〜カタクリ越しに望む越後の名峰〜
タイトル
さかとやま(633m)
2006年5月21日(日) 晴れ

9:20上越線六日町駅−9:40登山口9:45−10:50坂戸山11:10−11:30大城12:15−12:35坂戸山−12:55桃の木平−13:40一本杉−13:55登山口14:05−14:25中央温泉15:00(日章館泊)
歩行時間:3時間45分

マップ
1 写真集 雪の坂戸山  Home


日・月と休みで、日本全国いい天気のようだ。どこに行くか迷う。そろそろテントや小屋泊まりで奥多摩の新緑を満喫するのにいい時期なのだが、今回は新潟に足が向く。
GWの北関東に続いて、もう一度春の花を拝みに行く。カタクリが有名な六日町の坂戸山、そして日本海から3キロしか離れていない、柏崎の米山の2座である。

カタクリ群落と金城山
カタクリ群落と金城山
カタクリ
カタクリ

新幹線と上越線を乗り継ぎ、六日町駅に向かう。谷川岳など上越の山は、上のほうはまだ残雪がかなりある。
山の上でなくとも、湯沢付近にはまだ平地に雪が残っているところがある。今年の雪の多さがうかがえる。

六日町駅から、まだしんとしている商店街を歩いて抜ける。ちょっと寒く感じたのは最初だけ。魚野川を橋で渡る時にはいったん着込んだ上着を再び脱ぐ。
坂戸山は進む方向、正面に鎮座している。600m台の山なので高さは感じないが、頂上付近まできれいな緑に覆われている。目指すハイカーも多い。
坂戸山の右奥には、まだ残雪をまとった金城山が控えている。さらにその奥には上越の山々の姿も。

薬師尾根の登り
薬師尾根の登り。振り返ると苗場山が堂々としている

民家脇を進むと、鳥居の立つ坂戸山登山口に着く。この時間にもう下山してくる人もいる。水道で水を補給し、来た道を少し戻って薬師尾根に入る。

ところどころ階段状になっている道を登る。信仰の山らしく、草地の斜面には等間隔で釈迦像の石碑が立っている。少し高度を上げると早くも背後が開け、六日町の家並みが広く見下ろせる。薬師尾根は展望の尾根である。

気温も上がり、汗をかきながら高度を稼ぐ。ミツバツツジだろうかムラサキヤシオか、濃紫の花が鮮やかだ。イワカガミ、スミレも現れる。右手には上越の山、左上には目指す坂戸山の山頂部が尾根の先に見えている。
ベンチのある平坦地を過ぎ、寺ガ鼻コースの遊歩道を合わせると正面に金城山が堂々とした姿を現す。

思った以上に暑く、歩くペースも上がらないが、ようやく斜度も緩んで余裕が出てくる。タムシバも咲き残っていて白い花が青空に映える。
行き交う登山者は半数がザックを背負っていない。ほとんど手ぶら状態で山頂を行き来する、お手軽な山なのであろう。30リットルのザックを担ぐ自分の立場がない。

坂戸山から大城への展望の稜線
坂戸山から大城への展望の稜線

樹林に入り、鎖場が現れると、こんな低い山でも何となくアルペン的な雰囲気が出てくる。鎖場を越すとまもなく坂戸山頂上である。
一段高い所に社が建っていて、周囲は全方位展望の地となっている。遠くの谷川連峰、金城山も格好いいが一番目を引くのはやはり東側の八海山、中ノ岳といった残雪の山稜の眺めだ。

城坂コースに入るところにカタクリが群落をなしているが、まず南東側に見えている大城というピーク目指して稜線を歩いてみる。ムラサキヤシオ咲く展望のいい尾根歩きである。
樹林をくぐるとチゴユリの群落、スミレサイシンが目に入る。雪が溶けて間もないと見え、道はところどころ湿っている。そしてようやくカタクリをいっぱい目にする。2,3メートル四方ほどの広さの場所に隙間なく咲いている。
この程度の群落であっても、南関東の山では余り見ることのできない規模なのだが、これで驚いてはいけなかった。もう少し奥に進んだところに信じられない光景が広がっていた。
テニスコートほどの広さの平坦な地が一面、カタクリで埋め尽くされている。文字通り咲き乱れているのだ。大城はまさにカタクリ満開の時期であった。
雪国のカタクリは雪解けを待って一斉に咲き出すというが、これほどすごいものとは。びっくりである。「すごーい!」この場所に来る人はみな、感嘆の声を上げる。
背景の金城山・八海山といった残雪模様の山も素晴らしい眺めで、金城山の左奥に巻機山も頭を出している。

中ノ岳(左)と丹後山
中ノ岳(左)と丹後山

なかなか去り難い場所であるが、人も多くなってきたので坂戸山に戻る。途中で、地面の枯れ葉の中をガサゴソと動き回る動物を見つける。モグラだった。モグラも穴から出てくるほどの、暖かい雪国の春だ。
山頂を辞し、城坂コースを下る。桃の木平という場所もカタクリの群落が見られるということだが、「残雪のため桃の木平方面への道は進入禁止」との張り紙がある。迷ったがそちら方面へは行かず、主水郭の方向へ下る。カタクリやショウジョウバカマなど、花の道は続く。

展望のいい下りを過ぎると、結局桃の木平に合流した。雪の溶けたところから順繰りにカタクリが芽を出し、咲いている。ここの群落もかなりの規模だが、大城の広さにはかなわない。
それにしてもカタクリの多い山である。会津の鳥屋山とどちらがすごいか、甲乙つけがたいところだ。

桃の木平を過ぎても、まだまだカタクリ、カタクリ・・・である。高度を下げて草付きの斜面を下るころはさすがになくなるが、大きな残雪の塊が出てくるとまたしてもカタクリが現れる。

一本杉の手前でイカリソウやキクザキイチゲを見る。このへんまで下りて来ると、ドライブのついでに上って来た観光客の姿も見られる。山菜採りに精を出す人もいる。
スキー場のような緩斜面を下っていき、家臣屋敷跡という杉林に入るとほどなく、朝立ち寄った坂戸山登山口に到達する。朝は気づかなかったが、この付近も実はカタクリがいっぱい咲いていたのだった。

今日は六日町温泉の日章館に泊まる予定だが、とりあえず駅まで戻り、スーパーで買い物をしていく。
途中で中央温泉という公衆浴場に立ち寄る。250円と安いが正真正銘の温泉である。ほのかな甘い香りのお湯がとても気持ちいい。雪の季節にも入ってみたい温泉である。

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