰められた稜線漫歩を楽しみ、ゆるやかに高度を上げていく。
指導標の横の斜面に白い花の群落地があった。ハクサンイチゲだった。こんな6月上旬、しかも日帰りの山でハクサンイチゲを見れてしまうのは貴重だ。山渓3月号に載っているこの場所(一ノ肩)の写真は、まだ開花直後の状態だったようで、今目の前に展開している様はまさに満開、見ごたえ十分である。この場所を通る人はみな、感嘆の歓声を上げていく。
それにしても早い開花だ。ハクサンイチゲは1年のうちに2度咲きすることもあるというが、ここもそうなのだろうか。

平標山頂上から仙ノ倉山を見る
平標山頂上から仙ノ倉山を見る

ハクサンイチゲはその後、平標山まで至る所に群落を作っている。その他にもシャクナゲ、ムラサキヤシオ、ミネザクラ、ミヤマキンバイ(キンバイソウ?)、キスミレ、ミツバオウレン、コイワカガミなどが咲き続く。

立ち止まって展望を楽しんだり花の写真を撮ったりで忙しい。天は二物を与えたようだ。

平標山頂上に登りつく。谷川連峰東部の主脈の展望が一気に広がった。

頂上は十字路になっていて、正面に仙ノ倉山へ続く稜線がたおやか、そして土樽から上がって来る平標新道。反対側は三国峠への道で、平標山の家が小さく見える。どれも辿ってみたくなる魅力多い登山道である。


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