2017年6月11日(日) |
◇ |
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練馬IC |
2:30 |
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関越自動車道 |
◇ |
水上IC |
4:15 |
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国道139号 |
4:40 |
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土合橋駐車場 |
4:50 |
5:00 |
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尾根取付 |
◇ |
6:20 |
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1300m付近 |
6:30 |
6:57 |
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松ノ木沢ノ頭 |
7:12 |
7:55 |
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白毛門 |
8:55 |
9:40 |
松ノ木沢ノ頭 |
9:50 |
10:37 |
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ヒノキのウロ |
10:47 |
11:35 |
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土合橋駐車場 |
11:45 |
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国道139号
谷川温泉立寄り |
14:05 |
水上IC |
◇ |
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関越自動車道 |
16:20 |
練馬IC |
◇ |
5年前の紅葉の時期に登って以来の白毛門。登山道の雪も溶けたようである。
この山に登るときはいつも天候に恵まれるが、今回は今までで一番の好天で、終始素晴らしい展望がほしいままの山となった。
松ノ木沢ノ頭から、白毛門を望む
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車中泊は最近、体力的に必ずしも有利でないと悟り、前の日に早く寝て当日深夜の出発にしてみた。練馬インターを2時過ぎの通過。それでも日が長いため、水上インターに着く頃は夜が明け、薄暮の空に残雪の谷川岳がそびえていた。
土合橋駐車場は8割方埋まっていた。テントも数張り張られており、おそらく前日からの馬蹄形縦走、もしくは沢やクライミングのパーティーだろう。
5時前の出発が果たせた。放射冷却がきき、気温は5度。標高700mを超える登山口とはいえ冷えきっている。シャツを2枚着ていくかどうか迷う。おそらく日が当たり出すと気温は急上昇して汗をかくことになるだろう。しかし寒さに負けて2枚でいく。
橋を渡り、ブナ林の急登から始まる。まだ薄暗く夕方のよう。尾根に出てなおも急な坂を登っていくと、猿が一匹いた。樹林の切れ間から谷川岳がすでに大きい。上空は薄雲が出ているが、国境稜線の新潟側は澄み切った青空だ。
さっきまでの寒さは何だったのか、20分ほどで体が熱くなり、結局シャツを1枚脱ぐ。息もつかせぬ急登とはこの白毛門の登りを言うようなものだ。雪で削られたヤセ尾根にジグザグの登山道を通すことはできず、豪雪地帯の登山道は直登が多い。
50センチくらいある大きな段差をまともにぐいぐい越えていこうとすると、後で必ずくたびれてしまう。足を極力高く上げなくていいよう、小さく刻めるステップを歩いている間は常に探す。右足を着地したら次の、左足の置き場所をすばやく見つける。左足を下ろしたと同時に次は右足の場所探し、この繰り返しである。とにかく足を高く上げないことに努める。
手を使わないと登れないような、どうしようもないギャップがあったら、それはしょうがない。
