山の写真集 > 八ヶ岳・信州 > 黒姫山
  • -歩きでのあるコニーデ型の山-
  • 古池-しらたま平-黒姫山-大池-西登山道
  • 北信
  • 長野県
  • 黒姫山(2053m)
  • 2014年9月6日(土)
  • 14.1km
  • 6時間35分
  • 1139m(大橋-黒姫山)
  • 戸隠神告げ温泉
  • マイカー
天気1

 

2014年9月6日(土)前夜発
練馬IC 21:00
  関越自動車道
上信越自動車道
小布施PA泊
信濃町IC 6:10
  国道18号,県道36号
6:50   大橋
6:55   種池登山口
7:10   種池
7:20   古池
7:43  
8:23 大ダルミ分岐 8:30
8:58 しなの木
9:40   しらたま平 9:50
10:10   大池分岐
10:20 黒姫山 11:03
11:12 大池分岐
11:40   七ツ池 11:53
12:00   大池
12:50   天狗岩
13:15   西登山口
13:30   大ダルミ 13:40
14:00   大ダルミ分岐
14:50 大橋 14:55
  県道36号,国道18号
神告げ温泉立寄り
17:25 信濃町IC
  上信越自動車道
北陸自動車道
18:15 柏崎IC
(市内泊)

 

9月最初の山は、長野県北部の黒姫山とした。2011年の高妻山、昨年の飯縄山に続いての戸隠の山となる。この山域は東京からは遠い割に交通機関が発達していて比較的に登りやすい。
今回、黒姫山だけではもったいない思いから、どこか他の山とペアで登ろうと思い、もうひとつの山を物色していたところ、もうひとつの「黒姫山」が思い浮かんだ。
戸隠から、新潟県柏崎市の刈羽黒姫山へは少し距離はあるが、兼ねてから登ってみたかった山でもあり、面白そうなので黒姫山巡りをやってみた。

翌日の刈羽黒姫山へ


小黒姫山(御巣鷹山)と七ツ池

大橋の駐車スペースから5分ほどで種池登山口に着く

種池登山口

種池登山口からしばらくは、笹が登山道を覆う

笹の被る道

古池のほとりから黒姫山を望む(山頂部は見えていない)

古池

古池付近の草原から、高妻山(中央)などを望む

高原の山

登山道を覆う落ち葉は少しだけ秋色めいてきた

道は秋色に

ブナ林に入る

ブナ林

大ダルミ分岐(新道との合流点)には「戸隠竹細工の森」の標柱が立っていた

竹細工の森

新道を登っていくとしなの木と出合う

しなの木

しらたま平に到着するとようやく眺めが開ける

しらたま平

シラタマノキ(しらたま平)

シラタマノキ


日曜日の朝方の空模様が心配なため、標高の高い信州黒姫山を先に登ることにし、前日夜に車で出発した。
小布施PAで車中泊。翌朝、戸隠高原の高まりを左に見ながら高速を走る。低い雲海を抜け、高度を上げていくと青空眩しい高原の山が見えてきた。大橋登山口は特に標識もなく、うっかりすると見逃しそうだ。10台ほど置ける駐車スペースには2台の先着があった。

ゲートの先に林道が直線状に伸びている。黒姫山はここからも登れるが、今回は下山路とする。車を停め、今来た車道を戻るように5分ほど歩き、種池登山口に着く。標識と案内板が立っていた。今日はここから登る。
平坦な登山道を行くとすぐに種池への入口に出合う。せっかくなので立ち寄っていく。あまり大きな池ではない。案内板に「湧出と流出口のない池」との説明があった。

ダケカンバやカラマツを見上げながら緩やかに登っていくと、今度は古池のほとりに出た。こちらは大きく開けた池で、正面には黒姫山のなだらかな斜面が見上げられる。下草が伸びて道がわかりにくいが、池のへりを右回りに行く。
水芭蕉の群落地を過ぎると、秋の花が咲く草原を前景に、高妻山方面の眺めが得られた。池を半周ほど歩いたところで左に山道が分岐している。入口には草が被っていて、ややもすると気づかずに通り過ぎてしまいそうだ。
9月の山はどこも草深い印象があるが、山道は意外とすっきりしていて歩きやすい。ツクツクホウシなど秋口の蝉は遠くで鳴いているものの、鳥のさえずりのない山は気味悪いくらいに静かである。道を埋め始めた木の葉は、もう黄色がかったものも見かける。

