山の写真集 > 谷川岳・越後・信越 > 坂戸山
  • -青空に伸びる白銀の尾根-
  • 薬師尾根-坂戸山-大城
  • 越後
  • 新潟県
  • 坂戸山(634m)
  • 2017年1月29日(日)
  • 4.8km
  • 3時間35分
  • 468m(薬師尾根登山口-坂戸山)
  • -
  • 萌気園さくり温泉健康館
  • マイカー
天気1

 

2017年1月29日(日)
練馬IC 4:10
  関越自動車道
六日町IC 6:40
  県道
7:00   ディスポート南魚沼駐車場 7:15
7:25   薬師尾根登山口
8:30 坂戸山 9:00
9:40 大城 9:45
10:10   坂戸山 10:20
11:15   薬師尾根登山口
11:25 ディスポート南魚沼駐車場 11:40
  国道291号,県道233号
さくり温泉立寄り
14:05 六日町IC
  関越自動車道
17:35 練馬IC

 

寒波襲来後初めて、日本海側も好天の日曜日となった。久しぶりに新潟の山に登りたい。ただし午後から崩れる予想があるので、谷川岳など高い山を避け、雪深い低山に出かける。
坂戸山は通算5回目となる。冬は6年前に登って以来。その時に比べて雪の量は多いはずだ。


坂戸山から大城までの稜線は動物の足跡だけ

民家の間の小道を歩いて薬師尾根登山口へ

登山口付近

薬師尾根は下部で積雪1メートル以上ある

最初から雪深い

魚沼平野は朝方、霧に包まれていた。左の高峰は湯沢の飯士山、右奥に苗場山

霧が出ていた

坂戸山を見上げながら、開けた尾根を直登

展望の尾根

社のある坂戸山山頂

坂戸山山頂

坂戸山山頂から、魚野川流れる魚沼の町を見下ろす

魚沼は真っ白

坂戸山山頂から東側の眺め。三国(さぐり)地区と八海山

三国川と八海山

坂戸山山頂から南東に伸びる稜線。大城を経て奥の金城山へ続く

大城と金城山

大城への稜線はウサギ4本足と、何か鳥の足跡が走っていた

ウサギの足跡

小城付近から来た方向を振り返る。坂戸山へ続く稜線

振り返って


未明に車で家を出て、関越を北上。上越国境の山はどれくらい白くなったかを確かめたかったが、まだ夜が明けきらないうちに関越トンネルに入ってしまう。新潟県側で朝を迎える。さすがにこちらは見渡す限りの白銀の大地となっていた。
六日町から小出にかけての一帯は霧に包まれ、上も下も白い世界である。
薬師尾根登山口は雪が深く駐車場が使えない。この場合近くのディスポート南魚沼という体育施設に車を停めさせてもらうのが一般的になっているようだ。六日町ICから県道を走ってディスポート南魚沼に着く。駐車場は広く完全に除雪されているが、その入口には「無断駐車禁止」の看板。不安に思うが川べりも含め周りは一面真っ白のため、とりあえずここに停めるしかない。

7時15分出発、正面には白い坂戸山が壁のようだ。薬師尾根登山口へは5分ほどで着く。今日は長靴にするか迷ったが、結局いつもの登山靴、ダブルストックにした。念のためアイゼンをザックに、そして輪カンも持っていく。
社への急坂を登るともう、雪が深い。まだ朝早いからか表面が硬く、ズボズボ潜る感じではなかった。6年前と雪の状況はまるで違う。赤い3つの鳥居は上1メートルくらいが雪から出ていた。
ここからのほぼ直線の尾根道は、小さな林を抜けるとあとはずっと展望の登りとなる。
前後して登っている人を見ると、ザックを背負っている人はほとんどおらず、皆ピン付き長靴でスタスタ登っていく。これらの方は、坂戸山を日課で登っているのだろう。長靴は地元の人、登山靴は他の地域(特に東京など南関東)から来た登山者、と大体相場が決まっている。

始めのうちは雲の多かった空も次第に晴れてきて、すっきりした快晴の天気になった。直登の尾根はまるで青空に向かっているようだ。振り返ると一面真っ白になった魚沼の田園地帯や上越国境の白き峰々。
薬師尾根は北西に伸びているため午前の遅い時間まで日陰になっているが、平野や高い山はそれより一足早く日が当たり始め、明るい雪景色を見せてくれている。