木はヒノキの大木が多くなり、ものによってはオブジェのよう。ヒノキのウロという木が、今回は見つからずおかしいと感じる。いつもその近くで最初の休憩を取るのに、今日はその機会を逸したままどんどん高度を上げる。
尾根の東側から白毛門の山頂部が見え隠れする。ここまで登ったのならヒノキのウロはもう通り過ぎている。狐につままれたように、首を傾げながらさらに急登をいく。
再びブナが現れ、林床にピンクの花を見る。早春の花ショウジョウバカマだった。それもたくさん。こんな6月に見られるとは意外である。さらに進むとイワウチワも残り花があった。コイワカガミは今を盛りとあちこちに群落を作っている。
やがて潅木帯に移行し、鎖のついた大岩をよじ登る。木の向こうの谷川岳が次第に全貌を現すようになり、最後のひと登りで松ノ木沢ノ頭に到着する。
ここはもう森林限界上。目の前に展開する残雪豊かな谷川連峰の稜線、正面には白毛門が大きい。武尊や赤城も見渡せる。
朝方の薄雲も取れて、カラッとした大気のもと見える山は限りない。日差しはたっぷりで風も弱いのだが、少し肌寒い。
目の前(と言うよりも上)の白毛門目指し岩尾根を行く。大きな雪原があり、そこから融雪水が流れてくるが、登山道に雪はない。このルートを冬、雪のあるときに挑戦したい気もするが、ところどころに現れる岩場のギャップは危険度が高く、谷川岳や武尊山のように容易にはいかなそうだ。
登れば登るほどに背後の展望は大きくなり、松ノ木沢ノ頭がどんどん低くなっていく。ガレ場の連続で、雪解け水で濡れているところは要注意。
コイワカガミ、ナエバキスミレ、イワナシ、アカモノなど、花もこの地ならではの顔ぶれとなる。タテヤマリンドウも草むらの中からいくつか顔を出していたが、シャクナゲは終わってしまったようだ。
最後の大きな岩場を越え、少し行くと白毛門山頂となる。
谷川連峰、朝日岳を始めいつもながらのすばらしい360度パノラマ展望である。武尊山、赤城、奥日光、尾瀬、平ヶ岳もくっきり。谷川岳の後ろには苗場山。浅間山、榛名山。
梅雨特有のじめっとした空気感が全くなく、見える山に限りはない。ただ富士山が見えないのはそちら方面の天候が悪いせいか。
山頂に居合わせた人、後から登ってくる人誰もがこの先の笠ヶ岳へ向かう。朝早く登り始めた自分も普通ならもちろん先へ行くのだが、今日はここで下ることにした。今週末さらに新潟の山に2つ登る予定で、今日は早く帰って色々準備もしたい。
こんないい天気なのにすごくもったいなく、山の神様に怒られそうだが今日はこれで下る。ただ、この限りない眺望に後ろ髪を引かれて、1時間も山頂にいてしまった。
それにしても今日は日差しはあるのに全く暑さはなく、虫も飛んでこない。山の上だから涼しい、というのとはまた少し違う。頭上は絹雲が空高く風になびき、まるで10月か11月の空気である。
滑落に注意しながら、慎重に下る。谷川岳を常に正面に見ながらの下りだ。見えている天神平のロープウェイ駅もおそらく登山者で賑わっているだろう。登ってくる人と何人もすれ違う。聞くと皆やはり笠ヶ岳まで行くと言う。今日この好天の中で白毛門往復だけで終わらせてしまった人は自分だけかもしれない。
ガレ場をよくよく見ると、さっきはポツポツとしか見られなかったタテヤマリンドウが、実はあちこちに大きな群落を作っていた。ナエバキスミレも登りでは数えるほどしか見なかったが、たくさん咲いていた。さっきは登るのに集中していて気がつかなかったようだ。
松ノ木沢ノ頭に下りつき、ここでパノラマ展望ともお別れとなる。ここもなかなか去りがたいが意を決して下山開始。
ひたすら下っていき、檜の樹林帯に入る。行きに見逃していたヒノキのウロは、下りでは注意していたため確認できた。こんなオバケのような大きな木がなぜ見つからなかったのか。これはいささかショックである。
今回は登りのとき、歩くのに集中し過ぎるあまり周囲の様子が全く見えていなかったようだ。こういうのは登山初心者にありがちなことで、遭難を引き起こしやすい。これが自分の老化の始まりとも思いたくないが、これから少し意識しながら歩いていかねばならない。
下のほうはさすがに気温は高いようで、ブナ林はハルゼミの大合唱だ。その中に飛び込んでいくように登山道は急降下を続け、登山口の橋に下り着いた。
土合橋駐車場で登山終了。下は暑いというより快適な陽気だ。朝方は5度だったが、今は20度そこそこだろう。
下界も涼しいため、谷川温泉で汗を流した後、久しぶりに谷川ラーメン(肉、野菜、山菜の入ったタンメン)を食す。さすがに汗が出た。