を渡ったあとは少し傾斜がきつくなる。ブナの密度が濃くなり、いくつもの小さな尾根を越えていくうちに足元がぬかるむようになってきた。昨日までの雨のせいだろう。スパッツをしておけばよかったかと思うが、途中でつけるのはあまり好きではないのでこのまま歩き続ける。

高みに上がるほどに、ブナの巨樹が増えてくる。やがて指導標が現れ、ちょっとした広場に出たところが新道との合流点だった。朝見た林道を上がってくるとここに着く。「戸隠竹細工の森」という標柱が立っている。反対側には、下山路予定である大池方面からの道も下って来ていた。すなわち今日はここ「大ダルミ分岐」を中心として、8の字に周回するコースを歩くことになる。
休憩ののち新道を登っていく。ようやく尾根状の道となり歩きやすい。立てかけられた看板によると、この一帯は「竹細工組合の保護地」につき、竹の子採りは禁止されているようだ。頭の上には樹林越しにきれいな青空が広がっている。早く森林限界に出て眺めを楽しみたいのだが、樹林帯はしばらく続きそうだ。

信濃町が設置したプレートに「しなの木」と書かれた大木に出会う。長野県の昔の呼び方は「信濃国」であり、その名の由来はシナノキを多く産出したから、とも言われる。信濃町の町木もシナノキなのかと思ったが、実際はオオヤマザクラだそうだ。

しらたま平からは雨飾山もよく見える

雨飾山も

オヤマリンドウは至る所で大群落(しらたま平付近)

オヤマリンドウ

黒姫山のピークは端正な三角形

端正な山容

黒姫山山頂

黒姫山山頂

黒姫山山頂は北面が樹林に遮られているが、木の間から火打山(右)、焼山が覗く

火打山、焼山

大池への下降路は苔むした樹林帯。スリップに注意

苔むす急降下道

西登山道は随所で大きな岩が立ちはだかる。天狗岩付近はまるで岩の迷路のよう

大岩が積み重なる

西登山口付近から、ようやく道は穏やかになる

ようやく穏やかな道

アケボノソウ(大橋林道)

アケボノソウ

直線状の大橋林道を歩いて登山口へ

林道一直線


しなの木から先は高い木は少なくなるが、登山道の両側に背の高いネマガリダケが伸び、依然として眺めは乏しい。進む方向に、笹原の斜面が見え隠れしている。標高1700m。背後には高妻山方面の山体が見えているが前方はまだ開けない。意外と展望に恵まれない山かもしれない。
標高1800mを越えるようになってようやく視界が開け始める。と、すぐに展望地に飛び出した。しらたま平である。日当たりのよい場所にはリンドウが多く咲き、また地名通りのシラタマノキの白い実も見られる。
北面以外が開けた270度パノラマ展望の地で、新潟県側の火打山や焼山ほか、雨飾山もよく見えるが、運悪く大きな雲が目の前を覆い始めており、戸隠山、高妻山、飯縄山などの北信の山々は見えなかった。それでも果てしなく広がる雲海と青空が気持ちいい。

しらたま平からは、右側が開けた爽快な草原歩きとなる。一面の雲海もところどころで切れ間が現れ、スキーゲレンデを抱えた飯縄山のたおやかな稜線が覗く。
その後ろのスケールの大きな山稜は岩菅、焼額山といった奥志賀の山だろうか。また、南西の方角には遠く北アルプス槍ヶ岳の姿も見ることができた。そして進む方向には、黒姫山の端正な三角形が手招きしている。
足元にはリンドウの青い花があちこちで目立つ。と言うよりリンドウ以外の花をあまり見ない。一株あたりの花数があまり多くないので、エゾリンドウではなくオヤマリンドウかもしれない。