大城付近からは八海山(左)と中ノ岳(右奥)がさらに大きく望まれる

八海山、中ノ岳

稜線の積雪はカマボコの形でヤセ尾根状になっている

カマボコ型

下山は六日町の住宅街へ飛び込んでいくように下る

落っこちていくよう

登山者が増え、トレースははっきりしたものが2本になった

トレースは2本

樹林帯に猿の群れがいた。坂戸山で見るのは珍しいとのこと

意外な訪問者

3つの赤い鳥居は上半分が雪から出ていた

鳥居は半分だけ

薬師尾根登山口に建つ鳥坂神社

鳥坂神社

下山すると、駐車場はほぼ満車近くなっていた

ほぼ満車に

駐車場から坂戸山を仰ぐ

坂戸山を仰ぐ


6年前に比べて雪は格段に多く、やはり見ごたえが違う。進む方向には坂戸山の山頂部が近づいてきた。直下の階段道につけられたロープを手繰って坂戸山山頂に到着する。
相変わらずの素晴らしい展望。山頂の反対側に立つと八海山の荒々しい山肌が銀色に光り神々しい。

山頂からはその八海山や越後駒ヶ岳に沿うように、大城への尾根筋が伸びている。50メートルくらい先の鞍部に一人降りている。写真を撮るために降りているようで、その先の大城まではトレースがついていない。自分は今日輪カンを持ってきているので、どこまで行けるかわからないが、歩いてみることにした。小休憩後輪カンを履いて出発する。

先ほどの人のトレースが尽きるとウサギと鳥の足跡だけになった。踏み固められていないので雪はサラサラだ。ちょっとした急坂は膝で雪を固めて登る。要領が飲み込めればそう大変なことではない。尾根の痩せた部分もあってスリルがある。
金城山がどんどん近づき大城の手前まで来た所がかなり急で一番の難所だった。左側から回り込むように小城、さらに大城に登り上がる。金城山が真正面に大きく、八海山や越後駒も大きくなった。眼下の三国川流域の集落が隠れ里のようだ。

坂戸山への帰路は、自分のつけた輪カンの跡を辿るのですぐだった。再び着いた坂戸山には6、7名の登山者が集っていた。しかも後から後から登ってくる。もう一度周囲の展望を目に焼き付け、下山する。

前回6年前はアイゼンをつけて下った。しかし今日の硬い雪なら使っても全然大げさではない。登山靴の人も見かけはするが、誰もアイゼンをつけていない。しばらくツボ足で行くことにする。

普段着で登れる山ではあっても、何しろ引っかかる木もないむき出しの斜面なのでうっかりスリップしたら滑落の危険はある。途中でトレースが2本になり、まだ踏み固められていないほうを下る。後から下ってくる長靴の人にどんどん抜かれながらも何とか歩きこなせそうだ。
登りで日陰が多かった尾根道は、今の時間は全方位ピカピカの白銀である。

木の生えた場所で人だかりがある。視線を追うと、猿が木の枝に座っていた。何匹もいる。居合わせた地元の人によると、このあたりで猿の群れを見ることはなく、おそらく湯沢の方から尾根伝いにやってきたのだろうとのことだ。奥多摩や秩父などは当たり前のように猿はいるが、魚沼地域は珍しいのかもしれない。意外である。
我がもの顔で木から木へ飛び移っていく侵入者を眺め、農作物の被害が心配だとその人は言っていた。

薬師尾根登山口に下り立つ。民家の屋根には雪下ろしをしている人が何人かいた。皆ひとりで作業しているが大丈夫だろうか。安全を考え複数の人で行うよう、テレビの天気予報などで言っているのをよく聞く。
ディスポート南魚沼の駐車場に戻るとびっくり、50台は停められるスペースはほぼ満車になっていた。これは皆坂戸山の登山者だろうか。たしかにこれくらい入山していたような気がする。

雲が出てきて、いつの間にか青空がなくなっていた。今日は悪天の隙間を縫って、計ったように好天の越後の山を楽しむことができた。最初は無用の長物になるかもしれない、と思った輪カンも存分に使うことができて満足である。

五十沢温泉さくり健康館で雪山の見納めをした後、インター近くの大型店で純米酒「魚沼で候」を買って東京に帰る。