山の写真集 > 谷川岳・越後・信越 > 白毛門から笠ヶ岳
  • -快晴、超展望と紅葉-
  • 土合橋駐車場-松ノ木沢ノ頭-白毛門-笠ヶ岳
  • 谷川連峰
  • 群馬県
  • 松ノ木沢ノ頭(1484m),白毛門(1720m),笠ヶ岳(1852m)
  • 2021年10月3日(日)
  • 8.5km
  • 7時間45分
  • 1174m(土合橋~笠ヶ岳)
  • -
  • 上牧温泉 風和の湯
  • マイカー
天気1

 

2021年10月3日(日) 前日発
練馬IC 21:13
  関越自動車道
赤城高原SA泊
水上IC 5:40
  国道139号
6:00   土合橋駐車場 6:20
8:30   松ノ木沢ノ頭 8:40
9:35 白毛門 9:50
10:50 笠ヶ岳 11:30
12:25 白毛門 12:40
13:25   松ノ木沢ノ頭
14:20   ヒノキのウロ 14:30
15:35 土合橋駐車場 15:50
  国道139号
上牧温泉立寄り
17:58 水上IC
  関越自動車道
20:43 練馬IC

 

10月に入って、長く続いた緊急事態宣言もついに解除となった。
宣言下であろうがなかろうが自分は出かけていたが、解除となるとやはりうれしいものだ。早くに紅葉の始まった山に登って、解除後の最初の週末を楽しみたい。
当初は奥日光の山を予定していたが、谷川連峰の紅葉が今年は良さそうなことがわかり、直前で白毛門に変えた。同時期に何度か登っているが、今回は今までとは比較にならないほどのすばらしい錦絵巻の景色が展開していた。
最後は足にきて、体力の衰えを実感したがとにかく、すごい紅葉の山だった。


白毛門山頂付近から笠ヶ岳(左)、朝日岳 [拡大 ]

登山口の土合橋駐車場は朝6時ですでにほぼ満車

早朝から満車

両手を駆使して急な登りをこなす

手を使って

ナナカマドはあちこちで赤い実をつけていたが、葉は緑かすでに枯れ、紅葉しているものは少なかった

ナナカマド

岩場には鎖やロープが設置

岩場を登る

松ノ木ノ沢ノ頭から、白毛門を見上げる

中間点

白毛門目指し、青空の中を登っていく

青空に向かって

笠ヶ岳の端正な山容が望める

笠ヶ岳

白毛門山頂までもう少し、天空の登山道を行く

天空の道

鮮やかな紅葉を前景に、谷川岳の大岩壁を望む

谷川岳

白毛門山頂

白毛門山頂

白毛門~笠ヶ岳間は紅葉の尾根道となる

紅葉の尾根道


赤城高原SAに車中泊していく。翌朝、水上ICから見上げる谷川岳はまだ雲に覆われていた。が、そのうち晴れるだろう。
土合橋手前の駐車場に着いたのは6時過ぎ。何ともうすでにほぼ満車状態だ。ここは来るたびに、駐車している車の数が増えている気がする。白毛門や馬蹄形縦走する人のほか、谷川岳だけの登山者も、この駐車場を使う人は多いようだ。何しろ無料だから。
こう登山者が増えてくると、ここや土合駅前の駐車場も、そのうち有料になってしまうのではないだろうか。
端っこの、草ぼうぼうの所に何とか駐車した。

白毛門登山口から川を橋で渡り、いつものようにブナ林の登りで始まる。とにかくこのコースはきつい登りの連続で、最初に無理をすると後でしっぺ返しを食う。できるだけ歩幅を小さく、段差の小さい所を選んで足を置くようにする。
尾根に乗ると一本道のさらなる急登となる。樹間から覗く谷川岳はまだ雲がまとわりついている。
ギャップの多い急傾斜の登りが続き、しばらくは我慢の時間である。やせた尾根はやがてシャクナゲや、檜などの針葉樹が目立つようになる。木の根が浮き出た斜面を、その木の根をステップに高度を稼ぐ。
ヒノキのウロという休憩地があったと思ったのだが、気づかず通り過ぎてしまったようだ。以前も同じようなことがあった。きつい行程で登るのに精いっぱいで、回りのことに注意がいっていない証拠だろう。