大池への下り口を分け、岩がちの道を急登すると黒姫山の山頂に立った。岩の積み重なった頂上には祠があり、南側が大きく開けるが、反対の北側は樹林で眺めは狭い。それでも木の間から火打山、焼山が見え、妙高山もなんとか望めた。この頸城三山が見えさえすれば満足なのだが、山の位置からいってもう少しいい眺めを期待していた。
開けていた南側にも再びガスが上がってきて、視界がなくなってしまった。昨年飯縄山に登ったとき、温泉の従業員の人が「この飯縄や戸隠の高原地は、朝天気がよくても日が高くなるとすぐに雲が湧いてしまう」と言っていたのを思い出した。
おまけに、この一帯の山はいずれも登山口から標高差があり、登りに時間がかかるので、いい天気の下で登頂を果たすのはなかなか難しそうだ。
黒姫山はどちらかと言えば、展望よりも池や湿原、ブナ林、高山植物等の豊かな自然環境を楽しむ山のようである。

大池への分岐点まで下る。ここからは樹林帯の急降下となる。苔むした石の上をなぞるように下るが、スリップしないか不安だ。平坦なところはぬかるみがひどく、ズボンがさらに泥だらけに。分岐まで下り着くのにけっこう時間を感じた。
分岐で右折し、七ツ池を見ていく。ものの3分くらいで一面の笹原に出た。今はリンドウくらいしか咲いてないけれども、ここは夏は高山植物で満ちあふれそうだ。
点在する池はどれも小さく、笹の緑ばかりか目立つ場所だが、正面には小黒姫山を配した図はなかなか絵になる。黒姫山は典型的なコニーデ型の火山であるが、その中心はこの小黒姫山であり、最高点の黒姫山はその外輪山の一角に過ぎない。ところで、山頂まで樹林に覆われた小黒姫山には登山道はあるのだろうか。

分岐に戻り直進。すぐに大池に着くが、こちらはどことなく殺伐としていて留まりづらい。先に進む。ここから西登山道を歩いて登山口まで戻ることになる。
しっとりとしたシラビソの林は歩きやすいがそれもつかの間、道は大きな岩の間をくぐるようになり、やがてはその大岩の上が登山道になった。アスレチックコースのようで、よくこんなところに一般登山道を見い出したものだと思う。
土の道も復活するが、そいいう所は決まってぬかるんでいて、なかなかのんびりと歩ける場面がない。まさに山を歩いているのだと実感する。

若干下り気味になった後、再び大きな岩が累々と積み重なった場所に出る。岩と岩の間に距離や落差がある上、進めそうな方向が何通りもあって、頭の体操をしているようだ。大汗をかいて中央の岩の上に上がると、「天狗岩」という標識がつけられていた。
天狗岩以降も時々岩は出てくるが、ブナが現れるにしたがい、穏やかな登山道に移り変わってくる。
どんどん下っていき、ようやく西登山口の分岐までやってきた。火打山の登山口である笹ヶ峰に通じており、そこそこ歩かれているようだ。さらに北信五岳トレイルランのコースにもなっているようで、これ以降コースを示す標識が目立つようになる。
ブナやカラマツの多い平坦な道が続き、少しだけ登り返すと大ダルミに着く。脇に湿原が横たわっておりイワショウブなどがたくさん咲いていたが、植生保護のために進入禁止になっていた。ここにも「竹細工の森」の標柱が立っている。

長い登山路もそろそろ先が見えてきた。この先は幅広の林道状になる。のんびり下っていき、小さな沢をまたいで少し行くと、見覚えのある場所に出る。朝来た大ダルミ分岐であった。西登山道はなかなか変化があり歩きがいのある道で、途中出会った人は1人しかいなかった。
真っ直ぐ南下する道で下山する。天候は持ち直し、青空も見えてきた。幅の広い林道を下るがすぐにまた登山道へ。林道を何度か横断しながらどんどん高度を落とす。
再び林道に戻ると高原状の台地に出て、もうほとんど下山した雰囲気である。あとはアケボノソウやアザミなど、道脇に咲く花を見ながら、大橋登山口に至る。青空も見た、1日かけての山登りは久しぶりで、山の空気は十分に体に染み渡った。

少し戻って、今回も戸隠神告げ温泉で入浴していく。
ここの日帰り温泉は、湯上りに蕎麦が食べられるのがいい。もちろん戸隠そばである。蕎麦の香りのする蕎麦というのは、東京にいると高い店に行かない限りなかなか出会えない。下山後の蕎麦や新米が楽しみな初秋の山である。

さて、もうひとつの黒姫山に登るべく、今日は新潟県柏崎市まで行きホテルに泊まる。上信越道から北陸道に移り、日本海を見ながら車を飛ばした。

翌日の刈羽黒姫山へ