2014年9月7日(日) | |||
◇ | 柏崎市内 | 7:10 | |
国道252号,県道78,424号 | |||
8:30 | 白倉集落跡登山口 | 9:30 | |
県道424,78号 | |||
10:00 | 磯之辺登山口 | ◇ | |
10:20 | お地蔵様 | ◇ | |
10:50 | 鵜川神社 | ◇ | |
11:03 | 刈羽黒姫山 | 11:50 | |
11:55 | 鵜川神社 | ◇ | |
12:18 | お地蔵様 | ◇ | |
12:33 | 磯之辺登山口 | ◇ | |
県道78号,国道253,252号 じょんのび温泉立寄り |
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16:30 | 六日町IC | ◇ | |
関越自動車道 | |||
19:10 | 練馬IC | ◇ |
柏崎刈羽(かりわ)というと原子力発電所を連想してしまうが、海と山が接近した自然環境豊かな越後の地である。今日登る黒姫山は、他の黒姫山と区別するために一般には「刈羽黒姫山」と呼ばれ、米山・八石山と並ぶ「刈羽三山」のひとつとなっている。
この山の祭神である「黒姫」は機織の神様であり、かつて越後の国を治めた「大国主命」(おおくにぬしのみこと)の御后であったと伝えられている。信仰の山として地元の人々に「くろひめさん」と呼ばれ親しまれているそうだ。そういえば米山も地元では「よねやまさん」と呼ばれていた。
もっとも、刈羽黒姫山は現在の刈羽郡や刈羽村にあるわけではなく、純粋に柏崎市の山なのである。不思議な感じがするが、これは山頂のある高柳町が以前刈羽郡に属していたので、そういう冠名がついているのだろう(高柳町は2005年、柏崎市に編入された)。
磯之辺コースの登路にて、梨の木棚田を見下ろす |
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今年の5月、小千谷市の城山から望んだこの山は、まだ残雪をしたためた堂々たる山容が印象的だった。標高は900mにも満たない低山だが、形のよい見映えのする山である。「刈羽富士」とも呼ばれている。
柏崎市のホテルを7時に出発する。夜半降っていた雨も上がり、青空も少しずつ面積を広げてきた。今日の山は標高が低いので、あまり太陽が出きらない涼しいうちに登っておきたい。
田園地帯を走って、これも形のよい八石山を仰ぎながら白倉の登山口を目指す。県道424号に入り、鬼沢川沿いに細い道を走っていく。田んぼの稲がもう黄色くなり、稲刈りの時期を迎えていた。住宅街を抜けて山間地に入ると、しばらく先で白倉の集落跡に着く。数台の駐車スペースがあり、「白倉の源水」なる水場が設置されていた。背後の山には重機が入っており、林道を造成しているようだった。ただし今日は休工であたりはガランとしている。
登山口は、簡易舗装の林道をさらに進んでいくものと思われたが、この先で急に道幅が細くなり、草深い道に変わってしまった。やはりさっきの水場付近に車を置いたほうがよさそうだ。バックで車を引き返し、元の駐車スペースに戻った。
支度をして、あらためて林道を歩き出す。すっかり青空になり気温も上昇。標高200m台のこの付近はすでに暑さが勝っており、次第に汗が吹き出してきた。草深い道を登っていくが、なかなか登山口が現れない。そのうちゲートに出会い(閉鎖はしていない)、この付近に左手の尾根に上がれるはず。探してみると、ピンク色のテープの下、草むらの中に板切れが埋もれていたが、何が書いてあるのか判読不明。本当にこんなところが登山口なのかと疑いながらも、とりあえずその薄い踏み跡に入ってみる。しかしすぐに猛烈なヤブになり進めなくなった。
林道に戻りあたりを探すが、やはり登山口はなかった。もしかしたら白倉コースは、夏はヤブになって通行不能になるのかと思い、今回はここからの取り付きは諦めた。
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いったん県道に下りてもうひとつの登山口、磯之辺に向かう。このコースは刈羽黒姫山の最短コースであり、一番使われている道らしいので、さっきのようなことはないだろう。
登山口までの車道は「梨の木棚田」の中を通るようになっていて、いい眺めである。黄金色に染まった田んぼを背景に黒姫山が姿を現す。刈羽黒姫山は、遠めには端正ないでたちをしているが、東斜面は豪雪に洗われた急斜面が荒々しい。随所で崩落の跡が見られ、これは中越地震の影響もあるのかもしれない。
磯之辺登山口の駐車スペースに車を停め出発。もうかなり日が高くなってしまい、最初から汗が吹き出す。キャンプ施設を抜け、ガードレールのついた登山道を登っていく。今は一年で木の葉が一番茂る時期であたりは鬱蒼としているが、そこはさすがに新潟の山、ところどころで眺めが得られる。朝通った梨の木棚田も見下ろすことができた。
道は白倉のほうと印象はまるで違い、十分に歩きやすく整備されている。
お地蔵さんのある場所を過ぎるとブナが現れる。このあたりに「鬼殺しの清水」という水場があるとのことだが見つからなかった。
にわかに木段の急登に転じ、さらに汗がしたたり落ちる。
急傾斜がひと段落つき、あたりは清々しいブナ林となった。木陰の涼しさを味わいながらゆっくりと歩を進める。下越の櫛形山や高坪山ほどではないが、ここも密度の濃いブナ純林である。白倉コースはもっとブナが多いらしい。
時々樹林の切れ間から、内陸の山々の眺めが得られる。登り着いたところが鵜川神社。わずかに日本海方面が覗く。ひと登りで潅木に覆われた広場に着く。山頂はもう少し先のようだ。再びひんやりしたブナ林に入り、出たところが刈羽黒姫山の山頂であった。
明るい場所だが、太陽がジリジリと照り付け、あまりに暑いので手前のブナ林に逃げ込み、そこでしばらく涼む。
少し元気を取り戻し再び山頂へ。幾重にも折り重なった山並みが広がる。展望図を持ってこなかったのでどこが見えているのかがはっきりしないが、越後三山方面であろう。久々にいい天気の下での展望の山を味わえた。
山頂にはこの後、何人もの登山者がやってきたが、そのほとんどが小さな子供を連れた家族だった。白倉からの道やそれ以外のルートはそれなりに歩きがいもありそうだが、ここ磯之辺コースは登降2時間もかからないので、格好のファミリー向きであろう。
下る前に、先ほどの広場に寄ってみる。かつては電波塔が立っていたらしいが、今は何もない空地だ。樹林の間からぎりぎり日本海が覗き、船が浮かぶのを見る。葉の少ない頃はもっと眺めが利くだろう。
新潟の低山は花の咲く春先が一番の適期ではあるが、このような時期でもやはり楽しみはある。収穫間近の黄金色の田園風景は9月ならではのものだ。下山後、棚田の農道を少し歩き写真を撮る。一角にソバ畑もある。こちらももう収穫期だ。
すぐ近くのじょんのび温泉に立ち寄っていく。じょんのびとはこの地方の方言で、ゆったりとか、のんびりという意味。トロトロのアルカリ温泉に浸かりながらじょんのび気分を満喫する。
新米のコシヒカリ等秋の味覚が食膳に揃う頃、またこの地に来たい。