谷川連峰の樹林の植生は不思議で、ブナの2次林から尾根に上がり檜の多い部分を通過してさらに高度を上げると、再びブナの多い道になる。
日本海型の気象の影響を受ける山域は、普通は中腹でよく見られる針葉樹林帯が欠落している所が多い。飯豊・朝日連峰や鳥海山、月山がよい例だ。たが、この白毛門コースや茂倉岳のコース(茂倉新道)、火打山、巻機山の登山道など、上信越エリアにはところどころに針葉樹林帯が存在する部分もある。一方、谷川岳の西黒尾根、天神尾根には全くない。地形や稜線の方向、気象のわずかな差がそういう違いを生んでいるのだろう。

進行方向の樹林が切れると、白毛門や朝日岳の稜線が見えてくる。ロープのかかった岩場の登りを通過。ツツジやナナカマドの低木が増え、ブナも背が低くなりミズナラの高山型も見られる。谷川岳にまとわる雲もなくなった。
空が広くなって松ノ木沢ノ頭に到着。谷川岳や主稜線の眺めが一気に広がるが、今日一番目を引いたのは、正面の白毛門の色づいた山肌だ。

開けた岩場の斜面を登っていく。先を行く登山者もはっきり見える。ジジ岩を回り込むあたりでは赤系の紅葉が多く、見ごたえがある。崖のような急斜面も、岩がまるで階段状に直角に切られていて、思いのほか歩きやすい。しかし下りは転落に注意だ。年を経るごとにこういう場所を通過するのに難儀さが増してくるような気がする。
白毛門最上部の稜線に立つと、奥に笠ヶ岳への尾根筋が見えた。こちらも様々な色の紅葉で染め上げられている。谷川岳の岩壁が迫り来るようで、武能、蓬峠方面の稜線もすっきり望めた。ワクワクするような眺めの中を最後の登り。鎖のついた大きな岩には足をかけず、右端の退避道を行く。

白毛門山頂。いつものようにすばらしい360度のパノラマ展望である。しかも今日はそれぞれの山や稜線が様々な色彩を放っており、どこを向いて座っていいのか迷うほどだ。
南面の水上市街地を挟んで赤城、浅間山や榛名山方面は逆光なのも手伝って、まだ夏の緑濃い風景だ。武尊、奥日光、尾瀬の山々も同じ。

笠ヶ岳に向けての尾根歩きに入る。少々アップダウンはあるが、今までの急登とは打って変わって歩きやすくなる。赤い紅葉が目立つ。多くはドウダンツツジやミネカエデだが、ナナカマドの赤い実があちこちで多くみられ、これも遠くから見れば紅葉のように見える。それほど実が多い。
ナナカマドの葉自体はきれいに紅葉しているものはほとんどなく、多くはすでに茶色く枯れている。

振り返ると、白毛門山頂部の北側がドウダンツツジの赤で埋め尽くされていて、圧倒させられた。尾根筋はきれいに色づいてはいるが、まだ緑の木が多い。紅葉のピークはもしかしたら来週にかけてかもしれない。
小さな丸っこいコブを越えていくが、紅黄葉が鮮やかで、はた目には栗駒山の山肌を連想させるほどだ。


黄葉のコミネカエデ

コミネカエデ

白毛門の北面は、ドウダンツツジなどの紅葉で赤くなっていた

裏側は真っ赤

ナナカマドの赤い実が紅葉を引き立てている

紅葉、紅実

笠ヶ岳山頂直下から、登ってきた方向を見下ろす

見下ろす

笠ヶ岳山頂

笠ヶ岳山頂

笠ヶ岳山頂から望む朝日岳はすぐそこにあるが、道はなかなか険しい

朝日岳は近いが

白毛門まで戻る

戻る

ヒノキノウロの大木

ヒノキノウロ

尾根を外れ、ブナ林を下って登山口へ

ヘロヘロの帰還


鞍部へ下り、笠ヶ岳への直登となる。隣に朝日岳も大きく並んでいる。この登りは遠くから見るとすごくつらそうに思えるが、実際は見たほどではない。ただ、登り始めてすぐにピークが見えなくなるので、あとどれくらい登ればいいのか、目で確認できなくなる。
ペースさえ守れればさほどの苦労はなく、笠ヶ岳山頂である。

さらに広がる展望。朝日岳へは稜線伝いに近そうに見え、行き交う人も多い。白毛門から笠、朝日を日帰りで往復できれば、充実過ぎるくらいの谷川連峰歩きとなるが、日帰りではまだ登ったことはない。笠の山頂まで登って、今日こそはと思うのだがいつもどうしても自信がわかず、引き返すことになる。
今日もここまである程度余裕をもって登ってこれたが、下りがきついコースである。体力を考慮してここで下山する。

白毛門に戻ると、登山者はさらに増えていた。しっかり休憩して白毛門を下る。
足を踏み外すことが許されない、急傾斜の岩尾根。地面が濡れているところもあっていやらしい。緊張感から、体力とともに精神力もすり減ってくる。

ここまでの疲労の積み重ねが、体の中で波のようにやってきた。松ノ木沢ノ頭で休憩したかったが、日差しが暑く感じたので、木陰を求めてもう少し頑張って下る。
少し変だ。左足の膝から下の感覚が鈍ってきて、足運びがおかしくなった。ブナの灌木が現れる急坂に入るとますます調子がおかしくなり、満足に歩くことができなくなっていた。
以前もここで同じようなことがあったが、あの時は蓬峠にテント泊して、2日目に朝日岳を越えてきていた。水がなくなって大変な思いをしたが、今日のような日帰り行程でこんなことになろうとは。
しかし足を前に出さなくては下山できない。とは言っても、この傾斜が半端でない下山路は、他の山と同じような下り方はできない。木につかまり、時には後ろ向きになって、何とか左膝に負担がかからないようにする。
後ろから来た人にどんどん抜かれていく。まだ標高1300m。登山口まで400m以上下らねばならない。

下山時は気がついた、ヒノキノウロで腰を下ろし、体力の回復を図る。木の根が浮き出た歩きにくい道を下る。疲れからか、30㎝くらいの石を蹴ってしまい、落石をきたす。落ちる方向にちょうど人がいて、危なく直撃するところだった。その人に謝る。
見ると、その人も自分と同じような足運びで、つらそうにしていた。聞くと、片膝の両側が痛くて歩けないという。それを言われて、自分も全く同じだと気づいた。左の膝関節の右と左が、何か棒のようなもので強く突つかれている感じだ。そのためか、そこから下の感覚がない。
下山中自分が追い抜いたのは、その人だけだった。脂汗をかきつつ、尾根を外れる位置に到達する。

普段なら5分くらいで下りられるブナ林の斜面を、信じられないくらいの時間で下り、ようやく白毛門登山口へ。何とか怪我せずに下りきることができた。下山に要した時間は登りよりも長かった。
紅葉のすばらしい山行が、後味の悪い結末となってしまったのは悔しい。

思えばここのところ、下山時に膝など、足に何らかの故障をきたすことが毎回のようにある。数年前まで楽に登り下り出来たコースが今は難路になっている。自分の登山ライフは今年、明らかに違うステージに入ってしまったようだ。
コロナ禍は関係ない。今回の反省を踏まえ、今後自分が山にどう向き合っていけるのか、少し真剣に考えなければならなくなった。